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Vol.71 ドイツ:ベルリナー・カフェレステライ(Berliner Kaffeerösterei)
ドイツコーヒー協会の発表によれば、現在、国内の小さな自家焙煎所の数は約600軒。正確な数は把握されていませんが、ロースタリー、もしくは自家焙煎所は年々増え続けているといいます。しかし、今回取り上げる焙煎所のように、「ドイツならでは」の難しい問題があるようで......。
自家焙煎所併設カフェの先駆者が直面する、排気問題。
Vol.71 ドイツ:ベルリナー・カフェレステライ(Berliner Kaffeerösterei) www.berliner-kaffeeroesterei.de ルールに厳しそうなイメージがあるドイツだが、実のところEU発足によるグローバル化が進み、起業にマイスター認定が必要な職種を94から41種類に下げるなど、ハードルを下げているというのが現状だ。HACCPに関しても、温かい食事を提供するレストランとは異なり、ロースタリーやカフェはグレーゾーンの部分が多いという。
ベルリンの自家焙煎所併設カフェの先駆者「ベルリナー・カフェレストライ」は創業の2001年から町とカフェの変化を見続けてきた。高級ブランド店が軒を並べる目抜き通り、クーダムから徒歩1分。店のドアを開けると、煎り立てのコーヒーの香りに包まれる。入口の真横に大きな焙煎機が置かれ、150種類の自家焙煎のコーヒー豆がずらりと並ぶ。
オーナーのステファン・リヒターさんは、ドイツ焙煎ギルド協会の会員でもある。
ドイツでは、カフェはもちろん、屋台などでも飲食を販売する場合には、スタッフ全員に、衛生法に関する講習の事前受講が義務づけられている。ドイツ語だけではなく20カ国語での説明書が準備されており、1日で取得が可能で、書き換えの必要はない。
「しかし、ただのカフェとは違って自家焙煎をする場合には、日々の品質管理が最重要事項。安定した美味しさを提供するために、焙煎の度に温度や時間、焙煎の度合いなどを書き留めています。HACCPは入荷から出荷まで、各工程で継続的に記録を取らねばいけないので、衛生管理というだけでなく、コーヒー豆自体の品質向上にも役立つと思っています。」
ドイツ焙煎ギルド協会でも、HACCPを推奨しているそうだ。
現在、新たな支店を開くための準備の真っ最中だというリヒターさん。ビール醸造所の跡地を使った1,500m²の空間。焙煎機もこれまでの12kgから70kgへと増量する予定だ。
「ここで、ドイツらしい問題がでてくるんですよ。ドイツではいま大気汚染が問題となり、ディーゼル車の市街地の乗り入れ禁止が検討されているほどですが、コーヒー豆をローストする際の排気に含まれる粉塵が問題視されているのです。うちの店も、開店当初は窓から直接排気していたのですが、周囲が住宅街なので、現在は地下にフィルターを設置しています」。
ベルリンでは、市内中心部の場合、1日に8時間、500kg以上の焙煎になると、連邦イミッション規制法という環境汚染を取り締まる法律の政令への考慮が必要となってくるのだという。これがまた、地区担当によっても対応が異なり、周囲の住宅環境や住民から苦情が来るかどうかも争点となる。
いままでのように香ばしいコーヒーの香りにつられて常連になってくれるような人ばかりが、周囲に住んでいることを祈るばかりだ。
ベルリナー・カフェレステライ(Berliner Kaffeerösterei) www.berliner-kaffeeroesterei.de Uhlandstrasse 173/174, 10719 Berlin TEL. +49(0)30 8867 7920 営業時間 9:00〜20:00(月〜土)、10:00〜19:00(日・祝) 無休