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COFFEE BREAK
世界のコーヒー-World-
Vol.82 イタリア:サントゥ パウル(Santu Paulu)
プーリア流、アーモンドミルク入りのクアルタコーヒー。
Vol.82 イタリア:サントゥ パウル(Santu Paulu) www.facebook.com/santupaulu.milano 2015年のミラノ万博の後、郷土色の強いカフェやレストランがたくさんできた中でも人気の店が「サントゥ・パウル」。南イタリア、プーリア州サレント半島生まれのオーナーが自分の街の広場の名前をつけた、今ミラノでもっとも長い行列ができる店のひとつだ。
プーリア州サレントは、ブーツの形に喩えられるイタリア国土のかかと部分にあたる、広く地中海に面する地域。盆地で夏は雨が少なく暑い日が続く。そんな南イタリアのコーヒーは、暑い時期が長いことや、料理にたくさんオリーブ油を使うこと、そして家庭の水道水に少し塩分が入っていることから、濃いめのコーヒーが多い。
プーリアには、白壁で少しギリシャを思わせるようなおしゃれなインテリアの店が多い。この店も白壁にサボテン、手で編んだ籐のテーブル敷きなどをインテリアに取り入れ、あたかもプーリアにいるかのような、海と太陽を思わせる雰囲気を醸し出している。この店のオーナーももちろん、働いている人はみなプーリア出身。「プーリアの味を再現するには大切なこと」とオーナーは語る。
素材もプーリア産にこだわる。プーリアでよく飲まれるコーヒーは、半世紀前にコーヒー好きの画家、アントニオ・クアルタが作ったブランド豆「クアルタコーヒー」。このクアルタコーヒーは通常のイタリアで使われるコーヒー豆に比べて煎りが濃く、香り高いことが特徴だ。5種類の豆はロブスタ種を60%以上使用しているブレンドがほとんどだが、口に入れた時にまろやかで苦味がない。このコーヒー豆はもちろんのこと、プーリア風コーヒーには欠かせない名産のアーモンドミルクもプーリアから仕入れ、地元の味を忠実に出そうとしている。
メニューにもプーリア風が並ぶ。地元プーリアで人気の、大きめのカップに半分まで氷を入れてエスプレッソとアーモンドミルクを注ぐ「クアルタ・イン・ギアッチョ ラッテ・ディ・マンドルラ(2.5ユーロ)」は、近ごろ冬も暖かい日が多いこともありミラノでも一年中人気だという。すっきりとした切れ味のこのアーモンドミルク入りアイスコーヒーは底に沈んだアーモンドミルクの混ぜ方次第で甘さをコントロールできるユニークな飲みもので、香ばしいシナモンのような後味が口の中に広がる。「エスプレッシーノ(1.5ユーロ)」もこの店ならではの1品。ガラスのカップにエスプレッソとフォームミルクを注いだ小さなサイズのカプチーノなのだが、このサイズと名前で出されるのがプーリア風。お国変われば呼び方もサイズも変わるところに郷土色を感じる。
またイタリアでは朝食はエスプレッソにクロワッサンが定番だが、プーリア風の朝食としてプーリア最南端の町レッチェの郷土菓子である焼き菓子をカスタード、チョコレート、アマレーナ入りの3種類用意している。香ばしい焼き菓子で、適度なクリームの量が朝食にはぴったりの美味しさだ。
プーリアの人たちは人好きのおしゃべり好きで、この店では隣りあった初対面の人ともオープンに話せる。美味しいコーヒーと楽しい会話が楽しめることがこの店の最大の魅力なのかもしれない。
サントゥ パウル(Santu Paulu) www.facebook.com/santupaulu.milano Via dello Tessa 2 Milano,It TEL.(+39)02-8408-4011 営業時間 7:30〜22:00(火〜日) 休(月)