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COFFEE BREAK
世界のコーヒー-World-
Vol.56 アメリカ:ブディーン(budin)
ニューヨークでは近頃、ハイエンドなコーヒーが話題となっています。もちろん、高価なのにはそれぞれ理由があります。今回は、北欧の文化を運ぶリコリッシュラテで人気の店を紹介します。
リコリッシュラテはリッチな甘さ、10ドルの価値あり。
Vol.56 アメリカ:ブディーン(budin)
www.budin-nyc.com
ブルックリンのグリーンポイント地区にある「ブディーン」。アイスランド語で「ショップ」という意味のここは、北欧がテーマの広々としたカフェだ。スカンジナビアのカフェは多機能性を兼ね備えていることから、お店は様々な顔を持つ。店内奥は日本のデザイングッズを展開するリテールスペースで、カウンターにはローカルで作られたクラフトビールやワインも揃い、夜には、ニューヨークのレストランで活躍するシェフを招き、ポップアップでフードを提供する。
もちろん本業のコーヒーにも力を入れている。「北欧のコーヒーは、ライトローストが主流。ノルウェーでライトローストした豆を中心に使い、クリーンな味わいのコーヒーを提供しています」と、オーナーのクリスタル・ペイさん。クリスタルさんはカナダ出身で、フィルムの仕事でノルウェーのオスロに住んでいた経験があり、アイスランドにも家を持つ。その時に出会った北欧のコーヒーカルチャーに目覚め、2014年に同店をオープンした。開業当初に同店を有名にしたのは、すっきりとした味わいのコーヒーや、北欧式のコンセプトに加えて、一杯10ドルの「リコリッシュラテ」だ(リコリッシュは欧米でよく使われる甘いハーブの一種※)。
ニューヨークのラテの値段は通常約4.5ドルと言われ、リコリッシュラテは市の平均を大きく上回る。わくわくしながら噂のラテを飲んでみると、リコリッシュの甘さがミルクと絡み合い、絶妙なハーモニーを生んでいる! とろりとした甘さがあり、とにかく美味しいのだ。クリスタルさんが、この店を一躍有名にした、ラテの誕生秘話を語ってくれた。
「カフェがオープンする前に、デンマークのラクリズ社がリコリッシュのシロップをサンプルとして送ってきました。ドリンクメニューを他2人の共同オーナーと一緒に決めている頃に、試しに色々なコーヒーに入れてみたところ、ラテが一番おいしくできた。リコリッシュが苦手という人は多いけど、ラテにいれると甘くて、意外と飲みやすい。シロップの値段が高く、ベースだけですでに7ドル分だったので、値段は10ドルにするしかなかった。決してハイエンドなコーヒーを作るつもりはなかったけど、メディアを通して話題になり、多くの人がお店に足を運び、私たちのコーヒーを知ってくれたから、結果として大成功だったと思う」と、クリスタルさんは微笑む。
北欧ではカフェのカルチャーが進んでいて、みんなじっくりカフェでコーヒーを味わうそう。「ニューヨークはせわしない町だから、"グラブ&ゴー"(コーヒーを買ってすぐ去る)の文化が根付いている。この習慣は決してなくならないと思うけど、ゆっくりくつろげる空間を提供していきたい」と、マネージャーのスティーブン・クノールさん。人気を博したラテに伴い、北欧のスタイルがニューヨークにも浸透していきそうだ。
※リコリッシュの根にはグリチルリチンやフラボノイド成分が含まれ、強い抗酸化作用で知られる。風邪を引いた時、咳が出る時、喉が痛い時に北米やヨーロッパではリコリスの飴をなめる習慣がある。
ブディーン(budin)
www.budin-nyc.com
114 Greenpoint Avenue, Brooklyn, NY, 11222
Tel. 347- 844-9639
営業時間 7:00〜23:00 (月〜金)、8:00〜23:00 (土日)
無休