COFFEE BREAK

世界のコーヒー

世界のコーヒー-World-

2019.03.15

シングルオリジン・コーヒー豆シリーズが一目でわかるパッケージ オランダ:HEMA

 世界中で愛されるコーヒー。楽しみ方、味わい方は、お国柄によっても千差万別です。コーヒービジネスもまた、その都市ならではのチャレンジを重ね、さまざまな広がりを見せています。
 大のコーヒー好きとして知られているオランダ人。いま、多くのオランダ人が関心を寄せているのが、「いかに自宅でおいしいコーヒーを楽しむか?」です。そこで、今月は、アムステルダムのスーパーマーケットのコーヒー売り場をチェック。世界的にも定評があるデザインコンシャスなスーパーの、オリジナルコーヒーパッケージとは。

シングルオリジン・コーヒー豆シリーズが、一目でわかるパッケージ。

Vol.88 オランダ:HEMA (ヘマ) www.hema.nl/

オランダ:HEMA(ヘマ)

2017年から発売をスタートした、HEMAのシングルオリジン・コーヒー豆シリーズは3種類。左から、コロンビア産、ホンジュラス産、ブラジル産。それぞれ500gで6ユーロ。各原産国と生産者の情報をホームページ上で詳しく説明。プロダクトの背景のストーリーをわかりやすく伝えることも、コーヒー製品を展開していく上で重要な戦略だ。


 1926年にアムステルダムで創業したスーパーマーケットHEMAは、手頃な価格の日用品を販売する「庶民の味方」。商品は全て自社ブランドで、ラインアップは食品から文具、衣類までと幅広い。オランダ以外にも、ベルギーやフランス、ドイツなど、全8カ国に752店舗を持っている。
 そんなHEMAが、近年ますます力を入れているのがコーヒーだ。カプセルコーヒー、パッドタイプ用など多彩な品揃えだが、中でも目を引くのが単一品種のコーヒー豆シリーズだ。ブラジル、ホンジュラス、コロンビア産の3種類を揃えている。

オランダ:HEMA(ヘマ)

オランダ国内に約550店舗あるHEMA。1926年、庶民のための安価なスーパーマーケットとして創業。

オランダ:HEMA(ヘマ)

コーヒーの種類や入れ方を詳しく紹介した「コーヒー通になる方法」は、注目の1冊。


 開発国からの輸入を促進する政府機関であるCBI(※)が昨年発表したレポートによると、近年のオランダでは、新しいコーヒー文化の波及によって、一般消費者のコーヒーの知識が一段と高まっている。そして味や値段だけではなく、豆の産地や農場と言ったコーヒーを取り巻くストーリーにも深い関心が寄せられるようになった。オランダらしいビジュアルセンスのいいコーヒー関連書も多く出版されたり、庶民的なスーパーマーケットHEMAのオリジナルブランドでシングルオリジン・シリーズが登場したという事実は、そんな新しいコーヒー文化の影響が幅広く市場に浸透した証とみてよいだろう。

オランダ:HEMA(ヘマ)

[左]パッケージの側面には原産地とコクの強さのみ表示。簡潔で洗練されたパッケージデザイン。[右]オランダコーヒー紅茶協会の調査によれば、87%のコーヒー愛飲家は家でコーヒーを飲む。


 また、HEMAと言えば歴代数々のデザイン賞を受賞してきた「デザインコンシャス」なスーパーマーケットとして知られている。特に、知的で簡潔なパッケージデザインでは世界的に定評がある。シングルオリジンのコーヒー豆シリーズでは、その国名は「カフェ・デ・ブラジル」のようにプロダクト名に織り込み、パッケージの各側面に、地図上に矢印で示した原産国と、3〜8の数字で表した「コクの強さ」という2つの情報のみを強調して表示した。ちなみにホンジュラス産(アラビカ・カトゥアイ種豆)は4,ブラジル産(アラビカ・ブルボン種豆)は6,コロンビア産(アラビカ・カトゥーラ種豆)は8だ。このようなビジュアルデザインの戦略が、これからのスーパーマーケットでのコーヒー展開には不可欠であることを、HEMAは教えてくれる。

※ CBI=Centre for the Promotion of Imports from developing countries( 開発国輸入プロモーションセンター)

〈カフェ情報〉
Nieuwendijk店 www.hema.nl/ Nieuwendijk 174-176, 1012 MT Amsterdam TEL: +31-(0)20 623 4176 営業時間 月〜土 9:00〜21:00、日10:00〜19:00 無休
*1ユーロ=約125円(2019年2月現在)
文・写真=ユイキヨミ(アムステルダム市在住)
更新日:2019/3/15
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