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「コーヒーマスク」が環境を救う ホーチミンから
「コーヒーマスク」が環境を救う。
Vol.116 ベトナム・ホーチミンから。 コーヒーマスクの生みの親、レ・タインさんは、2012年カナダで意気投合した靴職人タイ・グェンさんと皮靴専門店「Veritas Bespoke」を2015年にホーチミンにオープン。しかし、次第に環境に良い靴を作れないか、またベトナムならではのものを使い独自の製品を作れないかと、考えるようになった。そこで注目したのが、使用済みのコーヒーかす。コーヒー輸出世界第2位を誇るベトナムは、フランス植民地時代の影響もあり今でも多くの人がコーヒーを楽しんでいる。しかし、その反面、多くのコーヒーかすが価値のないものとして捨てられているからだ。
タインさんはコーヒーかすの価値を見いだし、コーヒーかすから繊維を作りだすことを考案、開発。最新の技術を使い、コーヒーかすから作られるコーヒー繊維生産に成功。コーヒー繊維で環境に優しい靴を制作し、2019年7月には新ブランドとして「ShoeX」を展開し始めた。
「ShoeX」が軌道に乗り始めた2019年末頃、ベトナムの環境汚染が深刻化。ベトナムの人たちに、環境にやさしい、使い捨てではない長く使えるマスクを使ってほしいという思いから、コーヒー繊維でのマスク開発に着手。その折、このコロナでマスク需要が急増。マスク開発が一気に加速化し、2020年4月には念願のコーヒーマスク「AirX」が誕生した。
「AirX」は環境、殺菌、節約、ファッション性の4つの定義を掲げており、環境、殺菌、節約においては、フィルター部分に生分解性フィルターを採用。コーヒーかすと消臭・抗菌効果のあるナノシルバー技術を使用することにより30日間連続使用が可能に。マスク本体は何度も洗って使えるコーヒー繊維で作られている。ベトナムの国内品質保証試験機関QUATESTからの認証を得ており、抗菌性があり柔らかで通気性もよく敏感肌にも対応。長く使うことにより、使い捨てマスクより節約できるようになっている。
また、マスクもファッションの一部として日常的に使えるようFlexKnitデザインを採用。フィット感を出すと共に、カラーバリエーションも豊富に取り揃え、多くの人に受け入てもらえるように工夫している。
タインさんは「今ベトナムは、日々変わってきています。多くの人が市場には、マイバッグを持っていき、カフェではプラスティック・ストローを減らそうとしています。とても喜ばしいことです。このコーヒーマスクも、コロナ対策だけでなく、少しでも環境を救うことになればと願っています」。ほのかにコーヒーの香りがするこの環境にやさしいコーヒーマスクは、環境を救うだけではなく、私たちコーヒー好きの心も癒してくれ、これから世界で注目されること間違いなしだ。