COFFEE BREAK

インタビュー

インタビュー-Interview-

2014.12.25

三宅宏実【女子重量挙げ選手】

三宅宏実【女子重量挙げ選手】

試合や練習の前にコーヒー、がいいんです。
三宅宏実【女子重量挙げ選手】

ロンドンオリンピック女子重量挙げ48キロ級で銀メダルを獲得した三宅さんは、お父さんの影響でコーヒー好きに。

 うちの父は昔からコーヒーが大好きで、1日に何杯も飲みます。だから、コーヒーは物心ついたときからとても身近な存在でした。食事の後に母がコーヒーをいれるのを、傍でよく見ていたものです。小学生の頃、たまたま母がいないときに、私が代わりにいれてみたことがありました。ペーパーフィルターにコーヒーの粉を入れた後で、父から「お湯は一気に注いじゃだめ。少しずつがいいんだよ」と教えてもらったのですが、実際にやってみると、それがなかなか難しくて。父は味にもけっこううるさいので、緊張しながらいれたことを覚えています。

 子供の頃から、「ブラックコーヒーを飲むことができたら大人だ」というイメージをずっと持っていました。でも実際には、大学生になっても私が飲むのは圧倒的にコーヒー牛乳。23歳頃から、コーヒーと牛乳の比率を3対7から始めて、徐々にコーヒーの量を増やしながら飲むようにしていきました。それで、25歳で完全なブラックコーヒーを美味しいと思えるようになったのです。「ついにこれで大人の仲間入りだ」と思ったら、嬉しかったですね(笑)。

試合前のコーヒーが、集中力を高めてくれる。

「休日にはカフェで本や雑誌を読むことも多いです。コーヒーの香りにはリラックス効果も」と三宅さん。

 最近、気がついたのですが、コーヒーのおかげで集中力が増すのです。あるとき、練習が始まる2時間くらい前にブラックコーヒーを飲んだら、その日の練習が終わるまでの間、集中力がまったく途切れなかったということがありました。これはいいなと思って、実際の試合のときも開始1時間前にブラックコーヒーを1杯飲んでみたところ、頭がきりっと冴えて、とてもいいパフォーマンスができたのです。この〝試合前のコーヒー〟は、今後も続けてみたいと思っています。

 重量挙げを始めたときに、父と約束したことが2つありました。1つは、絶対に途中で投げ出さないこと。そして、もう1つは、オリンピックでメダルをとるということです。でも、初めて出場したアテネ大会と次の北京大会では結果を出すことができませんでした。北京の後に〝これでやめたら人生に悔いが残る。もう一度がんばろう〟と思って練習に打ち込み、2012年のロンドン大会では銀メダルをとることができました。ついに夢が叶って、達成感も十分に味わいました。

 そのせいか、その後2年間くらいは自分の中でモチベーションが上がらず、気持ちに身体がついていかない状態が続きました。でも、今年になってもう一回やりたいという気持ちがわいてきて、今は2016年のリオデジャネイロオリンピックを目指して練習を続けています。年齢も30代に入りますし、これまでと同じようにはいかないことも多いかもしれません。でも、40代になっても活躍している先輩アスリートもいらっしゃいますし、これからはまた新しい自分に合った調整法をみつけながら、自分のスタイルを作っていくことができればと思っています。

 1つの壁を越えると、また次に新たな壁。人生はその繰り返しで、きっとゴールがないから楽しいんだろうなと思います。

文・牧野容子 / 写真・大河内禎
更新日:2014/12/25
PROFILE
三宅宏実(みやけ・ひろみ) 埼玉県出身。幼い頃からピアノを習い、中学ではソフトテニス部に所属。2000年のシドニー五輪の開会式に感動し、重量挙げの世界に。12年ロンドン五輪では重量挙げ女子で日本初のメダリストに。父、善行さんはメキシコ五輪重量挙げフェザー級で銅メダル、叔父の義信さんはローマ五輪で銀、東京五輪、メキシコ五輪で金メダルを獲得。趣味は足のネイルアート、映画鑑賞など。 協力/マーサカフェテラスハウス(TEL03・5467・2551)
三宅宏実【女子重量挙げ選手】
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