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Vol.73 イギリス:ヌード・エスプレッソ(Nude Espresso)
英国に増えているコーヒー愛好家と本格的な焙煎所つきカフェ。まずは、独立系カフェ聖地ショーディッチで一番人気の店を紹介します。ビール工場跡の頑丈な建物ながら、焙煎作業音を考慮しての営業です。
ちょっとどっきり? 店名「ヌード」に込められた店主の心意気。
Vol.73 イギリス:ヌード・エスプレッソ(Nude Espresso) www.nudeespresso.com ロンドン東部の下町ショーディッチは、若者の間で住みたいエリア・ナンバー1として知られる。デザイン、ファッション、IT、広告などトレンドに敏感な会社が多く集まるため、カフェも次々にオープンし、いまや独立系カフェの聖地としても有名な地区になっている。
競争が激しいカフェのなかでも抜きん出た人気で賑わうのは「ザ・ロースタリー・アット・ヌード・エスプレッソ」だ。大きなガラス越しに、店の奥に設置されている焙煎機が見える。4年前、ビール蒸溜所だった古いレンガ造りの建物に焙煎機を備え付け、焙煎所兼カフェを開業した。営業形態は、焙煎作業音を考慮し、月曜から金曜を焙煎のみ、週末はカフェ経営とテイスティングなどのイベントのみ、と分けている。ただし、この焙煎所の向かいで、純粋なるカフェ「ヌード・エスプレッソ」を経営しているため、コーヒー好きが平日に困ることはない。
ここで焙煎部門を仕切るマスターのケインさんは、遮音ヘッドホンを着用し焙煎作業に専念する。「このローリング社の焙煎機は、焙煎香も煤塵も発生しない優れものだけれど、音だけはかなわない」。ただし、頑丈なレンガ造りの建物だけはあり、両隣りの店から音に関する苦情は未だにないと言う。また、朝早い7時半から焙煎を始めるため、周辺の店が開店する10時までには、大きな音は収まっているそうだ。このように、一日5〜6時間、週5日で合計1000キロもの生豆を焙煎し、袋詰めするため体力も必要とされるという。袋詰めに関しては、9割以上の取引先は豆そのものを注文するため、豆を挽くことは滅多になく、粉塵マスクの着用は不要だという。英国では、食品を扱う店舗の開業時には安全衛生法で厳しいチェックが入るが、そのあとは抜き打ち検査も指導もないそうだ。
ロンドンでは大都市ならではのスペース問題と家賃高騰がネックとなり、焙煎所兼カフェは数少ない。なのに、あえてトレンディなショーディッチで2店舗分のスペースを借り焙煎を続ける理由は「一杯の美味しいコーヒーができるまでに、どのような焙煎過程を経ているかを知って欲しいから」と焙煎見学の問い合わせにも熱心に対応している。余計なものを取り除き豆の原点に戻りたい、基本を大切にしたい、との願いから、ちょっとどっきりする「ヌード」と命名したという店の心意気を感じた。
ヌード・エスプレッソ Nude Espresso www.nudeespresso.com The Roastery, 25 Hanbury Street, London E1 England TEL. なし。 連絡先:roastery@nudeespresso.com 営業時間 (カフェとして)12:00〜18:00(土、日) 休:月〜金