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COFFEE BREAK
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世界のコーヒー-World-
Vol.65 デンマーク:カフェデパアルトメンティゥ(Kaffedepartementet)
コペンハーゲンでは、サードウェーブのコーヒーが注目され始めた10年ほど前から、家賃の安い下町に焙煎所とカフェが融合したお店が増えました。
今回は、コーヒー業界で長年働いた焙煎スペシャリストが独立して立ち上げた店を訪ね、安全面の配慮についても聞きました。
焙煎スペシャリストが開いたカフェ。
Vol.65 デンマーク:カフェデパアルトメンティゥ(Kaffedepartementet)
www.kaffedepartementet.dk
インダストリアルなインテリアのカフェ店内。仕切りの奥には、大小の焙煎機が見える。大きな焙煎機で焙煎したコーヒー豆はカフェやレストランに卸すほか、250gと1kgのパックにして店内で販売。250gで80Dクローネから。右の小さな焙煎機は品質チェック用。手前の長いテーブル席では、講習会や周辺の会社のミーティングが行われる。
コペンハーゲンの中心部から北西に向かって車で10分ほど。中小の会社や住宅がならぶ地域にある建物の2階が、「カフェデパアルトメンティゥ」だ。早朝から通勤途中の会社員が忙しそうに立ち寄り、テーブル席では大学生が分厚い専門書を横にレポートを書いている。奥では同僚らしい2人が打ち合わせ中だ。どこでも見られるカフェの日常の光景に加え、カウンター奥の大きな焙煎機が異彩を放つ。デンマークのコーヒー輸入会社で15年以上キャリアを積んだ、シモン・ファルクさんとサイト・ツレイガットさんが2016年にオープンした焙煎所兼カフェだ。
[上] 高い天井、グレーの壁、タイル張りのカウンターで、コーヒーをいれるシモンさん(右)とサイトさん。オーナーの2人に加えスタッフは6名。[左下] 焙煎作業中のシモンさん。一度に機械に入れる豆の量は15kg。その日によって異なるが、平均して3回ほど焙煎する。[右下] 焙煎は午前中に行われる。カフェの顧客が足を踏み入れないよう、太い鎖で仕切っている。
「コーヒーが好きでこの業界で働き始めましたが、勤務先が利益を優先するあまり豆の品質や味を重視しなくなったため、独立することにしたのです」とシモンさんは話す。前職でカフェの立ち上げにも関わったため、オープン時の手続きは特に難しくなかったという。安全面に関して注意していることは、たとえば、焙煎機を稼働させる際は、周辺を太いチェーンで仕切りカフェの顧客たちが立ち入らないように配慮していること。焙煎したコーヒー豆を袋詰めする時の異物混入防止策のひとつだ。
ちなみに、デンマークの飲食店はオープン時に、食の安全基準HACCPの掲げる項目に回答する形式で、「自己コントロールプログラム」を作成し、衛生管理に努める。食品管理局の担当者は、オープン時のチェックに加え、年に2〜3度、抜き打ち検査に訪れるが、プログラムが遵守されていれば「スマイリー・マーク」を与える。マークは店頭に掲げることが義務づけられており、消費者はスマイリー・マークを目安に店を利用するから、店側は気が抜けない。
[左上] サイトさんが得意とするカプチーノ。店で一番の人気。35Dクローネ。[左下] デーニッシュの1種で、甘味を抑えた「ティー・ビエケ」は、サードウェーブ系のコーヒーにぴったり。25Dクローネ。店では作らず、カフェ専門のパン屋にオーダーしている。[右]店頭に掲げる「スマイリー・マーク」。これは特に優秀な「スマイリーマーク・エリート」で、スマイリー・マーク4回で、獲得できる。
シモンさんによると、カフェデパアルトメンティゥはコーヒーの味を第一に考え、店のメニューはパンとチーズをのせたオープンサンドのみ。卵や肉類は使わないから、自己コントロールプログラムもシンプルだ。
こうした経験をもとに、シモンさんはプロ相手に講習会もひらいている。最近はヨーロッパやアジアからの参加者も増え、焙煎所兼カフェへの関心が高いことを実感するという。
「豆本来の味を引き出すために、うちでは基本的にライトローストです。いれ方で味が左右されますから、そのコツも指導していますよ」とシモンさん。デンマークのカフェで飲むコーヒーは、もっと美味しくなるにちがいない。
カフェデパアルトメンティゥ(Kaffedepartementet)
www.kaffedepartementet.dk
Retemestervej 64, DK−2400 København NV, Denmark
Tel +45 3886 2820
営業時間 8:00〜20:00
休:不定休