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COFFEE BREAK
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世界のコーヒー-World-
Vol.66 デンマーク:インパクト・ロースターズ(Impact Roasters)
コペンハーゲンでは、サードウェーブのコーヒーが注目され始めた10年ほど前から、家賃の安い下町に焙煎所とカフェが融合したお店が増えました。
今回は、2014年に自転車屋台のコーヒー・バーからスタートした、南エチオピア出身の焙煎士が立ち上げた焙煎所兼カフェを訪ね、安全面の配慮についても聞きました。
エチオピアのコーヒーを通じて、地元の人たちと交流する店。
Vol.66 デンマーク:インパクト・ロースターズ(Impact Roasters)
impactroasters.dk
焙煎機の回りには仕切りがわりに高いテーブルを置いて、人が入りにくいようにしている。月2回のイベントでも問題が起ったことはないそう。このスペースは、ミーティング用にも貸し出している。
コペンハーゲン中央駅から電車で10分ほどのヴァルビュー地区。小さな子供がいる家族や学生たちが多く住む住宅地だが、焙煎所を備えるカフェ「インパクト・ロースターズ」は、この地区の小さな駅構内にある。
店内には焙煎機と自転車の屋台が置かれ、コーヒー豆用の麻袋をリサイクルした照明、模様がカラフルなコーヒーカップ、生産者の写真を貼ったコーヒー豆のパッケージが並んでいる。
「2012年に妻とデンマークに移住したとき、この国のコーヒーは美味しいと思えませんでした。そこで、私が故郷で飲んでいたようなコーヒーを紹介したいと思い立ったのです」と、南エチオピア出身で、オーナーのダニエル・ハララさんは、この店を始めたきっかけを話す。
[左] 駅構内にある店舗。「インパクト・ロースターズ」以外の店はないから、店内のスペースは十分だ。[右上] 手作りのカウンター、コーヒー豆用の麻袋をリサイクルした天井の照明と、シンプルながら、過ごしやすい店内。あちこちに置かれた、コーヒーの木のグリーンがアクセント。[右下] 焙煎の様子をチェックするダニエルさん。
彼の故郷では、家で育てているコーヒーの樹から収穫した豆を自分で精選、焙煎して飲む。その味を再現するのが、ダニエルさんの夢だった。とはいっても、移住間もない外国人が店を出すのは簡単ではない。まず自転車のコーヒー屋台から始めることにした。
「屋台といっても、豆は現地から直接輸入し、焙煎も行いました。食品管理局から許可をもらう際に、コーヒー豆の品質と販売について、時間をかけて担当者とやりとりをしたことが、信用に結びついたようです」
それが実績となり、2017年夏に店を始めた際もすんなりと認証がもらえたという。
店の中心に設置された焙煎機は、カフェの顧客の手が届く位置だ。食の安全という点では、パッケージへの異物混入を防ぐため、焙煎は午後6時の閉店後に週1−2回のペースで行っている。
「私の出身地のコーヒー農園は規模が小さいから、豆の味にバリエーションがあります。親戚が経営する農園から直接取り寄せており、年2〜3回は現地に赴きます」と、ダニエルさん。買い付けを通じて地元の発展に貢献する、フェアトレードのプロジェクトにも積極的に関わっている。
[左] ダニエルさんの屋台。店を持った現在では、イベントやパーティーへの出張で活躍する。[右上] ペーパードリップは1杯分40DKK。[右下] コーヒーの他にもカップやコーヒーボディ・スクラブなども販売し、エチオピアをアピール。
またここでは、月2回、日曜日に無料の焙煎デモンストレーションを行っている。
「いれ方だけでなく、農園での作業、製造過程、焙煎方法などを知ることで、毎日飲むコーヒーがもっと身近になると思うのです」とダニエルさん。それに加え、コーヒービジネスに興味をもつ学生との意見交換、プロへの講習などの活動もしている。ダニエルさんの熱意で、エチオピア・コーヒーのファンがもっと増えるにちがいない。
インパクト・ロースターズ(Impact Roasters)
impactroasters.dk
Langgade station, Valby Langgade 128, 2500 Valby, Denmark
Tel: +45 4243 5407
営業時間 7:00〜18:00 (月〜金)、9:00〜18:00 (土日)
休:不定休