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コーヒー・ワンダーランド

コーヒー歴史トリビア・クイズ 〈文学におけるコーヒー1〉

謎めいているからおもしろい!コーヒー歴史トリビア・クイズ
〈文学におけるコーヒー1〉

 いまや世界中の人々に愛されているコーヒー。ドラマに満ちたその歴史には多くの謎が残されている。クイズ形式でコーヒーの歴史を紐解くトリビア、第12回は文学に記されてきたコーヒーについてのあれこれから。
Question1

 16世紀前半に創作されたアラビア最古のコーヒー讃歌の中で、当時弾圧されていたコーヒーを擁護するのに「○○と同じくらい無害だ」として引き合いに出されているものとは次のうちのどれ?

a 水
b お茶
c ミルク
d ワイン

Answer1 c ミルク

〈ああ、コーヒー。全ての憂いを追い払う‥‥〉で始まる「コーヒーを讃える」という詩の中に以下の記述がある。〈無垢なるミルクのごとく無害にて、ただ異なるは黒きことのみ〉。当時、コーヒーは宗教界から謂れなき疑惑の目で見られていたことがあり、同時代の多くの表現者が作品を通じてこれに反駁していた。

Question2

 1718年にフランス人聖職者ギローム・マシューが著した『コーヒーの歌』の中で、煎って粉にしたコーヒー豆を保存する手順として、袋または箱に入れた後、ある方法で密閉せよと書かれている。その方法とは?

Answer2 袋または箱を革にくるみ、蝋を塗る

 同書の「コーヒー」と題された長詩の中に以下のくだりがある。〈コーヒー豆を炎にてよく煎りて、煎りあがらば粉にする。(略)すぐさま袋又は箱に入れん。(略)しかして、革にくるみて、軟らかき蝋を塗る。狭き隙間や目につかぬ孔をなくすためなり〉。そうしないと、コーヒー粉末の持つ大事な成分や「力」が「逃げ」てしまい、「むなしく空気の中に消える」と警告している。コーヒーをいれる度に、蝋を拭き取り、革の布を恭しく解いて、挽いたコーヒー豆を取り出していた様を想像するだけで優雅な気分になる。

Question3

 前掲の『コーヒーの歌』の中で、コーヒーという「美味なる飲み物」を飲むのに適した時刻とされているのは次のうちのどれ?

a 明け方
b 昼寝の後
c 食後
d 就寝前

Answer3 a 明け方と c 食後

 〈だが、かかることは些細なりて‥‥〉と詩は続く。「かかること」とは、前問で取り上げた恭しい豆の保存法のことだ。〈さらに大事なことあり。美味なる飲み物を飲み干す時刻なり。明け方の新しき日の陽光を浴びながらもよし。早朝は飢えたる胃袋、食べ物を求める。豪勢なる食卓での豪華なる食事の後もよし。詰り過ぎたる胃袋、食べ過ぎに苦しむ。その身勝手に似つかわしくなくも、外からの熱き力の助けを求む〉。コーヒーが食欲を増進し、消化を助ける効能を詩人は体験から知っていたようだ。

Question4

 フランスの詩人、ジャック・デリーユ(ジャック・ドリル)が『自然の女神の三代の御代』の中で取り上げている、コーヒーに関わる日本の工芸品とは?

Answer4 漆塗りの器

 同書の中の「神の飲み物なるコーヒー」という詩はこのように始まる。〈詩人に優しき飲み物あり、それウェルギリウス(ローマの詩人)には知られざるもボルテール(フランスの文学者、哲学者)賛美す。それ神の飲み物なるコーヒーなり〉。この後、詩はコーヒーをいれる手順へと続き、それを注ぐ段で、次のように述べる。〈アメリカより来る蜂蜜が食卓を祝福す。(略)日本より来る漆塗りの器、我を招く。二つの国の捧げ物、我に霊感を与えよ〉。ちなみに、デリーユの生没年は1738–1813である。その時代に漆塗りのカップでコーヒーを飲んでいたとは!

Question5

 19世紀末、88歳の時に作った詩の中でコーヒーを「東洋の岸辺の飲み物」と表したイタリア人、ヴィンチェンツォ・ジョアッキノ・ラッファエレ・ルイージ・ペッチが就いた最高位の職位とは?

Answer5 ローマ教皇

 ヴィンチェンツォ・ジョアッキノ・ラッファエレ・ルイージ・ペッチ(舌を噛みそうに長い!)は1878年にレオ13世としてローマ教皇に即位し、1903年までその地位にあった。当該の詩のタイトルは「清貧」。どこかから彼のもとにコーヒーが届けられたのだろう。その時の喜びを次のように記している。〈ついに来たりぬ、東洋の岸辺の飲み物/遙か遙かモカにて、芳しき豆より生まれしもの/黒き液体を味わわん/繊細なる唇にて/飲まんかな、喜びに満ち胃袋待ちわびん〉。興奮ぶりがひしひしと伝わってくる。

Question6

 オーストリア・ウィーンの詩人ペーター・アルテンベルグ(1859-1919)の詩「いざ、コーヒーハウスへ」の中で、コーヒーハウスに行くべき状況として登場しないのは次のうちのどれ?

a 家賃が払えず家から追い出された
b 詩を作ったものの、街で出会った友達が耳を貸してくれない
c 靴が擦り切れてぼろぼろになった
d 恋人になぜか約束をすっぽかされた

Answer6 なし(abcd全て詩の中に登場する)

 「カフェ文士」として知られるアルテンベルグは、ウィーン市内のホテルを定宿とし、「カフェ・ツェントラール」などに入り浸った。この詩は、〈心配事や何か厄介事があるならば、いざ、コーヒーハウスへ〉で始まり、あらゆる状況の人にとってコーヒーハウスはふさわしい場所であると謳っている。〈人目を避けたき気分になれば、いざ、コーヒーハウスへ/新調の背広を見せびらかしたいならば、いざ、コーヒーハウスへ〉といった具合に。現代においても最高の広告コピーになりそう?

※参考文献/『オール・アバウト・コーヒー―コーヒー文化の集大成』(TBSブリタニカ)

文・構成 浮田泰幸/イラスト マツモトヨーコ
更新日:2020/04/16



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