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世界のコーヒー-World-
生産者とのフェアなビジネスも障害者の就労支援も行う ロッテルダムから
生産者とのフェアなビジネスも、障害者の就労支援も行う。
Vol.122 オランダ・ロッテルダムから。
以前の勤務先では、企業の社会的責任を実践するCSR(コーポレット・ソーシャル・リスポンシビリティ)プロジェクトに取り組んでいたと言うペリー・ファン・ギルスさんが、ロッテルダムにコーヒー焙煎所「ソココ」を立ち上げたのは2年前のこと。「CSRと言っても、企業である以上やはり利益最優先で、プロジェクトには大きな矛盾があった。以前から縁と関心があったコーヒービジネスを通して、納得のいく社会貢献をしていきたいと考えた」と、当時50歳だったペリーさんは一大決心で脱サラした。
ソココの自慢の豆は、グアテマラやブラジルで試行錯誤を繰り返しながら高品質のコーヒーを栽培する生産者から直接買い付けている。中間搾取を排除し、輸送も自ら手配するなどサプライチェーンを徹底的にスリム化。「おかげで、"フェアトレード"が定める倍の価格を生産者に支払えている」と言うペリーさんにとって、よりフェアでサスティナブルなトレードの実現は大きな目標の一つでもある。
一方、焙煎後の豆の袋詰めや、発送のための梱包は、オランダ国内の障害者就労支援施設に発注している。そして、ソココが運営するカフェでは、薬物中毒や引きこもりなどの理由で労働市場から離れていた人々の就労支援として、バリスタやサービス業のトレーニングプログラムを提供。「ラテアートの作り方やサービス業をゆっくりと習得していくことを通して、失った自己肯定感を取り戻してもらうことがトレーニングの最大の目的。コーヒーは、そんなプロセスを支えるのに最適なプロダクトだと思う」。
顧客の大半が中小企業で、社内に設置するマシーンや備品と併せてコーヒーを販売しているというソココにとって、コロナ禍における出勤の自粛は大きな打撃となった。だが、「個人のオンライン注文が増加しているので、愚痴る理由はない(笑)」と楽観的。「コロナ後も、リモートワークは定着していくだろう。そうなれば、オフィスは社員が集うサロンの役割も担うようになる。そのような場所に相応しいのは、多少値段が高くても、美味しくてサスティナブルなコーヒー。新しい可能性を感じるよ」。ペリーさんはすでに、コロナ後のビジネス展開にも思いを馳せているようだ。