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Vol.72 ドイツ:フリードル・レステライ&ケークセ(Friedl Rösterei & Kekse)
ドイツコーヒー協会の発表によれば、現在、国内の小さな自家焙煎所の数は約600軒。正確な数は把握されていませんが、ロースタリー、もしくは自家焙煎所は年々増え続けているといいます。
今回は、煙突付きの物件を見つけて焙煎所兼カフェをオープンした、小さなお店を紹介します。
暖炉用の煙突で、焙煎の排気を。
Vol.72 ドイツ:フリードル・レステライ&ケークセ(Friedl Rösterei & Kekse) www.friedlkaffee.de ベルリン、プレンツラウアーベルク。
住宅街の1階にはショップやレストランに挟まれるようにカフェが軒を並べ、自家焙煎所を併設するカフェだけでも4軒が集まる、カフェ密度の高い地区だ。ここに2015年オープンした「フリードル・レステライ&ケークセ」は、店の一角でコーヒー豆を焙煎するだけではなく、ケークセ(ドイツ語でクッキー)も焼き、販売する小さな店である。
オーナーのサシャ・フリードルさんとバーバラ・シャイナーさんは、以前別の場所でカフェを経営していたと言う。
「サシャがコーヒー豆の焙煎に没頭してしまって。ちょうど子どもが生まれたということもあって前の店は閉店し、焙煎機が置ける店舗を探しました。私が彼に出会った頃は、キッチンのオーブンで焙煎していたんですよ!」と笑う、バーバラさん。
新しい物件探しの際に重要だったのは、煙突がまだ使われていること。前回の「ベルリナー・カフェレステライ」の記事にも書いたとおり、ドイツでは住宅街に焙煎所を開く場合には、たとえ少量であっても排気が問題となる。文化財保護下にある築100年以上の住宅ビルが立ち並ぶこの地区。屋根にある暖炉用の煙突がまだ使われていれば、ここから焙煎の排気が可能だからだ。
販売スペースにはコーヒーマシンがあり、8席ほどの座席もあるが、あくまでも力を入れているのは自家焙煎のコーヒー豆の販売。次々にやってくるお客も、ほとんどがマイカップを持参してのテイクアウトか、豆を買うお客だ。
一週間に3日ほど、約9kgのコーヒー豆を焙煎するスペースに、サシャさんはこもりっきりになる。もともと豆の入荷から管理まで、室内温度の計測、焙煎の温度や時間など事細かに記録し、比較している研究熱心なサシャさんなので、HACCPの影響はそれほどないそうだ。
「いつかは、コーヒー豆農家からのダイレクトトレードをしたいと考えていて、コロンビアの農家とコンタクトもあるのですが、これはまだ課題が山積みで全然とりかかれていません。そうなったらまたHACCPの注意点がたくさん出て来るでしょうね。ドイツは何をやるのもまず手続きだの書類がいっぱいあって、大変なんですよ!」
ドアを開けてお客が入って来ると、バーバラさんは名前で挨拶し、注文も取らずにコーヒーを出す。毎日来る常連さんが多いので、お客同士も皆顔見知りだ。小さな店だからこそ、変わらない「いつもの一杯」を出せることが重要なのだと、今日も分厚いメモ帳を手に、サシャさんは焙煎に勤しむのである。
フリードル・レステライ&ケークセ(Friedl Rösterei & Kekse) www.friedlkaffee.de Pappelallee 35, 10437 Berlin TEL. +49 (0)30 4862 5621 営業時間 11:00〜18:00(火〜金) 11:00〜16:00(土) 日・月休