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COFFEE BREAK
インタビュー-Interview-
水谷 隼【プロ卓球選手】
ブラック・コーヒーの美味しさに開眼。
水谷 隼【プロ卓球選手】
卓球個人で日本人初の五輪メダリストとなった水谷さん。10代から続くコーヒーとの日々に変化が起きたのは20代後半でした。
コーヒーを日常的に飲むようになったのは、14歳でドイツに卓球留学をしてからです。卓球ブンデスリーガ(全国リーグ)のチームに所属して約5年間、練習と試合に明け暮れる毎日を過ごしました。食事でレストランに行くと、ほとんどの人がごく当たり前に食後のコーヒーを飲むので、僕も滞在中にそれが習慣になりました。
とはいっても当時はまだ10代ですから、砂糖やミルクを入れて飲んでいました。もともと日本にいる時からコーヒー牛乳は大好きだったんです。その後、19歳で中国、24歳でロシアと、所属チームは変わりました。でも、20代後半まではずっと、最初にドイツで飲んだのと同じちょっと甘いカフェラテのようなタイプが好みでした。
そんな僕が3年前からはブラックを飲むようになったんです。ある時ふと思い立って、ミルクと砂糖を入れずに飲んだら、これが美味しい! カフェラテよりもブラックのほうがコーヒーの味わいがしっかりわかって、好きになりました。まさか自分がブラックを飲むようになるとは思いませんでしたね。歳を重ねると味覚が変わってくるようなことがあるのか......不思議です。コーヒーを飲みたいなあと思うことも多くなって、今では毎朝、食後にまず1杯目のコーヒー。飲まないと1日がスタートしません。1週間で10杯、年間で500杯くらいかな(笑)。
また、僕はカレーが大好きで、市販のカレーの監修もさせていただいているのですが、カレーに使われるスパイスの脂肪燃焼効果がコーヒーのカフェインとの組み合わせで、さらに促進されるという話を聞きました。これは嬉しい発見でしたね。
試合が再開したら、あっと驚くプレイを見せたい。
3月のカタール・オープン以来、新型コロナウイルスの影響で国内外の試合が延期や中止になっています。4月には緊急事態宣言発令後にトレーニングセンターも閉鎖され、自粛生活に入りました。僕自身も約1カ月半はほとんど家から出ず、ラケットも握らず、何もせずに過ごしていました。怪我をしたわけでもないのに練習をしたくてもできない日が続くというのは、これまでの卓球人生で初めての経験でした。
その時にまず思い知ったのは、アスリートである自分がいかに無力であるかということです。医療関係の方や、食品や生活物資を運んだり売ったりする方々は、毎日必死でコロナと立ち向かってくれていて、彼らが頑張っているんだから自分も、と思うけれど、本当にすることがなくて。何かしなくちゃいけない、でもできない、という葛藤が毎日続きました。でもそのうちに、今は確かに無力だけれど、もう少しコロナが落ち着いてきて普通の生活に戻れるようになったら、その時にはみんながあっと驚くような、そして、見てくださる方に夢や希望を与えられるようなプレイをしたいという気持ちが湧いてきました。いい意味で、開き直りですかね(笑)。でもほんとにその思いは日々、一層強くなっていて、そのために今は鍛えています。
練習は5月から再開しています。試合がないとモチベーションを保つのはなかなか難しいのですが、今は次にジャンプアップするためのリフレッシュの時期と捉えて、自分が大好きな卓球ができることの喜びをかみしめながら過ごしています。年を重ねてコーヒーの好みが変わったように、30代は体や体力の変化も出てくると思いますが、常に全力で頑張っていきたいです。
1989年生まれ。静岡県磐田市出身。5歳で卓球を始め、中学時代にドイツに卓球留学したのを皮切りに、中国、ロシアと、海外のクラブで活躍。北京、ロンドン、リオデジャネイロの三大会で五輪日本代表となり、リオ大会では日本人初のシングルスメダリスト(銅メダル)に輝く。全日本卓球選手権大会男子シングルスで史上最多優勝10回、史上最多記録13年連続決勝進出、史上最多記録5連覇を達成。