COFFEE BREAK

世界のコーヒー

世界のコーヒー-World-

2017.02.15

Vol.50 イタリア:ヴィスタ・ダルセナ(Vista Darsena)

世界中で愛されるコーヒー。楽しみ方、味わい方は、お国柄によっても千差万別です。コーヒービジネスもまた、その都市ならではのチャレンジを重ね、さまざまな広がりを見せています。
2015年の万博で世界中の注目を集めたミラノでは、新しいタイプのカフェが次々とオープン。万博に合わせて再開発され、一躍ミラノのトレンドスポットとなったウォーターフロント、ダルセナ地区にできたカフェが話題を呼んでいます。

中世からの運河を眺めてコーヒーを飲む。

Vol.50 イタリア:ヴィスタ・ダルセナ(Vista Darsena)

イタリア:ヴィスタ・ダルセナ

この店のメインは景色。客は天気のよい日には飲み物を持って運河沿いに座り、ただ運河の景色を楽しむためにみな思い思いに時間を過ごす。時おり観光船が通るのもまたよし。日の出から日没まで、一日中のさまざまな景色が楽しめる。

  2015年のミラノ万博のために、10年を費やして再開発されたミラノのナヴィリオ運河。中世ミラノの風景をしのばせる運河が次々と埋め立てられ姿を消していったなか、まだ残存する数少ない運河の交わる場所に、ダルセナ地区はある。かつて港として賑わいを誇ったダルセナは、遊歩道が整備され、レストランや雑貨屋などが並ぶ、新しいウォーターフロント地区として生まれ変わった。
 その中心にあるのがこの店「ヴィスタ・ダルセナ(ダルセナの景色)」だ。ミラノの街中だというのに、のどかな風景が見渡せる。「これほど素晴らしい眺めの楽しめる場所がミラノにはあるのに、ここにカフェを出さないでどうする」と言うオーナーは生粋のミラネーゼ。この運河の素晴らしさを誰よりも知っている。
 「水がある場所には必ず人が集まります。そしてこの運河を設計したのは、なんとあのレオナルド・ダ・ヴィンチ。建造物としての素晴らしさも兼ね備えた運河でもあるのです。歴史と美しい景色のある場所でコーヒーを味わえないなんて」とミラノ市に掛け合い、1年前にこのカフェバーをオープンした。

イタリア:ヴィスタ・ダルセナ

[左] 店内にはプロのバールマンが常に2〜3人いる。丹念にいれてくれるコーヒーはキリッとした切れ味とコクがある。 [右] クッキーつきのカフェ(左)はテーブルでは1.5ユーロ

 「5月24日広場(Piazza XXIV Maggio)」の賑やかな市場の様子を眺めながら運河沿いを歩いていくと、このカフェが目の前に現れる。モダンでコージーなインテリア、カラフルで大きなライトに飾られたテラス。すぐ目に飛び込んでくる外観だ。
 朝の8時からはクロワッサン、ランチにはサラダやサンドウィッチ、そして午後は日替わりのケーキがコーヒーと一緒に楽しめる。コーヒーを美味しく楽しんでもらうために心がけていることがある。必ずコーヒーカップを温めておくこと、コンプレッサーの気圧を常に調整することと、そして機械を清潔に保っておくこと。基本中の基本だが、大賑わいの毎日の中でも徹底することが大切だという。

イタリア:ヴィスタ・ダルセナ

[左] 毎日3種並ぶケーキは、常に季節感を取り入れている。冬場はチョコレートや洋梨のケーキなど。日替わりケーキ(3.5〜4ユーロ)。[右] バールマンは100種以上のカクテルも作れるそう。コーヒーだけではなく、美味しいお酒を欠かさないということにもこだわる。

 夜にはアペリティフも提供し、夜中の2時までお酒が飲める店として賑わう。フードメニューもいろいろ工夫がこらされており、毎日3種のケーキと日替わりのサンドウィッチが揃い、バーの時間にはおつまみもついてくる。一日中、どの時間に来ても楽しみ方があるのが人気の秘密だ。
 コーヒーやお酒を片手に、景色の楽しみかたも人それぞれだ。天気の良い日には運河のそばで、クッションに寝そべったり、椅子に座ったり。また、ギターを弾く人もいる。朝から日没、そして夜中まで、ただ運河の景色を楽しむために、みな思い思いに時間を過ごすのだ。雨の日も風の日も晴れた日も雪の日も、毎日オープンしているから、ここに来れば必ず、運河の美しい風景を楽しみながらくつろげる。

〈カフェ情報〉
ヴィスタ・ダルセナ Vista Darsena
Viale Gabriele D’annunzio, 20123 Milano
+39(0)2 4549 9470
営業時間 
8:00〜26:00(月〜日)

*1ユーロ=約122円(2017年1月現在)
写真=フランキー・ヴォーン
文=さかもときよえ(ミラノ市在住)
更新日:2017/2/15

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