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コーヒー・ワンダーランド

エンリコ・マルトーニ氏に聞くイタリアのコーヒー・マシーン百年史。

「エスプレッソ・マシーン博士」と呼ばれるエンリコ・マルトーニ氏のコレクションは、その数250台余で世界一と称される。18世紀から現代の機械までをカバーし、世界中で展示されて高い評価を得ている。

17世紀後半から19世紀のエスプレッソ・マシーンのコーナー。石炭で機械を動かしていた時代だ。保温機能がなく、飲む度に温め直していた。
(以下、マシーンの写真はすべてMUMACで撮影)

 僕が初めてエスプレッソ・マシーンを手に入れたのは18歳のときです。1950年代のものでした。古い機械の形の美しさや仕組みに魅了され、もっと古いマシーンの歴史や素材に興味が湧いて本格的なコレクションがスタートしました。

 あくまでも「時代背景がわかるデザイン性に長けたもの」を基準に、ただ好きなものを収集してきました。一台でもかさ張る機械を、今ではとうとう250台余も所有してしまいました!

 現在ミラノで展示しているのは、イタリアの今は亡き優れたデザイナーの作品から、今も活躍中のデザイナーのものまで、デザイン、素材、色、それはもう素晴らしいものばかりです。熱源が石炭からガスへ、そして電気へと替わり、今ではクリーミーなコーヒーをいれられる性能のよい機械ができました。いつの時代もコーヒーは皆に愛されてきたことが、僕のコレクションから感じてもらえるでしょう。

 アラブ、ヨーロッパではここ20年の間に各国で様々なカフェ文化が生まれました。コーヒー豆の質が上がり、機械も新しいデザインのものがたくさん開発され、面白いビジネスがまだまだ生まれてくるでしょう。コーヒー文化の発展は生活の豊かさを表す指標でもあると思っています。コーヒーの文化はとても奥深く興味深いものです。

コーヒーは世界の文化を、グローバル化するツール。

ジウジアーロが2008年にデザインした作品「Emblema」を分解し、機械の進化と革新を説明しているコーナー。

 イタリアは伝統的にコーヒー文化が根づいているので、チェーンのコーヒー店がなかなかできない国です。上質の美味しいコーヒーが安く飲めるので、それに対抗できる会社がないからだと思います。よく街角で見かける「カフェで立ち飲みをしながら会話をする」という伝統的なスタイルも理由のひとつでしょう。反面、今イタリアでは、これまでなじみのなかったアイスコーヒーが少しずつ浸透してきています(エスプレッソと砂糖と氷をシェイクする〝カフェシェケラート〟しかなかった)。このように、コーヒーは世界の文化をグローバルにするツールのひとつでもあると思うのです。

 日本のコーヒー文化もここ数年でずいぶん変わったと聞いています。生活が豊かになり、ライフスタイルや食習慣が変わってきたことも原因だと思いますが、味を吟味し、いれ方や豆の種類にこだわる。コーヒーほど日本人にあった飲みものはないと思います。マニアックな世界ですからね。日本人の緻密性と味覚を考えると、ぴったりの飲みものだと思うのです(笑)。

 チャンスがあったらイタリアにコーヒーを飲みに、そして僕のコレクションを見にいらしてください。

Profile

Enrico Maltoni(エンリコ・マルトーニ)
1970年、イタリア・フォリー生まれ。世界一と称されるコレクションは、ミラノのトリエンナーレ・デザイン美術館やMUMAC(エスプレッソ・マシーン博物館)に展示中。コーヒー文化の講演やテレビで活躍している。
エンリコ・マルトーニ

稀代のデザイナーたちが手がけた、マシーンの数々。

コーヒーはイタリアの文化そのもの。イタリアンデザインを支えたデザイナーたちも、エスプレッソ・マシーンを手がけていた。

Enzo Mari
エンツォ・マーリ

1950年代、エンツォ・マーリとブルーノ・ムナーリはコンビでの仕事が多かった。今も活躍中のマーリだが、エスプレッソ・マシーンのデザインを手がけたのはこれ1台きり。本来は「コンクール」という名だが、「ダイヤモンド」の愛称がつくほど有名になり愛されてきた、代表作のひとつ。

©Angelo Palma/A3/contrasto/amanaimages

Bruno Munari
ブルーノ・ムナーリ

絵本や家具などを手がけ、詩的なデザイナーとして知られるムナーリ。この作品では素材選びからマーリと2人で何度も話し合ったというエピソードもある。美しさで一番目をひく作品と言っても過言ではない。時代性やコーヒー文化を表現したデザインで高く評価される代表作品。

1950年代、先鋭的なマシーンメーカーが、当時人気のマーリとムナーリにデザインを依頼した。モジュラー式でジオメトリックなこの作品はブルーにメタリックの色違いもあり、いずれも博物館で保管される貴重な作品だ。

Gio Ponti
ジオ・ポンティ

イタリアの雑誌『Domus』の編集長や建築家、デザイナーとして活躍したジオ・ポンティ。イタリアデザインの伝説的人物だ。特に1950年代の作品に特徴があり、「Futurista」と呼ばれる彼のスタイルは、未来を見据えながらデザインした作品が多く、時代を超え今も人々に愛される。

1946年作のプロトタイプで世界に1つだけの作品。ダイナミックなデザインだ。ミラノのトリエンナーレ・デザイン美術館で10月30日まで展示中。

ポンティは1947~60年の間に数台のエスプレッソ・マシーンを作った。こちらは筒型の流曲線が特徴、美しくユニークなデザインだ。

Ettore Sottsass
エットレ・ソットサス

1980年代にポストデザインという言葉を作り出し、「アルキミア」というデザイングループの中核となり活躍したソットサス。カラフルな作品が多く、いつも時代の先取りをして話題を提供していたデザイナーでもある。エスプレッソ・マシーンを手がけたのはこれ1台きりという記念碑的な作品だ。

1983年に作られたソットサス唯一のエスプレッソ・マシーン「TRONIC」はアルド・チビックとの共同作品だ。

Giorgetto Giugiaro
ジョルジェット・ジウジアーロ

イタルデザインの創設者で車のデザイナーとして著名なジウジアーロ。水のボトルから飛行機の室内のデザインまで幅広く手がけ、時代のテクノロジーを巧みに操るマルチなデザイナーとしても知られる。エスプレッソ・マシーンのデザインは何台も手がけ、コーヒー業界でも話題を呼んでいる。

2008年作のスピード感あふれるこの作品はGood Design賞にも輝いた。デザイン性と機能性が備わった、彼の代表作だ。

location

ミラノのMUMACには、マルトーニ氏のコレクションが集合。
エスプレッソ・マシーンのデザインと歴史の流れを年代別に知ることができる。

ROOM 1 20世紀初期
20世紀初期のバールを再現。エレガントな機械。だがこの時代の機械は圧力が低く、エスプレッソの味は苦くて、あまり美味しくなかったのだとか。石炭の香りが勝るコーヒーだったらしい。

ROOM 2 1940年代
40年代のコーナーには、イノックス素材の美しいマシーンが勢ぞろい。この頃、マシーンの燃料はまだガスだった。カップの保温スペースが必要となり、縦型から横型にデザインが変わってきた。

ROOM 3 1950年代
50年代のイタリアのバールを再現。横型になった機械がスタイリッシュだ。口当たりがよくクリーミーで美味しいコーヒーが登場。MADE IN ITALYのマシーンに人気が集中したのもこの時代。

ROOM 4 1960~70年代
60~70年代には機械の水圧が上がり電気式になり、手軽にエスプレッソをいれられるようになった。カスティリオーニ兄弟がゴールデンコンパス賞を取った貴重な作品も展示されている。

ROOM 5 1980~2000年代
もっとも現代に近いコーナー。テクノロジーでエスプレッソをいれる時代に。ボタンひとつで計量でき、5秒で美味しいエスプレッソが飲めるようになった。歴史とイノベーションを感じさせる展示だ。

ROOM 6 COFFEE ACADEMY
博物館内のCOFFEE ACADEMY。プロ向けと愛好者向け2種類のレッスンがあり、豆の違い、歴史、機械の使い方やコーヒーのいれ方の秘訣を教えてくれる。英語でのレッスンもあり、外国人にも人気。

MUMAC www.mumac.it
10:30-13:00 14:30-17:00(火~金)ただし火・金は要予約。
休日:土・日・月
Via Pablo Neruda 2 20082 Binasco (MI) Italy
tel.+39 02 90049362

文・コーディネート 坂本きよえ/写真・フランキー・ヴォーン
更新日:2015/08/24



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