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COFFEE BREAK
インタビュー-Interview-
奥野史子【スポーツコメンテーター、元シンクロナイズドスイミング選手】
夫のおかげでコーヒー党に
奥野史子【スポーツコメンテーター、元シンクロナイズドスイミング選手】
バルセロナ五輪銅メダリストの奥野さん。競技者を引退してから本格的にコーヒーを楽しむ日々をおくっているようです。
私がシンクロナイズドスイミングの選手をしていたのは、今から20年以上前。あの頃は、常にオリンピックや世界選手権を目指して合宿で練習に明け暮れる日々でしたから、飲み物といえばスポーツドリンクが中心でした。今は合宿所にカフェテリアのような施設がありますが、当時はゆっくりお茶を飲むような場所もなければ、そのような雰囲気もありませんでした。
選手時代にも一つだけとても強烈なコーヒーの思い出があります。遠征で南イタリアのサレルノというところに行ったときのことでした。練習をしていたプールサイドにカフェがあって、休憩時間にコーチがそこへ飲み物を買いに行ってくれたのです。数分後、「これしか売ってなかった」といって小さいカップに入ったコーヒーを渡されたのですが、一口飲んで、衝撃を受けました。ものすごく苦い......私がそれまで知っていたコーヒーとはまったく別の飲み物で、美味しいというよりもまるで気付け薬のような......きりっと目を覚ましてくれる刺激的な味でした。それが、私にとって人生初のエスプレッソとの出合い。18歳のときでした。
シルク・ドゥ・ソレイユで知った、演じる楽しさ。
今は毎日のようにコーヒーを楽しんでいます。朝はたいてい、夫(北京五輪陸上男子リレー銅メダリストの朝原宣治さん)がコーヒーをいれてくれます。じつは、私にコーヒーの美味しさを教えてくれたのは夫なのです。夫の家族はコーヒー好きで、交際中に彼の家に行ったとき、初めて目の前でサイフォンでコーヒーをいれていただいて、とても感激したのを覚えています。彼が子供の頃から、休みの日にはお父様が必ずコーヒーをいれていたそうで、和菓子に日本茶派だった私の実家とは大違い。いろんな意味で新鮮でした。そんな環境で育った夫にとって、毎日自分でコーヒーをいれるのはごく自然なことのようです。いつもありがたくいただいています(笑)。
シンクロナイズドスイミングの競技から引退した後、私はカナダのエンターテインメント集団「シルク・ドゥ・ソレイユ」の入団テストに合格し、約2年間、水中ショーに出演しました。ラスベガスでも公演があり、そこで特に印象に残っているのが、レイクラスベガスのホテルのカフェです。中心街から東へ数十キロ行ったリゾート地で、その名の通り湖があって、周りにホテルやカジノ、ショッピング街が並んでいます。その中のホテル「ザ・リッツ・カールトン」のカフェでいただくコーヒーがとても美味しくて。美しい眺めとともにとても気持ちよい時間を過ごすことができました。
現役時代、私にとってのシンクロナイズドスイミングは勝つか負けるか、それがすべてでした。引退後に「シルク・ドゥ・ソレイユ」に入団したのは、そんなシンクロを新たにエンターテインメントスポーツとして追求してみたいと思ったからです。シンクロでアーティスティックな世界を創り上げていく作業はとても自由で楽しく、やりがいのあるものでした。私は今、子供たちにシンクロを教えていますが、自分の経験を生かして、子供たちがシンクロを通して自己表現をしたり、人とのコミュニケーション能力を高めたりするような、そんな場所を作っていきたいと思っています。