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COFFEE BREAK
インタビュー-Interview-
首藤康之【バレエダンサー】
朝のコーヒーとレッスンが日課です。
首藤康之【バレエダンサー】
バレエをはじめ、さまざまな舞台で活躍する首藤さん。身体ととことん対話する日々に、コーヒーブレイクは欠かせないそうです。
朝食のときに飲むコーヒーと、その後のダンスのレッスン。どちらも僕の毎日に欠かせないものです。コーヒーはフレンチローストやイタリアンローストなど濃い味が好きで、朝はけっこう大きなマグカップで2杯飲みます。お砂糖やミルクは入れません。
レッスンは最低でもバレエの基本的なメニューを3時間くらい、時間があるときにはもっと続けます。身体は毎日違うので、その日の状態を確認し、身体の声を聞きながら行います。たとえば、友達同士の会話がどんどん盛り上がったときに時間の経つのを忘れてしまうということがあるように、身体との対話もすればするほどさまざまなことがクリアになって、それがまた新たなダンスの動きにつながるような発見があったりする......そういうことがおもしろくて、稽古の時間は僕にとって、とても大切なひとときです。
母が教えてくれた、コーヒーの美味しさ。
若い頃は、身体に対して〝黙って踊れ〟という意識でいたので、身体の声を聞こうともしませんでした。32歳のときにフランスのリヨンで、舞台上で靭帯を切る大怪我をしてしまい、何カ月も動けない時期が続きました。それが身体を見直すきっかけになりました。最近はとても調子がよくて、対話しやすい身体になっています。
母がコーヒー好きで、子供の頃からコーヒー豆を買いに行くのが僕の役目でした。ブルーマウンテンやキリマンジャロを〝真空パックで200グラム〟と頼まれて、自転車で近所のデパートの地下の食料品フロアまで行くのです。
母が豆を挽いてお湯を注ぐと、家の中になんだかいい香りが広がってきます。でも、飲ませてもらうととても苦くて、なんでこんなものが美味しいのか、と不思議でした。その後、ミルクを入れたらとても美味しく感じられて、小学校高学年の頃からはミルクを入れて飲んでいました。
今は基本的にコーヒーを飲まない日はありません。ダンサーの中には本番前や夜は意識して飲まないようにしている人もいますが、僕は本番前にも飲むことがあります。コーヒーが心と身体をすっきりとリセットしてくれるような気がするのです。僕個人の思い込みかもしれませんが、食べ物は、それをいただくときの意識で身体への作用も違ってくるのではないかと思っています。コーヒーをゆっくり飲んだり、美味しいものを食べたりすることは、僕にとってはポジティブな気持ちにつながることなのです。
若い頃は、40過ぎのダンサーはとてもおじさんに感じられて、まさか自分がこの年まで踊って、これからも踊り続けようと思っているなんて考えてもいませんでした。それなのにどうして今も踊っているんだろうと考えると、答えはシンプルで、もっとバレエがうまくなりたいからなんです。10年前から教えることにも携わっていますが、バレエダンサーを育てたいというよりも、人間を育てたいという思いでやっています。それぞれが人としてちゃんと立っていけるようになればいいなと。自分自身もそうありたいですね。