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COFFEE BREAK
文化-Culture-
コーヒー歴史トリビア・クイズ 〈コーヒーの味わい方の変遷編3〉
謎めいているからおもしろい!コーヒー歴史トリビア・クイズ
〈コーヒーの味わい方の変遷編3〉
Question1
19世紀半ばの『実践料理百科事典』にはアメリカの一流の料理人たちがいかにしてコーヒーをいれていたかが記述されている。この中で「コーヒー豆のもっと単純な焙煎方法の道具」として紹介されているのは次のうちのどれ?
a フライパン
b ブリキのパン焼き皿
c 陶器のグラタン皿
d 真鍮製のパイプ
Answer1 b ブリキのパン焼き皿
単純なだけでなく「もっと効果的でさえある方法」として、次の方法が示されている。〈ブリキのパン焼き皿を用意する。底にバターをたっぷり塗り、そこへコーヒー豆を入れる。それを中火に掛け、コーヒー豆が濃い黄金色になるまで続ける。これには二十分でじゅうぶんである〉。バターをたっぷり!?
Question2
前掲の『実践料理百科事典』にはコーヒーの香りをつけた雑多な抽出液、氷菓子、キャンデー、ケーキなどの調理法が40種ほど紹介されている。その中の1つ「コーヒービール」の材料名に出てこないのは次の4つのうちのどれ?
a ラム酒
b ビール
c ガムシロップ
d オレンジピールのアルコール・エキス
Answer2 b ビール
プリュアールというフランス人が考案したレシピによると、コーヒービールの材料は上記のビールを除き、その代わりに濃いコーヒーと水を加えたもの。コーヒー、ラム酒、水の分量はほぼ同量なので、黒くて泡立たず、アルコール度数の高い飲み物だったと想像される。ちなみに同百科事典にはこの飲み物について以下のような追記がある。〈いかなる程度であれ人気を得たとは思われない〉。残念。
Question3
17世紀、ニューヨークがニューアムステルダムと呼ばれていた頃、裕福な人々がコーヒーを入れるときに加えたとされる動物由来の香辛料とは?
Answer3 竜涎香(りゅうぜんこう)
1909年に出版された『オランダ領時代のニューヨーク』によると、〈ニューアムステルダムにおいては、裏側に錫を張った銅製のポットでコーヒーを炊き出し、砂糖か蜂蜜のいずれかと香辛料を加え、できるだけ熱いまま飲んだ。(略)裕福な人々はクローブやシナモン、砂糖を入れ、竜涎香を加えた。粉にしたカルダモンの種子もコーヒーに香りをつけるために使った〉。竜涎香は、マッコウクジラの腸内で生成される物質で麝香(オスのジャコウジカの分泌物)に似た芳香がある。色々とフレーバーを添加しないと飲めぬほど、当時のコーヒーは不味かった?
Question4
主婦向けの雑誌「レディーズ・ホーム・マガジン」の中で紹介されている、朝食時に手軽に美味しくコーヒーを飲む秘策とは?(ヒント:現代でもコーヒー専門店の一部がこれに似た方法でいれるコーヒーを売りにしている)
Answer4 前の夜のうちにコーヒー沸かし器に粉砕した豆を入れて水で満たしておく
いわゆる「水出しコーヒー」と違うのは夜のうちに成分が抽出されたものをそのまま沸かして、追い抽出を掛けること。記事によると、この方法により〈大事な油分だけではなく、他の香りの成分も水によって保存される〉。朝の忙しい時間に豆を挽く時間を省くことができ、すぐに美味しいコーヒーが飲めるというわけだ。この雑誌には豆の焙煎方法から詳しく解説されているが、〈半分焦げた豆や黒焦げの豆が一、二粒入っているだけで、数杯分のコーヒーの香りが台なしになる〉などと、その指導はなかなか厳格である。
Question5
19世紀半ばごろのアメリカにおけるコーヒーの入れ方に関する次の文章の空欄a,b,cには全て同じ食物が入る。当時、コーヒーに添加されたその食物とは?
〈コーヒーは常に豆で購入し、必要な時に粉砕しなければならない。(a)を混ぜたものがはびこっているからである。(b)入りを好む人はいる。だが、本当にコーヒーが好きな美食家は(c)が入るのを認めない〉
Answer5 チコリ
キク科の多年草チコリは葉や根に強い苦味があり、コーヒーの代用品や香りづけに使われる。ニューオーリンズの老舗「カフェ・デュ・モンド」では、穴のないドーナッツ「ベニエ」に合わせてチコリ入りのミルクコーヒーを飲む伝統がある。また最近ではチコリの健康効果に注目が集まり、フランスなどでもチコリ・コーヒーの復権が見られる。チコリはヨーロッパから中央アジアにかけてが原産地で、移民たちによって北米に持ち込まれ繁殖した。
Question6
コーヒーの焙煎と抽出に関するアメリカで最初の科学的研究の成果と言われる論文に「コーヒー豆にはタンニンの他に2つの物質が含まれている」との解説がある。1つはカフェイン。ではもう1つは次の3つのうちのどれ?
a 揮発性油
b ポリフェノール
c 不飽和脂肪酸
Answer6 a 揮発性油
『ジャーナル・オブ・フランクリン・インスティテュート』1855年7・8月号に以下の記述がある。〈もう1つは揮発性油で、焙煎中に生じる。コーヒーの香りの素はこれである。(略)コーヒーは人体細胞の消耗を遅らせ、また生命を維持するために必要な食べ物の量を減らす。この効果は油のせいである〉。コーヒーの揮発性成分として現在では約900種類の化合物が同定されている。また、件の論文には登場しないが、コーヒーにはポリフェノールも不飽和脂肪酸も含まれることがわかっているので、真のコーヒー知識としては、a、b、c全てが正解となる。