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COFFEE BREAK
インタビュー-Interview-
ダイアモンド✡ユカイ【ロックスター】
仕事と私とコーヒーと。 Vol.3
ダイアモンド✡ユカイ【ロックスター】
最近は、ナレーターやコメンテーターなど幅広く活動しているロックシンガーのダイアモンド✡ユカイさん。コーヒーの香りに包まれた、その半生を語ります。
1986年のメジャーデビュー以来、ロックシンガーとして活躍を続けるダイアモンド✡ユカイさん。趣味は〝おいしいコーヒーをいれること〟というだけあって、コーヒーへの思い入れは人一倍熱い。年を重ねるほどに深まっていったというコーヒーとの関係について語ってくれた。 「コーヒーを飲むようになったのは中学生のとき。もちろんインスタントでした。この時代のコーヒーは、俺の中では受験勉強とセットになっているんです。眠けざましのコーヒーを傍らに、毎日夜中まで勉強していました」
高校時代はビートルズに目覚め、ロックバンドを結成。そこで出会った一人の同級生から強い影響を受けた。
「彼はハンサムでギターもうまくて、ちょっと不良の香りのするタイプ。ビートルズ一辺倒の俺にエリック・クラプトンやジミ・ヘンドリックスの音楽を指南してくれました。ある日、彼の家に行ったとき、彼がサイフォンでコーヒーをいれてくれたんです。これが衝撃的でした。コーヒーってこんなにうまかったのかと。それに、粉末にお湯を注いでくるくるかき混ぜるだけのインスタントと違って、蒸気の圧力で抽出するサイフォンでいれたコーヒーはいかにもカッコよくて、大人の世界の入り口という感じがして。それからはちょくちょく彼の部屋でレコードをかけてコーヒーを飲みながら、ロック談義に花を咲かせたものです」
カプチーノに取りつかれ、普及に励んだ日々も。
20代になり、ミュージシャンとしてデビューしたユカイさんにさらなるコーヒーとの出会いが訪れる。それは、日米合作映画『TOKYO POP』(1987年)に出演したときのこと。
共演したアメリカ人の女優さんが大のカプチーノ好きでした。でも当時の日本の喫茶店にはまだカプチーノがなくて、撮影の合間に店に入ってカプチーノを頼むと、コーヒーに生クリームをのせたウィンナコーヒーのようなものが出てくる。すると彼女が〝これはカプチーノじゃない〟って怒る。仕方ないのでカプチーノ・マシンを買って、楽屋でつくるようにしたんです。それにつきあって毎日飲んでいるうちに、俺もすっかりはまってしまって......」
その後は、1年に国内100カ所以上を巡る自分のバンドのコンサートツアーに3台のカプチーノ・マシンを持参。ライブ会場の楽屋でカプチーノの講義をしたり、ラジオ番組でカプチーノのコーナーをつくるなど、ひたすら普及に努める、という日々もあった。
そして40代以降はブラック党。毎朝自分で豆をひいてコーヒーをいれる。 「5歳になる娘が言うんです。〝私も大人になったらパパのようにコーヒーを飲みたい〟って......」 嬉しそうに語るその表情は、すっかり優しい父親の顔だ。ヒョウ柄とドクロの世界で生きてきた自分が、ミッキーマウスやクマのプーさんに囲まれるときがくるなんて、昔は考えられなかった。でも、それが嫌じゃない。
「自分の世界を決めつけずに、挑戦し続けていきたい。アウェーにいる自分を楽しみたい。結局、ロックの精神っていうのは、チャレンジなんだよね。ロックとコーヒーとのつきあいは、まだまだずっと続いていきますよ」