COFFEE BREAK

世界のコーヒー

世界のコーヒー-World-

2019.03.01

「味指標」付きパッケージでコーヒーの風味とコクを表記 オランダ:アルバート・ハイン

 世界中で愛されるコーヒー。楽しみ方、味わい方は、お国柄によっても千差万別です。コーヒービジネスもまた、その都市ならではのチャレンジを重ね、さまざまな広がりを見せています。
 大のコーヒー好きとして知られているオランダ人。いま、多くのオランダ人が関心を寄せているのが、「いかに自宅でおいしいコーヒーを楽しむか?」です。そこで、今月は、アムステルダムのスーパーマーケットのコーヒー売り場をチェック。まずはコーヒーに関する一般消費者の知識向上にも一役かっている老舗スーパーの商法をご紹介。

「味指標」付きパッケージで、コーヒーの風味とコクを表記。

Vol.87 オランダ:アルバート・ハイン(Albert Heijn)
www.ah.nl

オランダ:アルバート・ハイン(Albert Heijn)

1887年、アムステルダム郊外のオーストザーンにオープンした一号店を再現した、アルバート・ハインのミュージアムショップ。この一号店の奥にコーヒー焙煎所ができたのが1895年。のちにペルラとなるオリジナルコーヒーの誕生だ。店内には、そんな同社のコーヒーの歴史を一望する展示もある。

 全国に966の店舗を持つ「アルバート・ハイン」は、オランダ最大手のスーパーマーケットチェーンで創業は1887年。1895年には自家焙煎コーヒーの販売をスタートし、自社コーヒーブランド「ペルラ」の礎を築いた。同社にとってコーヒーは極めて重要なプロダクトで、今でも各原産国で「新しい味」の発掘に力を入れ続けている。その品揃えは合計約30種類にも及び、カプセルタイプやパッドタイプ、お徳用ブレンド豆、粉タイプの有機コーヒーなど、多彩な価格帯と好みに対応している。特に近年需要が増えているコーヒー豆は、フィルターコーヒー用、エスプレッソ用の他、単一原産国のシリーズを展開するなどラインアップが充実している。
 わかりやすく5つのカテゴリーに分類した風味と、3〜12の指標で表したコクというふたつの物差しで表記した「味指標」や、挽き方や入れ方の詳しい説明を表記したパッケージも好評。コーヒーに関する一般消費者の知識向上にも一役買っている。

オランダ:アルバート・ハイン(Albert Heijn)

[左]ミュージアムショップは、一号店があったオーストザーンの隣町のザーンセスハンスにある。[右]キャラメル、ハーゼルナッツ、バニラ味のシロップも販売。モナン社製は、250mlで3.59ユーロ。

 2018年の夏にオランダコーヒー紅茶協会が行った調査によると、対象者の51%が前年に比べてコーヒーの種類(味、豆の種類、ブランドなど)が増えたと感じており、約75%の人がスーパーマーケットで販売されているコーヒーの種類数は適切だと感じている。87%の人がコーヒーを飲む場所は主に家であると答えており、自宅使用のための充実したコーヒーの品揃えがスーパーマーケットにとっていかに重要であるかがうかがえる。

オランダ:アルバート・ハイン(Albert Heijn)

[上]全カテゴリーを表示し、該当するものを色付けして表した「味指標」。好みの味を選びやすい表示。[下]単一原産国シリーズは、コロンビア産、ブラジル産、スマトラ産など5種類。500gで7.59ユーロ。

 45%の人がブラックコーヒーが一番好きだと答えている一方で、近年ではシロップを入れた甘いコーヒーも静かなブームだ。コーヒーを飲み始めたばかりの若者の間で人気を博しているらしい。同社の店舗でも、キャラメル、バニラ、ハーゼルナッツなどのシロップを販売しており、ホームページで「自分だけのオリジナルコーヒーをつくるアイテム」として紹介している。ペルラを有するアルバート・ハインは、新しいコーヒートレンドを牽引する存在でもあるのだ。

〈カフェ情報〉
アルバート・ハイン・ミュージアムプライン(Albert Heijn)
www.ah.nl
Van Baerlestraat 33A, 1071 AP Amsterdam
TEL: +31-(0)20 662 0416
営業時間  8:00〜22:00 無休

*1ユーロ=約125円(2019年2月現在)
文・写真=ユイキヨミ(アムステルダム市在住)
更新日:2019/3/1

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