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COFFEE BREAK
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世界のコーヒー-World-
2019.12.24
コーヒーがエコ・フレンドリーにひと役買う国。
コーヒーがエコ・フレンドリーにひと役買う国。
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アンツ・インヤ・パンツ・コーヒー ヴェロニカ・ローズ氏
わずか10数年の間にロースタリーの数が26倍に。
──パースでコーヒーやカフェの文化が今日のような活況を呈するようになったのはいつ頃からですか? ローズ ここに興味深い数字があります。2006年、パースには6軒のロースタリーがありました。人口200万人弱の街の規模を考えると、決して大きな数字とは言えません。現在、その数は157軒です。わずか10数年の間に、いかに急激に新しい形のコーヒー文化がこの地に根付いたかがおわかりいただけるでしょう。 同社の創業は2005年。この街のコーヒー文化の隆盛と共に成長してきた。フランチャイズ店は本編で紹介した「アンツ HQ」を含め3店。その他40店舗にコーヒー豆を供給している。ローストする豆の量は週に1トン。 ──多くのコーヒーショップが環境保全への取り組みをしているようですね。 ローズ 弊社が経営する店舗から紙製カップを排除したのは2016年でした。最初は混乱もありましたが、お客様の方が慣れてくださって、1年くらいで浸透しました。この動きが他店にも広がっていくと期待しています。店舗では牛乳のパッケージをリサイクルする、抽出した後のコーヒー豆を廃棄せずコンポストにするなどを実践しています。コーヒー企業も成長に従い、社会的な責任が増す。
──ロースタリーの方ではどのような取り組みを? ローズ コーヒー豆のパッケージにはトウモロコシの茎を原料にしたエコ・フレンドリーな紙を使っています。また、原料や商品の運搬にはEV(電気自動車)を使っています。 創業当初から使ってきた30平方メートルの社屋が手狭になり、今年2月に400平方メートルの新社屋に移転したところだという。企業が成長するにつれ、社会的な責任も増すとローズさんは言う。南極海沿岸の最果ての地でも、持続可能な社会を目指して。
今回、取材チームはパースの後、西オーストラリア州を海沿いに南下したのだったが、途中で訪れたマーガレット・リバー、ペンバートンなどの町々で、やはりエコ・フレンドリーなコーヒーシーンを次々と目の当たりにすることになった。 旅の最後に訪ねたエスペランスは、そこから先は1000キロメートルほど先まで町らしい町はないと言われる最果ての町だったが、ここのカフェでも店側が用意したマグを客がテイクアウト用に使い回す「カップ・エクスチェンジ」と言う取り組みが見られた。オーストラリアの人々の、大企業や政府が関与しない自発的な環境保全の取り組みを見て、コーヒーができることのポテンシャルの高さを痛感した。
右/「アンツ・インヤ・パンツ・コーヒー」のEV。中/エスペランスのコーヒーショップ「ダウンタウン・エスプレッソ・バー」。左/「カップ・エクスチェンジ」はテイクアウト用のマグを店側が貸し出し、客は使用済みのカップを加盟店のいずれかで返却するというシステム。
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