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COFFEE BREAK
インタビュー-Interview-
coba【アコーディオニスト】
イタリア留学が、コーヒー人生の出発点。
coba【アコーディオニスト】
18歳でイタリアに留学し、ヴェネツィアの音楽院に4年間通いました。このときの経験が、今の僕の人生のベースになっています。コーヒー、ワイン、料理、陶器、建築......興味があるものは、すべてイタリアに行って好きになったものです。
コーヒーはとにかく1日中飲んでいます。スタジオでレコーディングをするときなど、水のようにがぶがぶと飲むのは薄いタイプのコーヒーですが、ここ一番、うまいコーヒーを飲みたいときにはやっぱりエスプレッソです。夕食の後にはエスプレッソにグラッパ(ブランデーの一種)やリキュールを入れたカフェ・コレットがいいですね。サンブーカというアニス(セリ科の植物)を使ったアマーロ(リキュール)を入れると、甘みと苦みの絶妙な共演を愉しむことができます。
以前、エスプレッソ・マシンの老舗メーカーの社長とお話ししたときのことです。僕が、日本ではコーヒーは嗜好品だと考える人が多いですと言うと、彼が急に怒り出し、「嗜好品だと? ふざけるな、イタリア人はコーヒーがなかったら死んじゃうんだよ」と言うのです。これこそイタリア的感覚。彼らにとってコーヒーは、音楽やアートと同様に人生に欠かせないもの。生活サイクルの一部なのです。
イタリア人の気性は、コーヒーの味わいにも似て。
留学時代の最初の1年間は、カルチャーショックの連続でした。イタリアの人たちは自分の気持ちにとても正直に生きています。僕は日本にいるときに、親からは、自分の主張をする前にまず人のことを考えなさいと教えられて育ちました。でもイタリアではそれは通用しなかった。自分から動かないと他の人間は何もしてくれない、ということを痛感させられました。
自分を抑えず、生きたいように生きるイタリアの人たちは、一見、わがままにも思えます。でも、彼らは基本的に人に対する好奇心が旺盛で、他人をリスペクト(尊敬)する気持ちをもっています。自分の欲望にわがままになった分だけ、他の人も大切にする。これで社会のバランスがとられているのです。ちょうどコーヒーの苦みと甘みのバランスのようなものですね(笑)。
僕が通っていた音楽院のすぐ近くにバールがあり、そこでよくコーヒーを飲みながらピンボールで遊びました。毎日のように通ううち、僕はピンボールの無敵の王者になっていました。昼休みにバールに行き、ピンボールに熱中しすぎて授業に戻るのを忘れ、校長先生に連れ戻されて怒られたこともありました(笑)。その校長先生は僕のもう一人のお父さんで、アーティストデビューをしてからも僕が会いにいくのを楽しみにしてくれています。僕も、成長した姿を見てもらいたくて、ヨーロッパツアーのたびにヴェネツィアまで必ず足を延ばします。