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COFFEE BREAK
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【連載第5回】ポリフェノールの抗酸化作用で、アンチエイジングをめざせ!
美人をつくる、コーヒーの飲み方
近藤和雄(医学博士)
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倉田真由美(美容ジャーナリスト)
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倉田真由美(美容ジャーナリスト)
朝の目覚めや仕事のブレイクタイムになにげなく飲んでいるコーヒー。そのコーヒーに美容効果があることは、科学的にも証明されつつあります。では、コーヒーを飲んでキレイになるためには、どんなことに気をつければいいのでしょうか?
全日本コーヒー協会では、"コーヒーと健康"を研究するドクター・近藤和雄さん&美しい人生を追求する美容ジャーナリスト・倉田真由美さんに「美人をつくる、コーヒーの飲み方」について語り合っていただきました。
最終回のテーマは、アンチエイジング。コーヒーには「抗酸化物質」という成分が含まれています。その働きで、「善玉コレステロール」が活性化して、動脈硬化の予防に役立つのです。健康で美しい人生を送るために、コーヒーブレイクを毎日の生活に取り入れましょう。
ポリフェノールの抗酸化作用で、アンチエイジングをめざせ!
倉田 近藤先生との対談も今回が最終回。テーマは「アンチエイジング」です。
近藤 アンチエイジングを日本語に訳すと「抗老化」、つまり、老化を進めないために何をすべきか----ということになります。これを私の専門分野から考えると、「血管を若い状態で維持すること」こそが、まさにアンチエイジングということになるんです。
倉田 血管が若ければ皮膚にも臓器にも血液が行き届く、内面から健康を維持する上でも大事なことですね。
近藤 それなのに、「血管」に目を向ける人は少ない。これは大問題です。
倉田 血管の老化を進める要因は何なのでしょう。
近藤 最大の要因はコレステロールです。これが血管の中で酸化を起こさなければ、血管は若さを保ち続けることができます。言い換えれば、酸化を防ぐ、つまり「抗酸化」が、血管のアンチエイジングの上では不可欠になのです。
水だけを飲んでいるのと、日常の生活でコーヒーを飲む習慣を持つのとでは、大違いなんです。(近藤)
倉田 最近耳にすることの多い「酸化」や「抗酸化」という言葉ですが、分かっているようで意外に詳しくは知らない人も多いようです。あらためて解説していただけますか。
近藤 私たち人間は、大気中に約20パーセント含まれている「酸素」を吸って生きています。体内に取り込んだ酸素を使って「代謝」をして、エネルギーを生み出しているのですが、この時に「活性酸素」という産業廃棄物のようなものが1〜2パーセント程度の割合で産生されてしまいます。活性酸素は老化や病気の根源とされる悪玉物質。でも、人間の体には、この活性酸素を打ち消す抗酸化酵素(SODなど)があり、そのおかげで健康を維持できるのです。とはいえ、元から備わっている酵素だけでは万全ではない。それを補う食生活が不可欠になってくるのです。
倉田 そこでコーヒーに含まれる抗酸化成分が役立つわけですね。
近藤 コーヒーをはじめ、赤ワインやお茶、ココアなどにも含まれているポリフェノールを調べると、コーヒーにはクロロゲン酸、赤ワイン、お茶にはカテキンという成分が多く入っていて、これが抗酸化作用の中心的な役割を果たしていることがわかってきました。
倉田 具体的にポリフェノールはどんな働きをしているのですか。
近藤 血管が老化した状態が動脈硬化。これはコレステロール、悪玉コレステロールによっておこる病気です。この悪玉コレステロールが血管壁の中で本当の悪玉コレステロールになって、動脈硬化が進展していくことがわかっています。ポリフェノールはこの悪玉が本当の悪玉になるのを防ぐのです。さらにポリフェノールは、善玉のHDLがたまったコレステロールを血管から引きぬく場所を増やす働きをもっていることもわかってきたのです。
倉田 動脈硬化になりにくくなれば、全体的に血管は健康になっていくことになりますね。
近藤 結果的に血管が若返る----というわけです。
倉田 なるほど! でも、ポリフェノールにも色々な種類があるそうですが......。
近藤 コーヒーに含まれるクロロゲン酸の他にも、お茶に含まれるカテキンなどは有名ですね。でも、実際にはその種類は非常に多く、7000~8000種類とも言われています。
倉田 そんなに多いと、どのポリフェノールを摂ればいいのかわからなくなりますね(笑)
近藤 今後の研究にもよりますが、ポリフェノールの種類ごとに機能性を比較するよりも、「ポリフェノール」として摂取することで、アンチエイジングなどに役立てるほうが現実的でしょう。
日々の生活の中で飲むコーヒーって、どの場面にも役立つんですね。(倉田)
倉田 ポリフェノールと血管の病気との関係は、医学的にも明らかなのでしょうか。
近藤 オランダで、約800人を対象に実施された研究があります。10年間にわたって、ポリフェノールの摂取量と心筋梗塞の発生頻度の関連を調べたものですが、1日あたり30ミリグラム以上のポリフェノールを摂取していた人のグループは、そうでないグループと比べて心筋梗塞になる割合は半分以下だったんです。
倉田 それはすごい! 抗酸化作用って大事なんですね。
近藤 これは私が調べているデータですが、食事から摂れるポリフェノールの7〜8割は「飲み物」に含まれていることがわかってきた。そもそも、人間は水分摂取を目的とするなら水を飲んでいればいいのに、なぜわざわざコーヒーやお茶を飲むのでしょう。
倉田 「おいしいから」ですか?
近藤 もちろんそれもありますが、コーヒーもお茶も、歴史を辿っていくと、最初は「薬」として用いられていたものなんですね。それだけ「体にいい成分」が含まれているといえるのです、単に水だけを飲んでいるのと、日常の生活でコーヒーを飲む習慣を持つのとでは、大違いなんです。
倉田 日本のような世界一の長寿国となると、コーヒーを毎日飲むか否かで、抗酸化物質の摂取量は大きく違ってきますからね。日々の積み重ねが大事なんですね。
近藤 同じ「アンチエイジング」でも、医療と美容では、見方も少し違うところがあるかもしれませんね。
倉田 最近美容の世界ではアンチエイジングという呼び方をしなくなってきていて、「クオリティ・オブ・ライフ(QOL)」と言い換えたりしています。日本人は長生きではあるものの、人生を健康なままで全うできているかというと疑問が残ります。もちろんスキンケアは大事ですが、単に見た目の美しさを追求するのではなく、年齢とともに進む衰えをいかにして遅らせて、命ある限り人間らしく生きられるようにするためには何をすればいいのか----が大きなテーマになってきているんです。
近藤 そこは医療と重なる部分が多いですね。
倉田 そうなんです。今回先生から伺った適度な運動と休息、食生活の見直し、そして今回の「抗酸化成分の摂取」などは、とても参考になるお話でした。そう考えると、日々の生活の中で飲むコーヒーって、どの場面にも役立つんですね。先生のお話をお聞きして、コーヒーブレイクの重要性がよく理解できました。
医学博士。東京慈恵会医科大学卒業後、メルボルンのベイカー医学研究所へ留学。防衛医科大学校病院講師、国立健康・栄養研究所臨床栄養部室長、お茶の水女子大学大学院生活環境教育研究センター長を経て、現在東洋大学食環境科学部教授。日本動脈硬化学会評議員。 赤ワインに含まれるポリフェノールの動脈硬化予防の効果をいち早く実証し、世界的な医学雑誌『Lancet』で報告。
美容ジャーナリスト。女性誌編集部、編集プロダクションを経て独立し、女性誌の美容ページや新聞のコラムなどで執筆活動を続ける。現在は「フィガロジャポン」(CCCメディアハウス)をはじめ雑誌などで活躍。また近年は、美容や健康にまつわる講演を行なうなど活動の場を広げ、 女性のライフスタイル全般における啓蒙活動にも力を注いでいる。近著は『しあわせ美人のつくりかた』(ぶんか社文庫)。