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COFFEE BREAK
インタビュー-Interview-
鶴見辰吾【俳優】
仕事と私とコーヒーと。 Vol.15
鶴見辰吾【俳優】
中学生でデビューして以来、40年以上第一線を走り続ける鶴見辰吾さん。毎日の生活に欠かせないコーヒーについて、あれこれと語っていただきました。
俳優の1日は朝のコーヒーで始まる。 「毎朝、妻がペーパーフィルターやドリップケトルを使って、1杯いれてくれます。仕事の撮影現場には〝お茶場〟と呼ばれる憩いの場があり、差し入れのお菓子や飲み物が用意されているのですが、ここで撮影の合間にコーヒーを飲みながら、共演の人たちと雑談したり、アイディアを出し合ったり。そんなふうに、1日のうちに必ず何度かコーヒーの時間があります」
コーヒーの芳醇な香りに、本能的な安らぎを感じる。
コーヒーは嗜好品としてだけでなく、その効能にも信頼を寄せている。 「台詞を覚える時や、次の撮影に入る前などにコーヒーを飲むと、気持ちの切り替えが効いて集中力がより高まる気がします。味も好きですが、まずはやっぱり香りに心が惹かれます。フランス料理では、食後に楽しむ4つのCと呼ばれる嗜好品があり、それはコニャックとシガール(葉巻)とチョコレート、そしてコーヒーです。どれも芳醇な香りが魅力ですね。思うに、もしかしたらそれは人間が火を使うようになってから本能的に蓄積された、安らぎを感じる香りなのではないかと。コーヒーもその最たるもので、コーヒーをたしなむのは、音楽や文学や演劇などさまざまなクリエイティビティを刺激するような、非常に大切なことなのではないかと思います」
40歳を目前に、一つの転機があった。 「ゴルフ練習場にいくのにクルマから自転車にして、クルマが入れない狭い道を走るようになったら、小さな発見の連続でした。この道はあの道に繋がっていたのか、とか、こんなところにカフェがあったんだ、とか。地理がわかってくるとさらに面白くなって、ゴルフよりも自転車で20キロ、30キロ走るのが楽しくなったのです」 好きが高じて高速走行が可能なロードバイクに乗り換えると、1日100キロ走るのが普通になり、国内外のレースに参加するようにもなっていった。 「若い頃は、山道を自転車で走っている人を見るとただ、『変わってるなぁ』と。まさか、自分が40歳を過ぎて自転車で箱根の山を上るような変なおじさんになるとは、夢にも思わなかったですね。でも、そういう、自分の意外性がとても面白かったんです。意外性は、可能性でもあるんですね。以前は否定的に捉えていたことを楽しく感じられるのは、人間が豊かになっているということ。それは、人生の希望につながっていきます」 50代からはマラソン。フルマラソン初挑戦で3時間台のタイムを記録した。 「自転車で200キロのレースに出ていた頃、今ならやれるかなとチャレンジしてみたのが始まりでした。以前は、何を好き好んで40キロも走るんだろうって思っていたのに(笑)。自分にフルマラソンを走る体力があることを確認できると、何かあったら歩けばいい、自分の足がある、というとてもポジティブな思考になってきます。さらに、自転車やランニングのもう一つの魅力は、街の匂いがわかること。風や花の香りで、あ、春が来たなと感じたり、すごくいい香りがしてきたと思ったら近くにカフェがあったりして、思わずコーヒーブレイクしたり。それは走っている時のご褒美ですね」