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COFFEE BREAK
世界のコーヒー-World-
テラスの前に広がる緑地に、近隣の人たちが集う。ドイツ・ベルリンから
Vol.132ドイツ・ベルリンから。
テラスの前に広がる緑地に、近隣の人たちが集う。
半年以上のロックダウンの後、屋外での営業再開に先駆けて新たにオープンしたカフェが「キーツ・カフェ・クラフト」だ。公園に隣接する緑地の中に立つ木製のコンテナハウスの中にあり、200平米のテラスにはゆったりと間隔をあけて置かれたテーブル席がある。店内も100平米近い広さだが、現在(2021年7月)はまだ店内での飲食にはお客に抗原迅速検査義務が課されていることもあり、座席は全て取り払って注文カウンターのみにしている。カウンターの前にはアクリルのパーテーションを設置して飛沫を防ぎ、入り口とレジ前には消毒液のディスペンサーを設置。スタッフにはフィルターの性能が高いFFP2(KN95)マスクを着用してもらうなど、この店の衛生措置は、ベルリン市が義務付けているものよりもさらに厳しい。
「近隣の人たちに来てもらえるカフェを目指しています。だから店は毎日開けますし、全ての人に安心して来てもらうために防疫対策にも力を入れているんです」というのはオーナーのマルコ・プルファーさんだ。個人的には苦味のある力強いダブルエスプレッソが好きだというマルコさんだが、誰もが飲みやすいコーヒーを目指してオリジナルブレンドを開発。ベルリンの焙煎所に焙煎を依頼している。ラテ系がよく出るので、酸味は控えめでナッツやチョコレートの甘い香りがたちのぼる、ブラジル産のコーヒー豆をベースとしたブレンドだ。店内では、店のオリジナルだけでなく、友人の焙煎所のコーヒー豆も販売している。この店は、創業2014年の「キーツ・カフェ・クラフト」の2号店。アパート予定地に周辺の人たちと交流できる場所を作りたいと、土地のオーナーがカフェの経営者を探しているところにマルコさんが行き合って、とんとん拍子にこの店を開くことになった。
店名の「キーツ」とはドイツ語で「町の一角」という意味。近隣の人が集う町のカフェにしたいと思って付けた名前だ。その名の通り、1号店はお客の9割が常連。クリスマスと年末年始以外は毎日休まず早朝から営業し、幅広い層に好まれる香ばしいナッツやチョコレートの味わいを持つエスプレッソブレンドを使ったミルクコーヒーを中心にメニューを作る。自家製のバナナブレッドはヴィーガン対応のものだ。誰もが好きなコーヒーと、居場所を見つけることができるそんなお店を目指している。
2号店も場所以外は全て同じで、徐々に常連客を獲得している。週一回開催される青空市場の向かいで、少し街の中心地から離れていることもあって、市場のついでに足を伸ばす人や、サイクリングやランニングの途中に立ち寄る人も多いという。
「1号店が第一波のロックダウンで閉店を余儀なくされた時は、皆が心配して声をかけてくれました。テイクアウトしかできなかった時も、多くの人が寒い日も足繁く通ってくれて、本当に感謝してもしきれません」と、マルコさんは嬉しそうだ。少しでもお返しをしたいと、夏休みに入る日に子ども連れのお客さんにチョコレートをプレゼントしたという。
「コロナで一番大変だったのは、小さなお子さんを持つ家庭。コーヒーを飲んでほっと一息ついてくれたら良いなあと思います。それに、子どもは将来の常連客でもありますからね!」
取材の帰り際、子どもがテラスの前に広がる緑地で遊んでいる間、ゆっくりとテラスでコーヒーを楽しんでいる人を見かけた。世代を超えて通い続ける常連が生まれるのも、遠い未来のことではなさそうだ。
Kiez Kaffee Kraft(キーツ・カフェ・クラフト)
Breite Strasse 35, 13187 Berlin
営業時間 8:30~18:00
無休
www.kiezkaffeekraft.de
※西部ドイツを襲った洪水で被災された方々に心よりお見舞い申し上げ、一日も早い再建を祈るばかりです。