- TOP
- COFFEE BREAK
- 世界のコーヒー
- 世界ナンバーワンの生産国ブラジルで開催! 第4回サンパウロ・コーヒー・フェスティバル現地レポート!
- 世界ナンバーワンの…
COFFEE BREAK

世界のコーヒー-World-
世界ナンバーワンの生産国ブラジルで開催! 第4回サンパウロ・コーヒー・フェスティバル現地レポート!

ブラジルのコーヒービジネスの広い裾野

サンパウロ・コーヒー・フェスティバルは、2011年にロンドンで始まり、現在ニューヨーク、パリ、アムステルダムなど欧米を主とした8都市でそれぞれ開催されるワールドワイドなイベント「コーヒー・フェスティバル」のひとつで、サンパウロのものは今年で、4回目を数えます。 会場は、サンパウロ・ビエンナーレも行われることで知られるイビラプエラ公園にあるビエナル館で、今年も連日会場を満たす人出で賑わいました。フェスティバルはコーヒーのトレンドを発見し、体感するために、業界関係者のみならず一般消費者からも高く注目されています。会場には購入したコーヒー豆の袋を手に歩く人も多く、次々と異なるブースでテイスティングを重ねる来場者たちは、目を輝かせながら新しいコーヒー豆との素敵な出会いを求めているようでした。

全166を数えた出展者は、コーヒー生産者のみならず、コーヒー抽出器具や焙煎機のメーカー、スイーツ製造元やカフェ、あるいはコーヒー豆専門Eコマース業者、出版社など多彩な業種が集まり、ブラジルのコーヒービジネスの裾野の広さが感じられました。
その他、一般消費者向けの様々なワークショップやプロのバリスタが技を競う第9回バリスタカップ、コーヒーをテーマとしたディベートなど複数のイベントが同時に行われ、商品の見本市であるとともに様々な体験を楽しむことができ、五感すべてを刺激するコンテンツが賑わいをみせていました。

ブラジル各地の生産者が出展し自慢のコーヒー豆を披露!

サンパウロの「コーヒー・フェスティバル」が他都市と大きく異なる点は、生産者の出展が多いこと。それは開催都市のなかでも唯一のコーヒー生産国だからです。今年の生産者および生産者組合の出展数は43件。大多数はサンパウロ州内陸や隣接するミナスジェライス州からの参加でしたが、遠くはアマゾン地域からの出展者も複数あり、ブラジルコーヒーマップの広さが感じられました。 では、ブースの中からいくつかの生産者を紹介していきましょう。
■セルトン農園
ミナスジェライス州南部で、良質な豆を産出していることから注目されているカルモ・デ・ミナス市。この地で1912年に創業した「セルトン農園」は、2024年にコーヒー・フェスティバルを視察し、その熱気に触れ2025年の出展に踏み切った農園です。マンチケイラ山脈の標高1200mに位置し、良質な水資源に恵まれていることもあり、2005年カップ・オブ・エクセレンスでカッピング評価95.85点を獲得し優勝するなど、複数の受賞歴から海外との取引はあるものの、近年はサンパウロ市内で販路を築けずにいました。 「今回のイベントに参加して、コーヒー袋(250g)を250個販売しました。サンパウロ市内のカフェと新たな契約を結ぶこともできました」と共同経営者のジャミレ・ペレイラ・ヴィレラさん。

■バヘイロ農園
3年連続で出展したサンパウロ市内の高級スーパーマーケットでも取り扱いのあるオーガニックコーヒー豆のブランド「ロボ・ド・セホッテ(Lobo do Serrote)」。水資源豊かなサンパウロ州のセーハ・ダ・マンチケイラに位置するソコーホ市の「バヘイロ農園」が生産するこのコーヒー豆は、2023年にオーガニックコーヒーとしてカッピング評価88.50点をつけて、サンパウロ州最優秀賞を受賞しています。 農園オーナーのジョアン・パウロ・カポビアンコさんは、ブラジルで知名度のある環境保護団体を設立するなど、環境保護に関する数々の事業に携わった生物学者です。父の代までコモディティコーヒーを生産してきましたが、ほかに農地を購入し完全無農薬で営農しています。

出展している農園は、サンパウロ市内の量販店で見かけないコーヒー豆ブランドの生産者が大半で、オーガニック認証や農場の歴史など各々の特徴を来場者にアピールしていました。イベントの3日間でしか出会えないコーヒー豆の数々に、とても価値のある、満足度が高いフェスティバルだと感じました。
コーヒーを軸にまわるこれからのビジネス展開
【会員制オンライン定期販売サービス「オ・バリスタ(O Barista)」】
良質なコーヒー豆の会員制オンライン定期販売サービス「オ・バリスタ(O Barista)」が初出展。主に、ミナスジェライス州のコーヒー名産地「マンチケイラ・デ・ミナス」と、「マッタス・デ・ミナス」の小規模生産者の豆を月毎、あるいは半年毎に定期購買者に届けていくサービスを始めました。ミナスジェライス州南部パッサ・クアトロ市から出展を決めたスエレン・カズコ・ニシムタさんは「一般消費者にこの新たなサービスを知ってもらい、人脈を作るうえでコーヒー・フェスティバルの参加は有益だった」と言います。スタートを切ったばかりの新規事業は、今後SNSを通じて広めていくとのことでした。

【カルモマッキ社の最新小型電熱焙煎機「ストラト・ラビ」】
ブラジル産で有数の規模と知名度を誇る1992年創業のコーヒー焙煎機メーカー「カルモマッキ(Carmomaq)」社は、世界5大陸の数々の街に焙煎機を輸出販売しています。大型焙煎機から様々なラインナップを揃える同社は、未発売の小型電熱焙煎機「ストラト・ラビ(Storatto Lab)」など4つの焙煎機を陳列。3000ワットの電力で150~250グラムの豆を4~12分で焙煎できるこの商品は小ロットのコーヒー豆、あるいはサンプル豆の焙煎を行うために開発されたもの。家庭で焙煎したいこだわりのコーヒー好きにも注目されそうな商品です。

ブラジルのライフスタイルに欠かせないコーヒー

イベントにはコーヒーTシャツを販売するアパレル業者のブースも複数ありました。今年で創業5年の「トレヴォ/ティー(Trevo/Tee)」は、イベントを通じて約300枚のTシャツを販売。「paz(平和)」、「sonhar(夢見る)」など、メッセージ性のある単語やフレーズをプリントしており、創業時から販売する「café(コーヒー)」プリントは人気が高く、コーヒーコレクションとしていくつかのデザインで販売していました。ブースに並べられたのはこのシリーズの商品。 「コーヒーは単なる飲み物ではなく、愛情、休息、人とのつながり、ライフスタイルを象徴するものです。コーヒーを愛する人は愛情ある人間関係を好み、どんなひと時をも大切にするものです。ですから、コーヒーという言葉もまたメッセージの一つなんです」 とトレヴォ/ティー共同経営者のカミーラ・フリゼラ・デ・メーロさんは語ってくれました。 会場を見渡せば、コーヒーで人と人が笑顔でつながり、テイスティングしながら談笑する業界関係者や一般来場者の姿があちらこちらにありました。

ブラジルでは朝食のことを「カフェ・ダ・マニャン(café da manhã)」といいます。直訳すると「朝のコーヒー」。世界広しといえども「コーヒー」の単語が「朝食」に含まれている地域は他にないはずです。 ブラジル人にとって一日のスタートに欠かせないコーヒー。であれば、より質の高いものを求めたい!というコーヒーへの愛情がイベントの盛り上がりから感じられました。
SAO PAULO COFFEE FESTIVAL 2025
開催期間:2025年6月27日〜29日
開催場所:ブラジル サンパウロ イビラプエラ公園 ビエナル館
HP:https://www.saopaulocoffeefestival.com.br/