COFFEE BREAK

世界のコーヒー

世界のコーヒー-World-

2015.05.01

Vol.17 アメリカ:フィッシュ・ケーキ(fishcake)

世界中で愛されるコーヒー。楽しみ方、味わい方は、お国柄によっても千差万別です。コーヒービジネスもまた、その都市ならではのチャレンジを重ね、さまざまな広がりを見せています。 アメリカ・ハワイのワイキキから車で約10分の街、カカアコは再開発で大賑わい。今後15年間に高級コンドミニアムが22棟建設されるこの街には、倉庫、自動車修理工場が建ち並んでいますが、近年、使わなくなった工場がリノベートされ、お洒落なカフェやレストランとしてよみがえっているのです。 Vol.17では、カカアコの家具ショップ「フィッシュ・ケーキ」の一角に、昨夏オープンしたカフェをご紹介します。

カカアコの倉庫街が熱い!お洒落家具ショップのカフェ。

Vol.17 アメリカ:フィッシュ・ケーキ(fishcake) www.fishcake.us

オランダ バタビアコーヒー

もとは工場だった施設をリノベートして家具ショップに。冷房設備や扉など、あえて工場の趣を残した店内インテリアを見るだけでも楽しめる。家具や雑貨のほとんどはロコ(地元民)アーティストが手がけたもので、壁にかけられたアート作品も商品として販売されている。


 カカアコにお店を構えて8年になる「フィッシュ・ケーキ」は、インテリアデザイナーのマウラ・フジワラ氏がオーナーを勤める家具ショップ。この場所にお店を構える前の候補となっていたのが「フィッシュ・ケーキ=かまぼこ」の工場であったことが店名の由来だ。現在のお店も以前は工場だったという。むき出しになった空調設備をアルミ箔でおおったり、工場時代から引き継いだ扉を粗く磨いたりすることで、あえてユーズド感を演出するリノベートが施されている。店内に置かれた家具や雑貨は、建物全体の雰囲気にも共通する人の手のぬくもりが感じられる商品ばかりだ。
 「できるだけロコ(地元民)のアーティストが手掛けたものを店内に並べているの」と、マネージャーのナオミ・タガさん。隣接する建物にはインテリアや建築デザイナーが常駐するオフィスがあり、客の要望に合わせてインテリアデザインを行うなど、クリエイティブな雰囲気が充満していた。

(左)産業地帯に建つ店舗。右の入り口は家具ショップ、左はデザイナーが常駐するオフィスとして使用。(右)左より、ニッキー(グラフィックデザイナー)、ナオミ(マネージャー)、フォレスト(セールス長)。彼らが店頭で出迎えてくれる。

(左)産業地帯に建つ店舗。右の入り口は家具ショップ、左はデザイナーが常駐するオフィスとして使用。(右)左より、ニッキー(グラフィックデザイナー)、ナオミ(マネージャー)、フォレスト(セールス長)。彼らが店頭で出迎えてくれる。


 この店内の一角に、高級住宅地・マノアで行列のできるカフェとして評判を集めた有名店「モーニング・グラス・コーヒー」がオープンしたのは、昨年8月。現地のみならず日本のマスメディアからも注目を集めた。カウンターがひとつあるだけのこじんまりしたスペースだが、ペストリーの種類は充実し、コーヒーをドリッパーに3分間半キープさせて味わいを深めるモーニング・グラスの流儀も健在。
そして注目すべきは1.5坪ほどしかないであろう、この空間を巧みに使ったインテリアだ。天井から吊るされた装飾は、店内でむき出しになったままの白いパイプと連動したような動きを見せ、シックな存在感を見せている。

(左)エチオピア産のオーガニックコーヒー($2.75)とバナナ・リリコイ・スコーン($2.50)。(中)ドリッパーに熱湯を注いで3分間半キープするのが、モーニング・グラス・コーヒー流。(右)カフェのデザインは、フィッシュ・ケーキのデザイナー陣が手掛けた。

(左)エチオピア産のオーガニックコーヒー($2.75)とバナナ・リリコイ・スコーン($2.50)。(中)ドリッパーに熱湯を注いで3分間半キープするのが、モーニング・グラス・コーヒー流。(右)カフェのデザインは、フィッシュ・ケーキのデザイナー陣が手掛けた。


 「家具ショップだと思って訪れたお客様は『え!? カフェもあるの?』ってびっくりするわよ」とナオミさんが嬉しそうに話す理由は、このお店が、ただモノを販売するにとどまらない目標を掲げていることにある。「うちは大型量販店とは違う。他の店では見たことがない『何なの、コレ!?』っていうようなユニークな商品を通してお客様に驚きを与えたり、コーヒー1杯を通してリラックスするひとときを提供したり。この空間を使って、人の五感に訴えかけることが私たちのモットーなの」。
 一歩、外に出れば工場や倉庫が立ち並ぶ産業地帯。そんなことを忘れてしまうほど、店内がおおらかでゆったりした雰囲気に満たされている理由は、オーナーを筆頭に、デザインのエキスパートたちが心地良い空間をデザインしているからだ。

フィッシュ・ケーキ(fishcake) www.fishcake.us 307C Kamani street Honolulu, Hawaii Tel.808 593 1231 営業時間:10:00〜18:00(月〜土)、11:00〜16:00(日)
*1ドル=約119円(2015年4月現在) 文・写真/井上慶 ホノルル市在住 更新日:2015/5/1
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