COFFEE BREAK

世界のコーヒー

世界のコーヒー-World-

2015.09.15

Vol.24 イタリア:「プーリア」(Pulia)

世界中で愛されるコーヒー。楽しみ方、味わい方は、お国柄によっても千差万別です。コーヒービジネスもまた、その都市ならではのチャレンジを重ね、さまざまな広がりを見せています。
イタリアのミラノには、懐かしい昔ながらのコーヒーを再確認する人々が登場しています。Vol.24では、イタリアのプーリア地方で愛されてきたアイスコーヒーをご紹介します。

半世紀前、南イタリアで生まれたアイスコーヒー。

Vol.24 イタリア:プーリア(Pulia)
www.pulia.com/en/

イタリア:「プーリア」

大きめのグラスに氷、アーモンドミルク。そこに熱々のエスプレッソコーヒーを注いだら、プーリア式のアイスコーヒーの出来上がり。シンプルなレシピなので、オーガニックで上質な素材をセレクトすることが一番大切だとか。イタリア人はシロップで甘さを調節することも多い。

  ここミラノに最近登場した、プーリア地方の食材を扱うセレクトショップ兼カフェ「プーリア(Pulia)」※。あるファッションブランドを経営する有名人(非公開)が、プーリアの風土と食材に惚れて作った店だ。
 パスタ、オリーブオイル、ワイン、ウイキョウやトマト、ナスなどの野菜やカツオなど魚介の瓶詰めのほか、この店で調理される出来たてのフォカッチャなどの軽食やスイーツ......商品もカフェメニューもすべてプーリア生まれのものばかり。もちろん、コーヒーもプーリア地方で愛されるアイスコーヒーが供される。

セレクトショップ兼カフェ「プーリア(Pulia)」

[左]プーリア式アイスコーヒー(1.5ユーロ)。少しかき混ぜながら飲むと、アーモンドミルクとコーヒーが混ざり合ってなんとも香ばしい風味が楽しめる。 [右]店内にはずらり、プーリアの食材がディスプレイされている。オリジナルのパッケージデザインも秀逸だ。

 このアイスコーヒーの原型が誕生したのは、いまから半世紀以上前の1950年代といわれている。アントニオ・クアルタという画家がバールを開くことを夢見てコーヒー豆の焙煎の勉強をしていたとき、夏に飲むコーヒーを思いついた。氷を入れたカップに熱いエスプレッソを注ぎ、プーリア地方の名産品アーモンドミルクの甘みでコーヒーの苦味をまろやかにして楽しんだ。イタリアでは、まだアイスコーヒーという概念がなかった時代である。
 プーリア地方はイタリアの南部に位置し、ほぼ平野部で雨が少なく夏の暑さも厳しい。煎りが深く香りも少し強めでしっかりしたコクのあるコーヒーを、アーモンドミルクで割ったアイスコーヒーは最高に美味しい。

セレクトショップ兼カフェ「プーリア(Pulia)」

[左]プーリアで愛される軽食、パンツェロッティ(2.5ユーロ〜)。小麦の生地にチーズとトマト、肉か野菜を詰めて揚げる。 [中]ナスのオーブン焼き(5ユーロ〜)。ナイフを入れると、中から熱々のモッツアレラチーズがとろり。 [右]プーリアの郷土料理が並んだカウンター。パンもピッツァもスイーツも、すべて手作り。

「プーリア」では、このアイスコーヒーをミラノ風のメニュー名"カフェ・フレッド(cafe freddo)"として1.5ユーロで提供。ここでは何を食べても飲んでも南の暑い太陽の香りがする。イタリア北部にあるミラノにいながら、南の気分を楽しめる店なのだ。
 今年は「地球に食料を、生命にエネルギーを」というテーマの「ミラノ万博」が開催されていることもあり、地方の名産品をミラノの街で披露し世界の人々にイタリアのよさをわかってほしいという意識もあるようだ。南北に広がるイタリアでは、コーヒーの作り方や飲み方もさまざま、違いがあって面白い。

※プーリア州を意味するスペルは"Puglia "

イタリア: プーリア(Pulia)
pulia.com/en/
Tel. 02-83660861
VIA VIGEVANO 43 20144 MILANO
営業時間 7:30〜21:00(火〜金) 8:00〜22:00(土) 8:00〜21:00(日) 
休 (月)

*1ユーロ=約137円(2015年8月現在)
写真=フランキー・ヴォーン
文=坂本きよえ
ミラノ市在住

更新日:2015/9/15

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