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COFFEE BREAK
世界のコーヒー-World-
2019.12.24
【駐日大使のコーヒーブレイク】駐日ペルー共和国大使
【駐日大使のコーヒーブレイク】駐日ペルー共和国大使
【駐日ペルー共和国大使】 ハロルド・フォルサイト閣下 コーヒーは人を集める、自然からの贈り物。
古代インカ文明の遺跡があることで有名なペルーは、南米第三位のコーヒー生産国。近年は美食の国としても注目を集めています。ペルーのコーヒー事情や食文化について、大使夫妻にうかがいました。
南アメリカ大陸の西側に位置し、古代インカ文明の遺跡マチュ・ピチュやナスカの地上絵などの世界遺産があることで知られるペルー共和国。世界最長のアンデス山脈が国土の南北を貫き、私たちにとって身近なジャガイモやトマトの原産地であることでもおなじみだ。コーヒー豆の生産も盛んに行われている。ペルーは赤道を挟んで北緯25度から南緯25度にわたるコーヒーベルトに位置しており、コーヒー豆の生産量は世界のトップ10入り。南米では、ブラジルとコロンビアの二大コーヒー大国に次ぐ第三位を誇っている。
「生産者の方々の努力のおかげで、私たちの国でも毎年、良質なコーヒー豆が採れています。ブラジルやコロンビアのコーヒー産業と争うのは難しいですが、ペルーのコーヒーはとても良いと、高い評判を獲得しています」と話す、駐日ペルー共和国大使のハロルド・フォルサイト閣下。
「特に北部のアマソナス県、カハマルカ県、サン・マルティン県などでは栽培が盛んで、この3県の生産量が全国の6割強を占めています」
栽培される品種は100パーセントアラビカ種で、マイルドな酸味を含む濃厚なコクがあるのが特徴だ。ペルーのカフェやレストランでコーヒーを注文すると、濃縮されたコーヒーと一緒に熱いお湯がテーブルに出され、自分でコーヒーにお湯を加えながら好みの濃さに希釈して飲むのが一般的なスタイルとされている。
「昔からその飲み方と、ミルクを加えるスペイン風カフェオレの〝コルタード〟がよく飲まれてきました。しかしこの十数年の間に、世界的なコーヒーの流行とともに我が国のコーヒー消費量も増加し、その結果、首都のリマを中心に豆の質にこだわる専門的なカフェも徐々に増えてきました。そのような店ではカプチーノやシナモンコーヒーなど、さまざまなコーヒーのバリエーションを楽しむことができます」
コーヒーを味わいながら、読書する楽しみ。
2017年に日本に赴任したフォルサイト閣下。当初は、日本国内のコーヒー消費量や多様性に驚いたという。 「日本国内、なかでも東京はカフェの数もとても多く、世界中のさまざまなコーヒーを楽しむことができますね。また、カフェやレストランだけでなく、コンビニエンスストアやスーパー、さらに道端にある自動販売機などでペットボトルや缶コーヒーなど、気軽に持ち歩くことができるスタイルのコーヒーが売られているのにもびっくりしました。日本ではとても多くの人が毎日のようにコーヒーを飲んでいるということなのでしょう」 大使自身も勤務時間中やオフの時間にコーヒーを楽しむという。 「昼食や夕食のすぐ後に飲むということはありませんが、オフの時間では主に読書の合間によくコーヒーを飲みます。私が好きなのは、濃すぎず、といって薄味でもないクラシックなアメリカンコーヒーといったらいいでしょうか。砂糖、ミルクはなしで、非常に熱いのが好みです。また、この大使館の近くや青山近辺にあるカフェの中にも好きな店があり、よく行っております」濃いコーヒーによく合う、ペルーの甘い郷土菓子。
コーヒーとともに味わうお菓子の中でもペルーで定番といえば、アルファホーレスがある。丸い形のクッキー菓子で、2枚のクッキーの間に「ドゥルセ・デ・レチェ」と呼ばれるクリームがサンドされている。 「ペルーだけでなく南米各地で食べられていて、スペインやポルトガルにもあるようですが、ペルーで郷土菓子といえば、やはりこのアルファホーレスです」と、大使夫人のべロニカさんが話してくれた。 ペルーの一般的なアルファホーレスは直径が約10センチで、クッキー生地の表面にココナッツパウダーや粉砂糖をまぶしたもの。さらにポイントは中のクリームだ。「ドゥルセ・デ・レチェ」とはスペイン語で「甘い牛乳」という意味で、コンデンスミルクのこと。 コンデンスミルクを煮詰めてキャラメル状にした甘いクリームが「ドゥルセ・デ・レチェ」だ。このクリームの甘さとサクサクとした歯触りが、濃い目のコーヒーの味にとてもよく合う。 アルファホーレスに限らず、ペルーではお菓子にコンデンスミルクを使うのが主流だという。アルファホーレスはスーパーから有名菓子店やレストランのデザートに至るまで、あらゆる場所でお目にかかるお菓子で、バリエーションも豊富にあるのだとか。 「今日のアルファホーレスは特別に、クッキー生地にオーガニックのマカを入れて作っています」と大使夫人。 健康食品のマカを始め、キヌアやカニワなどのスーパーフードの原産国としてもペルーは注目されている。激務に追われる大使の食生活を気遣い、夫人は日頃からできるだけ健康にいい食材を使うようにしているそうだ。 「コーヒーブレイクのお菓子でも、やっぱり体にいいものがいいですよね」(大使夫人)
「昨今はマチュ・ピチュ遺跡だけではなく、美食を求めてペルーを訪れる観光客も多いのですよ」と大使は話す。
「映画のモデルにもなった世界的シェフのガストン・アクリオを始め〝世界のベストレストラン50〟に選ばれる店もあります。インカ帝国に始まり、スペイン、アフリカ、そして日本や中国からの移民が持ち込んだ食文化が融合した多様性と自由さ。それがペルー料理の大きな魅力です」(大使)
今年は日本人がペルーに移住して120周年という記念の年で、さまざまな式典やイベントも開催されている。
「コーヒーには、テーブルの周りに人を集める並外れた能力があります。 ワインを飲むロマンチックさや1杯のビールを仲間と共有する楽しさとはまた違いますが、ミーティングや重要な会議、ビジネスの場に最適なアイテムだと私は思っています。これからもコーヒーを囲んで日本とペルーの友好のためにさまざまな方々と話を深めていきたいと思っております」
駐日ペルー共和国大使
His Excellency Mr. Harold Forsyth
ハロルド・フォルサイト閣下
ペルー共和国の首都リマに生まれる。ペルーカトリック大学でジャーナリズムを専攻し、ベネズエラのシモン・ボリバル大学にて政治学修士を修了。ペルー国外交官として南米、欧米各国への駐在を経て、ペルー共和国大使として南米、欧米各国に赴任。2017年より日本に赴任。ベロニカ・デ・フォルサイト夫人との間に3人の子供がいる。
Republic of Peru
ペルー共和国
■ 面積:約129万平方キロメートル(日本の約3.4倍)
■ 人口:約3,182万人(2017年10月推定値,ペルー統計情報庁)
■ 首都:リマ
■ 言語スペイン語(他にケチュア語,アイマラ語等)
※外務省データによる
ペルー共和国大使館
Republic of Peru Embassy
東京都渋谷区広尾2-3-1
☎03-3406-4243