全日本コーヒー協会

COFFEE TIMES

世界のコーヒー

世界のコーヒー-World-

2021.04.15

様々な困難に立ち向かい、独自路線での成長をにらむ。

左:農村開発・土地省 アルフレド・ベニート・ロペス氏/右:FECAFEB代表 ルース・ビダウレ・ソロルサノ氏

 ボリビアコーヒーの約95%が生産されるラパス県のユンガス地方は、アンデス山脈と熱帯アマゾンの間に位置する生態系の豊かな土地だ。その内の標高600mから2000mにある肥沃な土地は、上質なコーヒーを生産するための地理的な条件に恵まれている。

 それでも、全国の生産量は約8万3千袋(2018年度)で、数量で圧倒的なブラジル(2018年度、約6290万袋)と品質を誇るコロンビアが存在する南アメリカにあって、コーヒー生産国としての知名度は高くない。

コーヒーとコカの栽培、ボリビアでの複雑な関係。

 ボリビアでのコーヒー生産の歴史は19世紀に遡るが、今世紀に入ってからの品質重視の栽培には、アメリカの支援が大きく関与してきた。

 ボリビアではカップ・オブ・エクセレンスが2004年から計5回開催されたが、コーヒー産業の脆弱な国とあって、USAID(米国国際開発庁)がその開催資金を支出していた。

 USAIDは1961年以来50年以上にわたって様々な分野でボリビアの社会経済の改善に協力してきたが、その主な活動の一つが麻薬撲滅だった。

 ボリビアではコカの葉が有史以前から栽培されており、嗜好品や天然の興奮剤として今でも主に農村部の先住民系の人々に広く親しまれている。精製すればコカインと化すコカの葉は、ユンガス地方でも広く栽培されてきたのだが、USAIDはボリビア輸出コーヒー生産者連合(FECAFEB)とともにコカ栽培の代替として、コーヒー栽培の普及に取り組んだ。

 しかし貧しい生産者が多く、繰り返すコーヒー価格の下落に、コカ栽培に戻る者は今でも後を絶たない。収穫が年1回のコーヒーに比べて、年に4回収穫できるコカは、素早い収入の獲得に好都合なのだ。

 元コカ栽培者組合代表で反米左派のエボ・モラレスは、先住民として初めて大統領に就任(2006-2019年)すると、コカ栽培を奨励し、USAIDを内政干渉だと批判して2013年に追放した。コーヒー産業は大型の支援を失ったのに加えて、2014年にはコーヒーサビ病が流行し、以降、生産・輸出量を更に減らすこととなった。

独自の審査会と国家計画で、巻き返しを狙う。

2020年度カフェ・プレジデンシアルの審査の様子 ©FECAFEB

 カップ・オブ・エクセレンスに代わる審査としてボリビアは2015年に独自の審査会「カフェ・プレジデンシアル」を創設し、現在まで行われている。

「2019年度は日本の業者が最優秀のコーヒー豆全てを購入しました」とFECAFEB代表のルース・ビダウレ・ソロルサノさんは笑みをこぼした。ボリビアのコーヒー豆輸出相手国として、日本は近年、アメリカに次ぐ2位につけている。

「ボリビアは2018年から五か年の『国家コーヒー計画』を推進しています」と農村開発・土地省のアルフレド・ベニート・ロペスさん。生産地27市町村を対象に生産効率の改善、品種の多様化などに取り組んでいる。近年は世界で人気上昇中のゲイシャ種の栽培に取り組む生産者も増えている。

 輸出量の減少に、ボリビアからコーヒー栽培がなくなるのではないかと危惧する海外報道もあるが、ロペスさんは2022年までに右肩上がりに変じるヴィジョンを抱いている。

Bolivia
ボリビア

主要情報
■ 面積:約110万平方キロメートル(日本の約3倍)
■ 人口:1,151万人(2019年 世銀)
■ 首都:ラパス(憲法上の首都はスクレ)※外務省HPより(2021年3月現在)
取材・文・写真 仁尾帯刀/コーディネート 山村ちひろ
更新日:2021/04/15