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COFFEE BREAK
インタビュー-Interview-
小野リサ【ボサノヴァ歌手】
一番ホッとできる味は、故郷ブラジルのコーヒー。
小野リサ【ボサノヴァ歌手】
私の生まれ育った国、ブラジルでは、コーヒーはとてもポピュラーな飲み物。1日中、さまざまなシチュエーションでコーヒーを楽しみます。朝起きたら、まずコーヒーをいれて、温かい牛乳をその日の割合で注ぎ、家族でカフェオレを飲むところから1日がはじまります。日本では誰かのお家に伺うと、麦茶や緑茶が出てくるのと同じように、ブラジルでは、デミタスカップでコーヒーを出します。お砂糖を2〜3杯入れて、とても甘くするのがブラジル流。暑い国なので、消耗した体力を糖分で補うためかもしれません。
そして、久しぶりの友達に会ったときは、「コーヒーを飲みに行こうよ!」と、声をかける。「久しぶりにゆっくり話そうよ!」というニュアンス。これも、とても日常的な会話です。
レストランを経営していた父の知り合いに、コーヒー農園を営んでいる日系の方がいて、幼い頃、私も家族と共に遊びに行った記憶があります。私が住んでいたサンパウロから、車で1時間半ほどかかる場所にありました。農園で栽培された出来のよいコーヒー豆は全て輸出にまわし、選別から外れた豆が、ブラジルの一般家庭で飲まれます。当時はまだ子どもだったのでわかりませんでしたが、コーヒーを飲みはじめてからは、この一般的なブラジルコーヒーが、どのコーヒーよりも美味しいと感じています。品質の評価は低いのかもしれませんが、私にとって、ホッとできる味なのです。
「ジャズ喫茶」は、日本独特のスタイル!?
「コーヒーブレイク」という言葉通り、レコーディングなどで作業が一段落し、次の作業に入る前の気分転換に、私はいつもコーヒーを飲んで一息入れます。コーヒーには眠気をとる効果があるといいますし、「ちょっとシャキッとしたいな」と思うときにも、お茶よりもコーヒーを選ぶ。運動して体力を消耗した後に飲む一杯のアメリカンコーヒーも、すごく美味しい! 私の場合、コーヒーブレイクには、本も音楽も必要ありません。何かをしながら飲むよりも、ただ、コーヒーと対等に向かい合い、その時間をコーヒーと共有する、そんな感じです。
そういえば、「ジャズ喫茶」は、世界で類を見ない、日本独特のスタイルですね。主に食後やブレイクタイムに、コーヒーを楽しむ海外の方たちは、「コーヒーを飲みながらじっくり音楽を聴くの!?」と、とても驚いていました(笑)。結構、マニアックな古いジャズのアルバムなども置いてあったので、私は好きで、よく通っていましたよ。
最近はみなさんコンピュータをよく使うので、自分だけの世界で過ごす時間も多いでしょう。けれどもたまには、オープンテラスのカフェで、行き交う人々を見ながら、コーヒーを飲んでボーッとする日曜日なんていうのも、素敵ですよね! 忙しい時間の流れの中にいても、節目節目にコーヒーを飲んで、リラックスしてから次のことを実現していく。5分でも10分でも、それは貴重な時間になると思います。
2002年に発売したイタリア語のアルバム『QUESTA BOSSA MIA...(クエスタ・ボッサ・ミーア)』の中に、「COSA HAI MESSO NEL CAFFÉ(コーヒーに何を入れたの?)」という曲が収録されています。恋をした女性が、恋人に向かって、「私を虜にするなんて、あなたは私のコーヒーに何を入れたの?」と、問いかけている曲です。とっても可愛いでしょう? 私にはこんなロマンティックな経験はないのですが(笑)、お仕事でお会いするさまざまな魅力を持つ方たちと、一緒にコーヒーブレイクすることはありますよ。