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COFFEE BREAK
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世界のコーヒー-World-
地産地消でハワイに根ざす、移住組オーナーのカフェ。
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Green World Coffee Farm グリーン・ワールド・コーヒー・ファーム
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カフェ兼雑貨店に隣接するコーヒー農園。レッドチェリーと呼ばれる赤いコーヒーの実を手摘みで収穫する。
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車を走らせていると、大自然の中に突如現れる農園兼カフェ。道路沿いの看板が目印。
コーヒーベルト地帯に位置するハワイは、アメリカで唯一のコーヒー産地だが、収穫量は世界の1%にも満たない。ハワイ州で最も大きいハワイ島でも面積は四国の約半分しかなく、
ハワイの多くのプライベート農園が手摘みでコーヒー豆を収穫しており、大農園はない。決して安くない価格ながら、昨今、ハワイ産コーヒー豆を提供するカフェがロコ(地元民)からの人気を集めている。
店のオーナーの多くは移住者、つまり〝非ロコ〟。この地に恋焦がれてやってきたからこそ、ハワイ産の魅力を伝えられるのかもしれない。
飲んで、見て、知る。コーヒー1杯で豊かな経験。
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写真左よりゼネラルマネージャーのジョンさん、ロースターのベスさん、マネージャーのマイクさん。
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明るい笑顔で出迎えてくれる、ロコガールのスタッフたち
オアフ島ワイアワに位置する「グリーン・ワールド・コーヒー・ファーム」の約8600坪の土地に植えられているのは、風が強いこの地に適した背の低いレッド・カツアイの木、2000本。モロカイ島から4年前に移植された若木は、今は腰の高さほどだが、いずれ2メートル超にまで成長する。
農園で収穫されたレッドチェリーは天日干し、脱殻したのち店内で焙煎される。倉庫を改造して作られたカフェ兼雑貨店にコーヒー豆を炒った香りが広がると、カフェの客が焙煎機のまわりに集まってきた。ロースター歴21年のジョン・アルヴァレッヅさんは、客たちにミディアムローストされた熱々の豆そのものを味見させ、コーヒーの無料テイスティングを促す。彼はノースショアのカフェ「コーヒーギャラリー」を行列のできる人気店に押し上げた立役者の1人。壁に飾られたコーヒーのポスターと麻袋は彼のコレクションで、「コーヒーを通して、深い経験を提供したい」と話す。
農業用地であるお店の周囲は、見渡す限り畑。立地もさることながら、車社会のハワイではワイキキを離れればドライブスルーでコーヒーを飲む人が多く、どの飲食店も集客に苦労している。試行錯誤したのち、表の看板に〝Restroom〟の文字を加え、駐車場脇にトイレを設置。休憩客をカフェに誘導することに成功した。来店理由の集計結果は〝たまたま立ち寄った〟が最上位。看板の効果はマスメディア向けの広告よりも絶大だった。
最近では、近隣からのリピーターが増加。ハワイの大自然に触れながら、美味しいコーヒーを飲むことがいかに豊かなことかは、彼らの滞在時間の長さを見れば明らかだ。
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(左から)生豆の状態に応じて、約2~11㎏の量を20分前後ローストする。/オーナー夫人のコウヘイさん(左)とジョンさん。/コーヒー(スモールサイズ1.75ドル)によく合うココナッツのターンオーバー(3.75ドル)。/マック・ナッツ・スティッキー(3.75ドル)と、人気メニュー・モカフリーズ(5ドル)。濃厚なエスプレッソのほどよい苦みが絶品。
Morning Glass Coffee+Café モーニング・グラス・コーヒー + カフェ
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(左から)焼き立てのミックスベリー・スラブ・パイ(1ピース3.75ドル)。/ペーパードリップで1杯ずつ丁寧に。/アイスコーヒーを作る際は、まずカクテルシェイカーを使っていれ立てのコーヒーの温度を一気に下げる。それから氷の入ったグラスに注ぐことで、コーヒーの風味を保つのだという。
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マノアでカフェをオープンしたのは「エアコンを使用しなくても、自然の風で十分に涼しい」というのが大きな理由。居心地のよい空間は、近隣住民を中心に子供からお年寄りまで幅広い世代に愛されている。
ハワイ産コーヒーは、300gずつ自家焙煎。
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オーナーのエリックさん。毎日お店に顔を出し、自らサンドイッチを作ることもあるのだとか。
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(左から)多くの客がモッツァレラサンド(8ドル)など、フード類も注文。/コーヒーをソーダで割ったハウスメイドソーダ(3ドル)。/アイスラテ(3.75ドル)。
Island Brew Coffee House アイランド・ブリュー・コーヒーハウス
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左:写真左よりラファエロさん、エイミーさん、ペイ・ユーさん(すべてオーナー)。/右:光が差し込み、清潔感ある店内。壁には若手アーティストの作品が飾られている。すべて購入可能。
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テラス席は景色を眺めながらリラックスしたい客や、犬連れ客に人気。
風味を引き出すため、フレンチプレスを使用。
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これぞ、ハワイといった眺望に臨むカフェでのひととき。コーヒー1杯以上の価値が得られる。
店名が「島で生産されたもの」を意味するように、100%ハワイ産豆のコーヒーが目玉商品。コナ、カウ、マウイモッカピーベリーを常時メニューに並べ、コーヒー特有の風味を引き出すためフレンチプレスで提供する。カウコーヒーは2010年、ハワイコーヒー協会主催のカッピング大会で優勝したラスティーズ・ハワイアン農園のもの。海の湿気を含んだこの場所で飲むのに適した、喉越しのよいフルーティな味わいだ。時が経つのを忘れ、景色にうっとり。いつのまにかカップが空になったら、水出しアイスコーヒーのお替わりもおすすめだ。
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(左から)ブルーベリーをトッピングしたオリジナルワッフル(9.45ドル)とカウコーヒー(3.85ドル)。/人気のヘルシーフード・アサイーボウル(8.99ドル)。/堆肥化できる持ち帰り用カップ。/12時間かけて水出しされたアイスコーヒー(2.65ドル)。
Beach Bum ビーチ・バム
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(左から)1杯ずつハンドドリップで提供。/オフィス街に立地。/スコーン(2.35ドル)とブラウニー(3.25ドル)。/ラテ(4.95ドル)とエスプレッソ(3.25ドル)は特に絶品。
州庁やホノルル市庁舎、金融などの高層ビルが立ち並ぶビジネス街・ダウンタウン。ハワイにいることを忘れるほど慌ただしいこの街で、〝朝の1杯〟を変えたのが「ビーチ・バム」だ。すべてのコーヒーをハワイ産100%の豆で提供する。通常、コーヒー豆は同じ農園で収穫された多品種の豆をブレンドして出荷されるが、ここではエスプレッソを除き、ティピカならティピカ1種類といった具合に単一種を農園から取り寄せている。豆そのものの味わいを伝えることが、オーナーのデニス・ミックコイドさんのこだわりだ。57歳でエンジニアからコーヒー業界へ――。
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写真左よりレイチェルさん、デニスさん、ステファニーさん。オフィス街にありながらリラックスした雰囲気が充満しているのは、彼らの人柄によるもの。店内でコーヒーを飲みながら、ミーティングをするビジネスマンの姿も。