COFFEE BREAK

世界のコーヒー

世界のコーヒー-World-

2016.07.01

Vol.39 スウェーデン:コピ(Koppi)

世界中で愛されるコーヒー。楽しみ方、味わい方は、お国柄によっても千差万別です。コーヒービジネスもまた、その都市ならではのチャレンジを重ね、さまざまな広がりを見せています。
近年、夏が近づくと「エスプレッソ・トニック」で暑気払いをする人たちが増えているようです。発祥と言われる北欧・スウェーデンの2軒に取材しました。まずは、すでに8年以上前から「エスプレッソ・トニック」が定番メニューと言うカフェをご紹介します。

エスプレッソ・トニックをいち早く定番に。

Vol.39 スウェーデン:コピ(Koppi)
www.koppi.se

スウェーデン・コピ(Koppi)

コピでは、エスプレッソ・トニックをカフェ・トニック(Kaffe &Tonic)と呼んでいる。数年間、エスプレッソの代わりに水出ししたコーヒーをトニックウォーターに注いで出していたこともある。「でも、やっぱり、水出しコーヒーよりもエスプレッソの方がいいということで、エスプレッソに戻したの」とオーナーのアナさん。

 世界各国のカフェで夏のドリンクとして見かけるようになったエスプレッソ・トニック。スウェーデンのヘルシンボリ*という街にあるコピは、すでに8年半以上このドリンクが定番メニュー。ヘルシンボリは、ニューヨークタイムズが選ぶ2016年に訪れるべき52カ所の第9位となったスウェーデン南部スコーネ地方の第二の都市である。
 北欧には酸味が強くフルーティーで、香りの高いコーヒーが多い。それにトニックウォーターの甘さとほのかな苦味が加わったエスプレッソ・トニックは、レモネード感覚で楽しめる爽やかなドリンクだ。意外な組み合わせだが、「試すと、95パーセントの人が好きになり、変だと思うのは残りの5パーセントだけ。トニックウォーターかジントニックが好きな人なら、好きになる可能性は高いわ。牛乳ベースの普通のアイスコーヒーに比べると、エスプレッソ・トニックはもっとフレッシュな味なの」とコピのオーナーの一人であるアナ・ルネルが語る。

スウェーデン・コピ(Koppi)

[左] 氷のたくさん入った三角フラスコにライムとトニックを加え、最後に出来立てのエスプレッソを注ぐ。三角フラスコを使うのは、コピならでは。[中] カフェ・トニック(40クローナ)とルバーブレモネード(35クローナ)。レモネードは数種類あり、すべてアナさんの手作り。[右] 天気が良いと、大きな窓から太陽光が燦々と入る。店名のKoppiは、インドネシア語でコーヒーを意味するKopiから来ている。「でもスペルが可愛くないから、pを余分に入れたの」とアナ。

アナがエスプレッソ・トニックに出あってから、すでに10年近くになる。コピの共同経営者であるチャールズ・ストランドと共に、オスロでバリスタとして働いていた時である。「ある日、閉店後に同僚が作ってくれて。それで夢中になったの」とアナ。オスロで働いていた店では、エスプレッソ・トニックを販売していなかった。その後、アナはチャールズとスウェーデンに帰国し、2007年10月にコピを開店。エスプレッソ・トニックは、その時からコピの定番メニューである。一年を通してメニューにあるが、売り上げのピークはやはり夏。
 エスプレッソ・トニックが浸透し始めたのは、4〜5年前にニューヨークタイムズが取り上げてからだという。それ以降、米国で人気の食の雑誌「ボン・アペティート」、英国の日曜紙である「オブザーバー」等に紹介された。「エスプレッソ・トニックの売り上げは好調なの。写真を見ると繊細な感じがして、飲まなきゃ!という気分にさせてくれる。これを飲むために来る人が増えてきて、だんだんコピの看板ドリンクになってきたの」とアナ。それと同時に、世界各地のカフェで、見かけるようになった。スウェーデン国内でも、2〜3年前頃から本格的に浸透し始めた。

スウェーデン・コピ(Koppi)

[左] 非常に美しいインテリア。階段を上がって左には焙煎所がある。[右]上から時計回りで、ココナッツマカロン(15クローナ)、クランブル(38クローナ)、サンドイッチ(70クローナ)

「これだけ浸透してきたのは、すごい。作り方は色々あるから、美味しそうなのもあればそれほどでないものも。うちでは氷をたくさんグラスに入れ、必ずライムかレモンを入れて、軽くてフレッシュな味にしている」とアナが美味しいエスプレッソ・トニックを作るコツも明かしてくれた。次なるコーヒードリンクは、色々実験しているものの、「コーヒーの味がしっかりしているので、なかなか釣り合いが取りにくいの。まだこれだという味に出あってないわ」とアナは語った。

*ヘルシンボリは、デンマークの首都コペンハーゲンから電車とフェリーを乗り継いで1時間15分程度、スウェーデンの首都であるストックホルムからだと、電車で5時間強。

〈カフェ情報〉
コピ/Koppi
Norra Storgatan 16, 252 50 Helsingborg Sweden
TEL: +46 42-13 30 33
www.koppi.se
営業時間 
9:00~18:00(月~金)、10:00~16:00(土)日曜定休

*1クローナ=約12.7円(2016年7月現在)
文・写真=猪木祥司(コペンハーゲン市在住)
更新日:2016/7/1

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