COFFEE BREAK

BOOK

文化-Culture-

2017.12.20

コーヒー歴史トリビア・クイズ〈コーヒー道具開発の変遷編〉

謎めいているからおもしろい!コーヒー歴史トリビア・クイズ
〈コーヒー道具開発の変遷編〉

 いまや世界中の人々に愛されているコーヒー。ドラマに満ちたその歴史には多くの謎が残されている。クイズ形式のコーヒー歴史トリビア、第8回はおいしいコーヒーをいれるのに欠かせない「道具開発」がテーマです。
Question1

 人類が初めてコーヒーを摂取した紀元前800年頃、エチオピアで人々がコーヒーを嗜んでいた方法は、つぎの3つのうちどれ?

a 干して乾燥させた豆を焚き火に放り込んで煎り、その香りを嗅いだ
b 豆を臼で挽いて団子にし、食べた
c 豆を生のまま湯に入れて煮出した汁を飲んだ

Answer1 b 豆を臼で挽いて団子にし、食べた

最初は熟した豆全体を臼で挽き、殻も油も一緒に団子にして食べていた。その後、一旦豆を乾燥させてから同様のプロセスを経て団子にするようになった。いずれにしても、コーヒーはもともと「食べ物」だったのだ。つまり、原始的な石臼と杵がコーヒー豆を粉砕し、細かくする最初の道具だったということ。

Question2

 17世紀、コンスタンチノープル(現在のトルコ・イスタンブール)で一般的だった「コーヒー器具一式」には、フィンジャンと呼ばれる陶製の小さなカップの他に3つのものが含まれていた。その3つとは?

Answer2 煎り板、グラインダー、コーヒー沸かし器

煎り板は最初は土器で、後には金属で作られた。おたまを平らにしたような形状で、豆を載せる部分には火のまわりが良くなるよう、小さな穴が開けられていた。グラインダーは筒状で、現在のミルの原型となったもの。コーヒー沸かし器は長い柄のついた金属製で、柄杓のような形をしたもの、またはビールのマグに注ぎ口をつけたような形をしたものがあった。

Question3

 1670年頃ヨーロッパとアメリカで大流行し、19世紀半ばまで家庭で好んで使われたコーヒー焙煎器を開発したのはどこの国の人?

a フランス
b トルコ
c オランダ
d イタリア

Answer3 c オランダ

これはバグダッド風焙煎器が備えていた長い柄とトルコ風の焙煎器に遡る筒状のスタイルを合体させたもので、火の上に豆の入った筒をかざし、木の取っ手がついたハンドルで回せるようになっていた。筒の一端から鉄の棒が出ていて、それを暖炉のフックに掛けて使うこともできた。1722年にロンドンのコーヒー業者が記した文章には以下の一文がある。「オランダにては、著名人はほぼすべからく本人みずからコーヒー豆を煎る」

Question4

 1754年、フランス・ベルサイユの国王の軍隊に納入された物資のなかにコーヒー焙煎器が含まれていた。その素材とは?

Answer4 金や銀

当時、焙煎器は錫の板か錫を貼った銅板が一般的だったが、貴族階級のためには金や銀が使われた。同じ頃、フランスでは紳士がポケットに入れて持ち歩くことのできるコーヒー沸かし一式が大流行した。中身は、焙煎器、グラインダー、ランプ、油、カップ数個、ソーサー数枚、匙数本、砂糖だったというが、果たしてそんなにたくさんのものが本当にポケットに収まったのだろうか?

Question5

 18世紀前半、コーヒーの抽出のための画期的な道具が発明された。今日でも使われるその道具とは?

Answer5 ドリップに使うネル袋

ネル袋は1710年にフランスで登場した。同じ頃、フランスの家庭で広く使われていた焙煎器具はニスを塗った土器の皿だったことがわかっている。1720年頃には小麦挽きを改良したずんぐりとした箱型のコーヒーグラインダーが広く普及した。1763 年にパリの錫細工師ドンマルタンが、ネル袋を使った「アーンポット」という器具を考案したとの記述が文献にあるが、残念ながら図版は挿入されておらず、どんな形をしていたのかはわからない。

Question6

 19世紀に入ると、発明家たちはコーヒー抽出器開発で激しい特許取得合戦を繰り広げる。その中心となった道具とはつぎの3つのうちどれ?

a コーヒーサイフォン
b パーコレーター
c エスプレッソマシーン

Answer6 b パーコレーター

1806年、アメリカ生まれのイギリス人科学者で王立協会会員ベンジャミン・トンプソンによってパーコレーターが発明された。彼はラムフォード伯爵という爵位を与えられていたので、このパーコレーターを「ラムフォード伯爵のパーコレーター」と呼ぶ。パーコレーターの原理は、ポット内の中空に挽いた豆を入れる格子容器が据えられ、下部の湯だめで熱せられたお湯が中心部を貫く細い管を上がってその容器に噴霧され、粉状の豆に浸透して成分を抽出するというもの。アメリカで特に普及し、1970年代にドリップ式の自動コーヒーメーカーに取って代わられるまでは中心的なコーヒー器具の役割を果たした。

※参考文献/『オール・アバウト・コーヒー―コーヒー文化の集大成』(TBSブリタニカ)

文・構成 浮田泰幸 / イラスト・マツモトヨーコ
更新日:2017/12/20

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