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COFFEE BREAK
世界のコーヒー-World-
Vol.30 スウェーデン:ヤクネ(Djäkne)
今回はスウェーデンの第3の都市マルメが舞台。2000年にマルメとコペンハーゲンを結ぶオーレスン橋が開通し、変貌を遂げているこの街には、独自のシステムでにぎわうカフェが登場してきています。Vol.30のカフェはIT企業が経営する店。自社で開発したアプリでコーヒーをオーダーできる便利さが受けています。
IT企業がオーナーのカフェ、アプリでコーヒーを注文。
Vol.30 スウェーデン:ヤクネ(Djäkne) www.djakne.se ITやバイオテクノロジー関連等のビジネスが活躍する都会的で国際的な街で、フードシーンも世界から注目される中、気の利いたカフェも次々とオープンしているマルメ。なかでも、IT企業が開店したカフェ「ヤクネ」は、インターネットを使った注文が半数を超えるハイテクカフェとして注目されている。
このカフェを経営するのは、マルメで2004年に創業したIT企業「メンモ」。コーヒー好きの経営陣が美味しいコーヒーを飲みながらブラブラできて、クリエイティブになれる環境づくりのため、一般向けに開放したカフェを2010年にオープンした。この環境が有能な人材を採用したり、会社のブランド力も上げることもねらった。
当初はウェブベースのアプリを使って、コンピュータとスマートフォンからコーヒーを注文できるようにしていたが、アイフォン専用のアプリを2015年にメンモが独自に開発。このアプリは、キャリア系SNSサービス"リンクトイン"のアカウントを持っていれば、無料でユーザー登録ができ誰でも利用できる。ログインすると登録ユーザーの"リンクトイン"のプロファイルが閲覧できたり、ヤクネを訪れた人のリストを見ることができたりと、ビジネスネットワークキングが可能。"リンクトイン"で登録しているユーザー数は、現在600人を超える。
「コーヒーのオーダーの半分以上がコンピュータかスマートフォンで行われているね。カフェの店内は空いているのに、バリスタが大忙しでコーヒーを準備していることもあるよ」とメンモのCEOの一人であるラーシュ・ビッドマークさんが説明する。確かに、来店する客の多くはすでにコーヒーを注文済み。ラーシュさん自身も自転車通勤の途中、スマートウォッチで注文をすることもあるそうだ。
もともとコーヒー好きの経営陣が開店を決定したカフェだけあって、コーヒーにもこだわりを持っている。オリジナルのコーヒー豆は、隣の街ルンドにある小規模焙煎所「ラブ・コフィ・ロースターズ」に依頼。コーヒー豆と焙煎の質の高さだけでなく、カフェから近いため自転車で配達されることもプラスになった。「世界のグリーンな都市15」の第4位にランクインするマルメのお土地柄ゆえ、環境に優しい配達方法が評価されるのだ。(※)
オリジナルの豆に加えて、週替わりで国内と近隣のデンマーク・ノルウェー・ドイツ有数の小規模焙煎所のコーヒー豆を提供している。「旅行しなくても、近隣諸国で有名なコーヒーをここで試せるのも魅力だよ」とラーシュさん。カフェでは、パン・チーズ・ハムを中心とした朝食メニュー、サンドイッチ、ペストリー等もメニューにあり、ラーシュさんのように出勤しながらオーダーをし、途中で立ち寄るお客も珍しくない。
カフェの一部は、ヤクネの経営するコワーキングスペース。月々990クローナを支払うことでスペースを利用でき、ヤクネのコーヒー飲み放題の特典もついてくる。「ここに契約をしたばかりの人は、ついコーヒーを飲みすぎてしまうんだよ」とラーシュさんが笑った。
※アメリカの環境問題を取り扱うオンラインマガジン「グリスト」誌が選ぶランキング「グリーンな都市15」による。