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COFFEE BREAK
世界のコーヒー-World-
2016.12.15
ノスタルジックな心地よさが魅力の、ブラウンカフェ
オランダの文化を映し出す、古き良きインテリア。
ブラウンカフェの特徴は、文字通りに茶色く煤けた内装だ。木製の天井や床、壁は燻されていて、店内は薄暗い。ほとんどの調度品は木製の簡素なもので、照明はテーブルの上の蝋燭と壁ランプだ。昔ながらのオランダの習慣で、テーブルの上に小さな絨毯を置いているところもある。その独特のインテリアからは、この国の文化や国民性、そして長い歴史の中で培われた美意識を垣間見ることができる。フゼラフなひとときを求めて、ブラウンカフェを訪れる。
広々としたグランカフェや、モダンなデザインカフェが人気を博している中でも、ブラウンカフェの存在は別格だ。なぜなら、そこにはオランダ人が、味やデザインよりも大切にしている「フゼラフ」があるからだ。 英語の「コージー」に似た意味合いを持つ「Gezellig=フゼラフ」は、他の言語には該当する言葉がないと言われている。場所の雰囲気だけではなく、集う仲間の顔ぶれや話題、その状況や空間全体が、親密で心地良いことを表現するときに使われる。例えば大嵐の日に、暖かい部屋で友だちとコーヒーを飲みながら四方山話に花が咲いている時、その状況全てを指して「フゼラフ」と表現する。斬新な珍しいものからではなく、慣れ親しんだものの中からじんわりと立ち上るような感覚。新しいもの好きのオランダ人が、その一方で大切にする感性である。 ブラウンカフェでのフゼラフなコーヒータイムは、ドリップコーヒーとアップルタルトが定番だ。タルトには、山盛りのホイップクリームを添えるのがオランダ式。一方コーヒーは、ベーシックなドリップコーヒーが一般的で、濃縮したミルクを添えてサーブする。そのコーヒーには、驚きのおいしさはないけれど、ほっとするような質素な味わいがある。もともと「ふつうで十分」と考える国民性のオランダ人は、長い間、そんな「ふつうのコーヒー」を愛してきた。 近年の本格派コーヒーの流行で、オランダ人のコーヒー観も大きく変化した。それでも、お気に入りのカフェとして、ドリップコーヒーしかないブラウンカフェをあげる人が多いのも事実。どんなに腕利きのバリスタが美味しいコーヒーをいれても、古き良きオランダの歴史は作り出せない。ブラウンカフェのノスタルジックな雰囲気は、いつだって訪れる人に「フゼラフ」なひとときを与えてくれるのだ。Kingdom of the Netherlands
オランダ王国
オランダ主要情報
■ 面積:41,864平方キロメートル(九州とほぼ同じ)
■ 人口:1,704.8万人(2016年8月、オランダ中央統計局)
■ 首都: アムステルダム
※外務省HPより(2016年10月現在)