COFFEE BREAK

世界のコーヒー

世界のコーヒー-World-

2016.07.15

Vol.40 スウェーデン:ラブ・コフィ・ロースターズ

世界中で愛されるコーヒー。楽しみ方、味わい方は、お国柄によっても千差万別です。コーヒービジネスもまた、その都市ならではのチャレンジを重ね、さまざまな広がりを見せています。
近年、夏が近づくと「エスプレッソ・トニック」で暑気払いをする人たちが増えているようです。発祥と言われる北欧・スウェーデンの2軒に取材しました。こちらは「エスプレッソ・トニック」はもちろん、コーヒードリンクの発案にも熱心な人気のカフェです。

アイディア満載、進化し続けるコーヒードリンク。

Vol.40 スウェーデン:ラブ・コフィ・ロースターズ
www.lovecoffee.se

スウェーデン:ラブ・コフィ・ロースターズ

スウェーデンで2番目に古い大学があるルンドにあるため、一日中多国籍な客が絶えない。"ラブコフィ"という名前は、コーヒーが大好きなダニエルが、他の人にもコーヒーを好きになってもらいたいという意でつけたとのこと。

 スウェーデンのルンド*という街にあるラブ・コフィ・ロースターズでは、暑い夏の日はアイス・ラテと売上げのトップを争うほどの人気。ルンドは、ニューヨークタイムズが選ぶ2016年に訪れるべき52カ所の第9位となったスウェーデン南部スコーネ地方の第三の都市である。
 トニックウォーターにエスプレッソを注ぐドリンク、エスプレッソ・トニックは、ラブ・コフィ・ロースターズの夏の定番。開店した2年半前から夏のメニューとして採用、人気の上昇は止まらない。「最近は春に天気がよくなると、"いつからエスプレッソ・トニックが飲めるの?"と聞かれるほどなんだ。試したことがない人は大体驚くけど、"嫌いだったらただにするよ!"って言って試してもらって、嫌いだった人はまだいないね。友達と一緒に来て勧める人もいるよ」とオーナーのダニエル・レムヘデゥン。

ラブ・コフィ・ロースターズ

[左] オーナーのダニエルが作るエスプレッソ・トニックは、爽やかで美味しいと評判だ。[中] ラブ・コフィ・ロースターズのエスプレッソ・トニック(40クローナ)。そのまま泡を楽しんでもいいし、よくかき混ぜて飲むのもおすすめ。[右] 白と木を基調とした店内。天気がよければ、奥に見える中庭で太陽を楽しみながらコーヒーを楽しむことができる

 ラブ・コフィ・ロースターズでのエスプレッソ・トニックの歴史はまだ比較的短いが、ダニエルがエスプレッソ・トニックに出会ってからはすでに10年近く経つ。「たしか、どこかのバリスタの大会で見たのが最初だったと思う。それよりも前に、イタリアのサンビター(苦みのあるノンアルコール炭酸飲料)とエスプレッソをミックスしたのがあるとも聞いたことがあるよ。トニックはそれに比べて苦くないけれど、微妙な苦みに加えて爽やかさもあるから、大人が好きなさっぱりした味わいになるんだ。酸味が強くてフローラルな香りのするコーヒーとは、いいコンビなんだよ」とダニエル。

ラブ・コフィ・ロースターズ

[左] コーヒーを楽しみながら、コーヒー豆やコーヒー器具の購入も可能。日本の器具も並ぶ。
[右] 左:スウェーデン人のおやつに人気のカルダモンロール(25クローナ)。 右:スウェーデンの伝統菓子トスカケーキ(20クローナ)。

バーテンダーとしての経歴も持つダニエルは、エスプレッソ・トニック以外のコーヒードリンクにも興味を持っており、 「成功するコーヒードリンクは、クラシックなカクテルを基本にしたものだと思う」と語る。来夏にはコーヒードリンクのメニューを拡大予定。「カクテルの世界では浸透してきているけれど、"シュラブ"(フルーツやハーブを混ぜて作るビネガー入りシロップ)を使って、いろんなフレーバーのエスプレッソ・トニックを作ろうかな」と案を明かしてくれた。シュラブは数滴で十分なフレーバーになるらしい。進化するコーヒードリンクの今後に注目したい。

*ルンドは、デンマークの首都コペンハーゲンから電車で1時間程度、スウェーデンの首都であるストックホルムからだと、電車で4時間強。

〈カフェ情報〉
Love Coffee Roasters/Love Coffee Roasters
klostergatan 1L, 222 22 Lund Sweden
TEL: +46 73 677 65 60
www.lovecoffee.se
営業時間 
8:00〜18:00(月〜金)、10:00〜17:00(土)、11:00〜16:00(日)

*1クローナ=約12.7円(2016年7月現在)
文・写真=猪木祥司(コペンハーゲン市在住)
更新日:2016/7/15

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