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コーヒー・ワンダーランド

コーヒー焙煎士、パリの流儀 Vol.5

誠実に、笑顔で繋げるコーヒーの輪。

Thomas Lehoux
トマ・ルウー

1986年南仏・ニーム生まれ。英、豪で遊学後、パリの「カフェオテック」で働きコーヒーの道へ。コーヒーショップ共同経営後、「ベルヴィル焙煎所」をオープン。

若手の参入で活気付くパリのコーヒー業界。31歳の焙煎士は、新しい視点でコーヒーを扱い、若い世代から支持を集めている。美食の都で活躍する、個性豊かな仕事人たち。その流儀に迫る連載。

 4、5年前から数を増やしているサードウェーブ系コーヒーショップ。そのムーヴメントの中心にあり、多くの若手バリスタやコーヒー愛好家に支持されるのが「ベルヴィル焙煎所」だ。焙煎士のトマ・ルウーが共同経営でこのビジネスを立ち上げたのは2013年、27歳の時。バリスタとしてパリ市内のコーヒーショップで大成功を収めたのちの、新しいステップだったという。
「当初は豆をイギリスの焙煎所から仕入れていました。コーヒーの知識が深まり、生産地に人脈が広がっていくうちに、豆の味も自分たちで決めよう、と。それと、善意のビジネスの輪を目指す気持ちもありました。小規模でも、いいものを適正価格で扱って、信頼で繋がる商業モデルを作りたかった」
 その際にまず行ったのは、「企業理念」を書き出すこと。「高品質を追求する」「そのための知識をシェアする」「上機嫌で仕事をする」……。20人の大所帯になった今も、これらは「ベルヴィル焙煎所」の就労条件として扱っている。なぜ「理念」から始めたか。「コーヒーにはその価値があるから」と、ルウーは満面の笑みで答えた。
「誠実にポジティブに仕事をすると、同じ考えや姿勢を持った生産者やお客さんに、自然と出会えるんです。文化や社会は違っても〈コーヒーって最高だよね!〉と、笑顔で繋がれる。それってすごいことだと思いませんか?」
 その理念と味を評価し、彼らの豆を仕入れるプロの顧客は今、欧州と米国に約80件。昨年は直営カフェ「ラ・フォンテーヌ・ド・ベルヴィル」を開業し、一般顧客と繋がる場所も確保した。

重要なのは安定と反復。航空管制官に似ている。

 コーヒーの「繋がり」を愛するルウーだが、自分の殻に閉じこもる時間もある。焙煎中、特に仕上げの5分間だ。外界の音を遮断し、視覚と嗅覚を最大限働かせ、目の前の豆が〈ベルヴィルの味〉になる瞬間をキャッチする。
「生豆は生き物ですから、データだけでは測れないものがあります。日々変化する状態から、いかに安定した味の仕上がりに持っていくか。自分の仕事は航空管制官に似ているなと思いますね。神経を総動員して、毎日同じことを繰り返す。事故なく、安定した品質を維持するために。今日はペルーの生豆を6回、計90キロ焙きましたが、それが全て同じ味に仕上がっていなければなりません。ハードだけど、とても美しい仕事だとも思うんです」

オリジナルの作業着
企業理念に賛同して採用が決まった社員にはまず、名前入りのオリジナル作業着を配付する。「ベルヴィル焙煎所の旗印。この旗の下に集って働こうという、チームワーク強化の道具です」

ヨーヨー
焙煎時に欠かせない道具として、ルウーが持参したのはヨーヨー。「全く関係ないようですが(笑)。感覚を研ぎ澄ますために、体のどこかで単純な動作を繰り返しているといいんです」

フレンチプレス
湯を注いで濾すという、最も単純な抽出方法を一番好んでいるルウー。「カッピング試飲に最も近く、豆の欠点を一番隠せないやり方でもある。いい豆でなくては使えない道具です」

Belleville Brûlerie
ベルヴィル焙煎所

撮影は、まだ工事が進む新焙煎所での焙煎中に。2017年冬からここで豆や器具の販売、アトリエも行う。
14, rue Lally Tollendal, 75019 Paris
cafesbelleville.com

文・髙崎順子 / 写真・吉田タイスケ
更新日:2017/12/20



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