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燃料や香料にもなるコーヒーかすは宝物 イギリス:バイオ・ビーン
持続可能な開発目標(SDGs)について語られることが増えてきた昨今。世界のコーヒービジネスでも、すでに多くの取り組みが始まっています。今月は環境に対する意識の高いイギリスの事例をご紹介。まずは、コーヒーかすの再利用で注目を集めている「バイオ・ビーン 」の取り組みについて取材しました。
燃料や香料にもなる、コーヒーかすは宝物。
Vol.101 イギリス:バイオ・ビーン(bio-bean)
www.bio-bean.com
人口6600万人のイギリスでは今、毎日9500万杯ものコーヒーが飲まれているという。コーヒーの消費量増加に伴い、カフェやコーヒーチェーン店舗から排出されるコーヒーかすが年間50万トンにも及んでいる。生ゴミとして捨てるにも、水分を含んでいるため重量もかなりのものだ。厄介なゴミとは言わないまでも、莫大な量のかすの処理をどうすべきかは、コーヒーチェーン各社が頭を悩ませるところなのだ。
そこに目を付けたのが「バイオ・ビーン」である。6年前、建築学科の学生だったアーサー・ケイは、飲んでいたアメリカーノの表面に浮く油分に気がつき、そこから発想をふくらませた。コーヒー豆に油分が含まれるのなら、そのかすを燃料源に転化できるのでは? すぐさま「バイオ・ビーン」を起業し、はやくも2年でコーヒーチェーン店舗からのかす収集システムを確立し、かすの再生工場の設立にも乗り出した。そして、3年前には"コーヒー・ログ"と命名される商品のデビューにこぎつけている。
"コーヒー・ログ"は、乾燥させたコーヒーかすとおがくずを7:3の割合で混ぜ、7センチ直径の筒型に圧縮させた薪ストーブ専用の燃料だ。この長さ10センチほどのログ1本につき、なんと25杯分のコーヒーかすが凝縮されているという。ログには高焙煎特有のいぶし香が漂い、実際に薪ストーブでくべると、イタリアンローストの香りが室内に充満する。また、"コーヒー・ログ"を燃やす場合、薪と比べストーブ内の熱度が2割ほど高くなるという同社によるリサーチ結果もでている。暖房しながら焙煎の香りを楽しみ、同時に埋め立てゴミの減量に貢献しているのだから、コーヒー愛好家にとっては、ウィンウィンと言えよう。
また、「バイオ・ビーン」は、燃料以外にも、コーヒーかすの再生のための研究開発に邁進している。その結果、2019年11月には外食産業向けにナチュラルなコーヒーエキスを発表したばかりだ。加えて、乾燥させたコーヒーかすと樹脂を混ぜた原料で車のパーツや食器を製造できるかどうかの可能性も探っている最中だという。
ドリップコーヒーを嗜んだあと、コーヒーかすがさまざまなカタチで蘇ってくるとは、コーヒーファンにはうれしい限りだ。コーヒーかすが秘めるポテンシャルはとてつもなく高い。
(本社&工場)Unit 4002, Alconbury Weald, Huntingdon, Cambridgeshire, England
TEL: 020 3744 6500
営業時間 月~金 8:30-17:00
休日:土、日、祝
www.bio-bean.com