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COFFEE BREAK
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チェックイン入場を徹底した結果、サービスに余裕が。ドイツ・ベルリンから
Vol.131ドイツ・ベルリンから。
チェックイン入場を徹底した結果、サービスに余裕が。
ベルリンでは、2020年11月からロックダウンが続き、飲食店はテイクアウトのみの営業となっていた。営業再開となった5月、まず許可されたのが屋外のオープンテラス。現在は、店内に座る場合には抗原迅速検査が義務付けられているため、オープンテラスがあるカフェに人気が集まっている。雑誌でも「外ブランチが美味しい店」などの外カフェ特集が目白押しだ。
「ホーフカフェ・バイ・ムッター・フーラージュ」は、2000年にオープンして以来、外カフェ特集には必ずといっていいほど名前が上がる人気店。ヴァーンゼー湖近くの2000平米もの庭の中にあり、週末ともなれば席を見つけるのも難しいほどの賑わいだ。併設の園芸店の植木鉢が並ぶ小道の奥にあり、うっそうとした緑の中で飲むコーヒーは、格別だ。この店では、アラビカ8割ロブスタ2割のマイルド焙煎のエスプレッソブレンドを使っているが、ほんのりと花のような芳香が周囲の緑の香りと合わさると、なんとも言えないほっと落ち着く香りとなる。ミルクをたっぷり使ったミルクコーヒーを、大きなカップでゆっくり飲んでいるお客が多いようだ。しかしこの店も、昨年3月からは2か月近い長期閉店をすることになった。第二波のロックダウンで冬は3皿のコースメニューを開発して注文制でテイクアウトするなど、苦労と工夫を強いられたとオーナーのヘリベルト・フォン・ライヒェさんは言う。
「でも、良かったこともたくさんあります!これまで秋冬にはテラス席はほとんど使っていませんでしたが、昨冬は庭にあった小屋に引き戸をつけて改装し、寒い日でもコーヒーを楽しんでもらえるようになりました」
また、スープなどの軽食をガラス瓶に入れてテイクアウトできるようにしたところ、近隣のオフィスで働く人たちに好評だったため、引き続き販売を続けているという。
そして今年5月、テラス席の営業再開と同時に始めたのが、カフェの入り口をしっかりと仕切ることだ。これまでは中庭を訪れた人は自由にカフェに入っていたが、いまは赤いロープで入場を制限。お客さんに連絡先をメモしてもらうか、アプリでチェックインしてもらってから、スタッフが席に誘導する形にしている。待ち時間ものび、席の回転も遅くなるので売り上げは下がったそうだが、その分サービスに余裕ができた。これまでは週末や祝日ともなれば、お客が引きも切らず、テーブルを片付ける前に次のお客が座ってしまうために支払いや注文が混乱するなどの問題があったが、それが解消された。
「私の妻は生物学者でしたが、料理が好きで自分のカフェを持つのが夢でした。ですからお金を稼ぐことだけが目的ではないんです」とヘリベルトさんは妻のダグマーさんに微笑みかける。ダグマーさんも「ここを訪れてくれた人が、中庭に座って美味しいコーヒーを飲んで、来る前よりちょっとだけ幸せな気持ちになってくれたら」と声を揃える。
「カフェのテーブルに座って、コーヒーを飲む」という、何気ない日常こそが幸せなのだと実感させてくれた長いロックダウン。「ホーフカフェ・バイ・ムッター・フーラージュ」は、その幸せを、少しだけ特別なものにしてくれるのだ。
Hofcafé bei Mutter Fourage
(ホーフカフェ・バイ・ムッター・フーラージュ)
Chausseestrasse 15 a, 14109 Berlin
営業時間 9:00~19:00(10月〜4月は10:00~18:00)
無休
www.hofcafe-berlin.de
※西部ドイツを襲った洪水で被災された方々に心よりお見舞い申し上げ、一日も早い再建を祈るばかりです。