迅速、かつ笑顔で人気のお店を切り回す、ケルナーのピエットさん。
カフェは、ふらっと入ってコーヒーを飲むだけの場にあらず。個性派揃いの店主やケルナー(男性給仕)と言葉を交わすだけで、滞在時間はぐっと彩り豊かになる。お国柄によって異なる、カフェでのコミュニケーションを学んでみよう。
会話でカフェを楽しもう!
強面が多いドイツ人だが、笑顔で話しかけてみてほしい。相手も笑顔を返してくれる。ベルリン子はぶっきらぼうで有名だが、悪気があるわけではないので気軽に会話を楽しもう。
実習現場:
アナ・ブルーメ(ドイツ・ベルリン)
※「メニューを読み解こう!」は
こちら。
■ 入店時
ドイツ語の定番の挨拶に思える「グーテン・ターク」だが、非常に丁寧な言い回しのため、カフェでこの挨拶をしているお客はほとんど見かけない。早朝なら「モルゲン! Morgen!(おはよう)」と声をかけても。南ドイツでは「グリュス・ゴット」という挨拶もある。
Kann ich draußen sitzen? (カン イッヒ ドラウセン ジッツェン?)
客:外の席に座っていいですか?
2007年から食事を出す店では禁煙が義務づけられたドイツ。扉で仕切られた喫煙室を持つ店も、基本的に喫煙者は屋外の席に座るかタバコを吸う時だけ外に出るしかない。灰皿がなかったら「カン・イッヒ・アイネン・アッシェンベッヒャー・ハーベン? Kann ich einen Aschenbecher haben?(灰皿もらえますか?)」と尋ねよう。日照時間が少ないドイツでは、タバコを吸わなくても、また少しくらい寒くても太陽さえ出ていればテラス席で少しでも日に当たりたいという人は多い。アナ・ブルーメでは、膝かけ毛布が準備されているが、冬場はテラス席に暖房が置かれている店もある。
Haben Sie einen Tisch für zwei Personen? (ハーベン ジー アイネン ティッシュ フューア ツヴァイ ペルゾーネン?)
客:2人なのですが、席はありますか?
Gerne, bitte kommen Sie mit. (ゲルネ、ビッテ コメン ジー ミット)
店:もちろんです。こちらへどうぞ。
アナ・ブルーメのような人気のカフェでは、予約しているお客もいるので席が空いているように見えても勝手に座らず、ケルナーの案内を待つのがマナー。座りたい席があれば、「イスト・ヒア・フライ? Ist hier frei?(ここの席は、空いていますか?)」と尋ねて確認しよう。テーブル席とカウンター席の値段の違いはない。時間がない場合は、テイクアウトができるか聞いてみよう。「マッヘン・ジー・アウフ・カフェー・ツム・ミットネーメン? Machen Sie auch Kaffee zum Mitnehmen? (コーヒーのテイクアウトはできますか?)」。朝、テイクアウトのコーヒーを片手に出社するドイツ人は多い。ラッシュ時でなければ電車内で飲んでも特に問題はない。
■ 注文時
Wissen Sie schon? (ヴィッセン ジー ショーン?)
店:お決まりですか?
Ich schaue noch. (イッヒ シャウエ ノッホ)
客:まだ決まっていません。
メニューを閉じるのは注文が決まった印。それを見てすぐ来てくれることもあるが、混んでくると目が届かないこともある。席まで案内してくれたケルナーに「エントシュルディグング! Entschuldigung!(すみません)」と声をかけよう。担当が決まっているため、ほかの人に声をかけてもやってくれない。
Ein Kännchen Kaffee bitte. (アイン ケンヒェン カフェー ビッテ)
客:ポット入りのコーヒーをお願いします。
たっぷりと2〜3杯のコーヒーが入ったポットに温めたミルクを添えた「ケンヒェンカフェ」。大ぶりなドイツのケーキと一緒に飲むならこれくらいの量が必要だ。店によっては、テラス席でコーヒーを飲む際にはポットのみというところも。その理由は諸説あるが、距離があって大変なので量をまとめて注文してもらおうということらしい。
Mit Sahne bitte. (ミット ザーネ ビッテ)
客:生クリームをつけて下さい。
ケーキは日替わりが多いため、メニューに名前が記載されていないことも多い。ショーケースに並ぶケーキを指差し「イッヒ・ヘッテ・ゲルネ・アイン・シュトゥック・フォン・デム・クーヘン Ich hätte gerne ein Stück von dem Kuchen(このケーキをひとつ下さい)」と注文しよう。デコレーションされていない素朴なケーキには生クリームを添えても美味しいので、お好みで。新聞や雑誌は断りを入れずに自由に読める。店を出る時には元のところに戻そう。
Eine Tasse Kaffee und einen Milchkaffee bitte. (アイネ タッセ カフェー ウント アイネン ミルヒカフェー ビッテ)
客:コーヒーをひとつ、ミルクコーヒーをひとつ、お願いします。
普通のブラックコーヒーを注文する時は「タッセ Tasse(カップ)」で。ミルクが欲しい場合は「ミット・ミルヒ mit Milch」と頼む。砂糖はテーブルの上かカウンターの側に、白砂糖だけでなくブラウンシュガーなど数種類が並ぶ。蜂蜜はハーブティー用。
■ 滞在中
Alles okay bei Ihnen? (アレス オーケー バイ イーネン?)
店:なにか問題はありませんか?
Ja, es schmeckt mir gut. (ヤー エス シュメクト ミア グート)
客:大丈夫です、美味しいですよ。
お店の人に「美味しい」と伝えるのは、コミュニケーションの第一歩。短く「レッカー! Lecker!(美味しい!)」と言っても。また追加の注文がある時や、料理が塩辛い、コーヒーが冷たいなど何らかの問題がある時は、この時点でケルナーに伝えるのがベター。代わりを持って来てくれたり、問題の改善に尽力してくれるはず。
■ お会計時
Ich möchte gerne zahlen. (イッヒ メヒテ ゲルネ ツァーレン)
客:お支払いしたいのですが。
Können wir getrennt zahlen? (ケネン ヴィア ゲトレント ツァーレン?)
客:別々に支払ってもいいですか?
ドイツではテーブルの担当が決まっているので注文を取ったケルナーに声をかけて、テーブルでお勘定をしてもらう。レシートは1席につき1枚。別々に支払う場合は、何を注文したかをケルナーに伝えると、計算してそれぞれの金額を紙に書いてくれる。ドイツのチップの目安は合計金額の5〜10%でキリのいい金額にする。例えば合計金額が8.45ユーロの場合、10ユーロ紙幣を出して「ノインオイロ・ビッテ 9 Euro bitte(9ユーロどうぞ)」。もしくは「スティムト・ゾーStimmt so(お釣りはいりません)」と言う。なにか問題があった場合はそれを伝えた上で、チップを払わなくてもよい。カードで払った場合は、小銭を置いておこう。ただし、ドイツではまだクレジットカードが使えないカフェも多い。
■ 退出時
Auf Wiedersehen. (アウフ ヴィーダーゼーエン)
客:さようなら。
Haben Sie eine Visitenkarte? (ハーベン ジー アイネ ヴィジッテンカルテ?)
客:ショップカードをもらえますか?
Öffnen Sie auch Sonntags? (エフネン ジー アウフ ゾンタークス?)
客:日曜日は営業していますか?
くだけた感じのカフェならば、「チュス Tschüss(さようなら)」でもよい。ドイツでは「閉店法」により日曜日と祝日の営業が規制されているが、カフェなどの飲食店には適用されず日曜日も営業しているところがほとんど。ただしオフィス街では週末が休みという店もある。しかし週末頑張ったからなのか?月曜日は定休日というカフェが意外に多いので、ご注意を。
文・河内秀子 / 写真・Gianni Plescia
更新日:2013/09/9