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Vol.74 イギリス:クォーター・ホース・コーヒー(Quarter Horse Coffee)
英国に増えているコーヒー愛好家と本格的な焙煎所つきカフェ。今回は、バーミンガム唯一のカフェ兼焙煎所を訪ねました。
焙煎所と客席の間にガラスを設置するべきか? それが問題だ。
Vol.74 イギリス:クォーター・ホース・コーヒー(Quarter Horse Coffee) quarterhorsecoffee.comバーミンガムは、200年前に興った産業革命で繁栄し、英国第二の都市規模を誇る。その街で唯一の焙煎所兼カフェとし人気を集めるのは「クォーター・ホース・コーヒー」だ。32歳でアメリカ出身の焙煎マスター、ネイザン・レッツァ氏が、英国人の妻の故郷に3年前オープンした。中心地から少々離れてはいるものの、朝8時の開店から学生、オフィスワーカー、フリーランサーたちがひっきりなしに訪れ、客の流れが途切れることはない。その秘密は?「焙煎所付きのカフェが珍しいということと、ぼくが焙煎するコーヒー豆が美味しいから!」とレッツァ氏は笑う。
店内に入ると、右手にカフェ、中心に客席テーブル、左に焙煎エリアが設けられ、仕切りがないオープンプラン形式だ。そのため開放感あふれる空間になっており、これが客に愛される理由のひとつだ。ただし、何事も一長一短。焙煎機から発生される作業音がそのまま天井が高い店内にエコーする。客から苦情はでないのかと気になるが、レッツァ氏は「経営者としその心配をしたけれど、顧客は焙煎所だからそういう音は想定内だと理解を示してくれ、文句がでたことはない。なによりも焙煎作業中は、コーヒー豆の売上げが跳ね上がり、これには驚きます」焙煎過程を実際に見ることで、コーヒーを丁寧に淹れることに興味がわくのか、焙煎された豆、ドリッパー、ペーパーフィルター、ドリップポットなど一式を揃える客が着実に増えているとも話す。
現在、この店では週200キロという少量の焙煎量のため、一日4時間、週に2日間の短時間の焙煎稼働で対応できる。ただし、近い将来には焙煎量が週300〜350キロに増える可能性があり、そうなると早急なる防音対策が求められる。まずは、焙煎日を週2日から3日にする案がある。または、長期的な対策とし、焙煎所と客席の間に複層ガラスを設置することも考えられる。これで作業音をシャットアウトできるが、カラス越しでは客とのコミュニケーションがとれなくなる可能性がある。話し好きで常連客との対話を大切にしたい彼にとり、これが目下の悩みの種である。
8月には、14人のロースターが技を競い合う「英国・焙煎チャンピオンシップ」に出場し、優勝を狙っているほど焙煎への情熱を持ち合わせるレッツァ氏。焙煎所ならではの職人的な雰囲気を保ちつつ、カフェの客にも心地よく過ごしてもらうためには、どうすればよいのか。まだ手探り中である。
クォーター・ホース・コーヒー Quarter Horse Coffee quarterhorsecoffee.com 88 - 90 Bristol Street, Birmingham B5 England TEL.44 (0)121- 448-9660 営業時間 8:00〜18:00(月〜金) 9:00〜18:00(土・日・祝)