- TOP
- COFFEE BREAK
- インタビュー
- 朝原宣治【元陸上競技選手】
- 朝原宣治【元陸上競…
COFFEE BREAK
インタビュー-Interview-
朝原宣治【元陸上競技選手】
朝のコーヒーは、私の担当です。
朝原宣治【元陸上競技選手】
2008年北京五輪・陸上400mリレーの銅メダリスト朝原さん。コーヒーとは30年以上の長い付き合いです。
父親がコーヒー好きで、アルコールランプを灯しながらサイフォンでコーヒーをいれていた姿をよく覚えています。サイフォン用の竹べらも使っていました。私が飲み始めたのは高校生の時。おやつの時間に母がお菓子と一緒にコーヒーを出してくれるようになったのが最初でした。大学時代からはブラックで飲んでいます。 就職してからドイツに3年間、陸上留学をしたことがありました。90年代半ばのことで、シュツットガルトのカフェで初めて飲んだカプチーノは衝撃でした。ふわふわのミルクとほろ苦いコーヒーのコンビネーション、なんだこれは! と心が躍ったものです。ドイツ時代は、休みになると美味しいカフェを探索するのが、競技をする上でも自分の心のゆとりになっていました。
コーヒーと過ごす、ゆったりした時間が大好き。
家庭をもって十数年、朝のコーヒーは私の担当です。父のようにサイフォンを使った時期もありますが、最近はペーパーフィルターか、カプセル式コーヒーメーカーを使っています。多い時で1日に3、4杯。今日はこの取材で飲むコーヒーが3杯目になります。 10代の頃から途切れなく飲んでいるコーヒー。改めて、何が好きなんだろうと考えてみると、私にとってそれは「コーヒーを飲んでいる時間」なのだと思います。私は夏でもホットを飲みます。熱いコーヒーをちょっとずつ味わいながら、ゆっくりと過ごす時間が大好きなのです。長年飲んで、コーヒーを口にすると落ち着くような思考回路になっているのかもしれません。家でも、コーヒー片手に一人で映画を見るのが至福の時間。3Dヘッドフォンを装着し、ホラー映画をよく見ます。ホラー映画では落ち着かないんじゃないか、と突っ込まれそうですが(笑)、競技人生を終えてから、なぜか大好きになりました。 今年は北京五輪(08)の陸上競技・男子4×100mリレーで※日本が初めて銅メダルを獲得してから10年になります(朝原さんはこのチームのアンカーを務めた)。ご存知のように、16年のリオデジャネイロ五輪の男子4×100mリレーで日本は銀メダルを獲得。北京で我々が、先輩たちの努力や功績を引き継いでメダルを取ることができたように、その積み重ねを後輩たちがしっかりと引き継いで、リオでさらにレベルアップした結果を出してくれたことは非常に喜ばしいことです。 また、100m走では今、中学生高校生のレベルがどんどん上がっています。それを牽引しているのが桐生祥秀選手です。桐生選手は昨年、100m走で日本人初の9秒台となる9秒98を記録しましたが、彼の快挙は高校生の時に10秒0台という記録を出したところから始まっているのです。というのも、私が日本人初の10秒1台を記録したのは大学時代、10秒0台は社会人になってからでしたが、桐生選手は高校生で10秒台を出した。大人はもちろん、彼より年下の中学生高校生たちが非常に驚いたわけです。自分たちに近い年の人がこんな記録で走るんだ、と。 そこで陸上界の常識、タイムに対する限界値みたいなものが崩れ、若い人たちの意識にも大きな影響を与えた。以来、中学生高校生の記録が一気に上がってきているのです。少々速い記録を出しても、10秒01で走った人がすでにいる、ということで何も驚かなくなった。それは大きいことだと思いますね。2020年の東京五輪、日本人選手の活躍が今からとても楽しみです。