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COFFEE BREAK
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健康-Health-
2024.11.18
コーヒーで感染症予防?
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教えてくれたのは...... 泉福英信さん
博士(歯学)。日本大学松戸歯学部歯学科教授。1988年に日本大学松戸歯学部を卒業。92年に同大学院松戸歯学研究科博士課程修了。 国立予防衛生研究所(現・国立感染症研究所)研究員、国立感染症研究所細菌第一部室長などを経て、2021年から現職。2021年に「コーヒーによるSARS-CoV-2の口腔粘膜感染阻止に関する研究」という研究結果を発表。取材協力:亀井秀一郎さん(日本大学松戸歯学研究科)
冬に呼吸器感染症が流行する理由
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空気が乾燥し、気温が下がる冬。風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症など、呼吸器感染症が流行しやすい季節です。
インフルエンザ
毎年、12月から翌年3月にかけて流行するインフルエンザは、咳やくしゃみ、会話による飛沫感染、またはウイルスが付着した手で口や鼻に触れる接触感染によって拡大します。特に、屋内で過ごす時間が増える冬には感染リスクが高まります。
新型コロナウイルス感染症
一方、新型コロナウイルス感染症は、夏と冬に感染が拡大する傾向があります。飛沫感染が主な感染経路であり、会話中や狭い空間での人の集まりには注意が必要です。
泉福先生 どちらのウイルスも、気温が低い環境で生存期間が長くなり、感染が広がりやすくなります。正しい手洗いやうがい、マスクの着用、十分な休養と栄養摂取、適度な湿度の維持、換気など、基本的な予防対策を心がけ、健康を守りましょう。
コーヒーが呼吸器感染症の感染リスクを下げる理由
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コーヒーには、ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸が含まれており、ウイルス感染を抑制する効果があることが明らかになっています。
泉福先生 新型コロナウイルスの表面には、スパイクタンパク質と呼ばれる突起状のタンパク質があります。ウイルス感染とは、このスパイクタンパク質が人の細胞にあるACE2という受容体に結合し、ウイルスが細胞内に侵入して増殖することを指します。
クロロゲン酸は、ACE2にウイルスが結合する前にスパイクタンパク質に付着し、その結合を阻害することで、感染を抑える可能性があるのです。
泉福先生 私たちの実験でも、新型コロナウイルスとクロロゲン酸を混ぜて反応させた後、 ACE2と反応させると、細胞に感染が起こらないことが確認されました。インフルエンザウイルスの場合、ヘマグルチニン(HA)というスパイクタンパク質が存在し、同様の作用が期待できると考えられます。
ACE2は、口腔や咽頭に多く存在しています。そのため、コーヒーを飲むことで、口腔粘膜でのウイルス感染を阻害できる可能性が示唆されているのです。
効果的なコーヒーの飲み方
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コーヒーは、口腔粘膜でのウイルス感染を阻害する可能性があり、カフェでのおしゃべりや会議中など、人と話す場面で取り入れると効果が期待できます。
泉福先生 例えば、一人でパソコンに向かっているようなシーンでは、呼吸器感染症のリスクは低いですが、複数人での会話の際には、コーヒーがおすすめです。
クロロゲン酸は、焙煎度の低い生豆により多く含まれています。
泉福先生 コーヒー豆を焙煎しすぎると、クロロゲン酸が別の物質に変化してしまいます。クロロゲン酸の含有量を高めるには、浅煎りの豆を濃いめにドリップするのが効果的です。 モカ、ブラジル、キリマンジャロの豆を比較した実験では、モカに最も多くのクロロゲン酸が含まれる結果が出ています。参考にしてみてください。
コーヒーを取り入れるときの注意点
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焙煎や抽出方法によって変動しますが、200mlのコーヒーには、70mgから350mgのクロロゲン酸が含まれることが報告されています。
泉福先生 私たちの実験では、500mgのクロロゲン酸を摂取することで有意な効果が確認されました。そのため、カップ1~2杯のコーヒーを飲むことで効果が期待できると考えられます。
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健康なときでも、コーヒーの飲み過ぎには注意が必要です。
泉福先生 特に体調が悪くて寝込んでいるようなときには、無理にコーヒーを飲む必要はありません。市販の風邪薬にはカフェインが含まれている場合があるため、飲み合わせにも注意が必要です。カップ1〜2杯のコーヒーを、おしゃべりと共に楽しむのがよいでしょう。
会話のお供に適量のコーヒーを取り入れて、リラックスしながら呼吸器感染症の予防にも役立てましょう!
まとめ
- コーヒーに含まれるクロロゲン酸にはウイルス感染を抑制する作用がある
- 浅煎りの豆を濃いめにドリップして飲むとより効果的
- おしゃべりや会議中のコーヒー摂取で口腔粘膜での感染を防ぐ可能性がある