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コーヒー・ワンダーランド

コーヒー歴史トリビア・クイズ 〈演劇におけるコーヒー〉

謎めいているからおもしろい!コーヒー歴史トリビア・クイズ
〈演劇におけるコーヒー〉

いまや世界中の人々に愛されているコーヒー。ドラマに満ちたその歴史には多くの謎が潜む。クイズ形式でコーヒーの歴史を紐解くトリビア、第14回は、演劇に登場するコーヒーについての謎に迫ります。
Question1

イギリスで初めてコーヒーが登場した演劇とされる喜劇『タルゴの計略あるいはコーヒーハウス』(1667年)を評して、有力官僚のサミュエル・ぺピーズ(ピープス)が記したコメントは次の2つのうちのどちら?

a これまで見た芝居の中で最も刺激的でユニーク
b これまで見た芝居の中で最もばかばかしく退屈

Answer1 b これまで見た芝居の中で最もばかばかしく退屈

ぺピーズ(1633-1703)は「イギリス海軍の父」と呼ばれる人物。史料的価値の高い日記を残したことでも知られる。この喜劇は、主人公が開いたかりそめのコーヒーハウスを舞台に、そこに集う客たちの振る舞いを描き、最後は愚かな客たちにうんざりした店主が「こんな不作法な奴は私のコーヒーハウスじゃなくて、田舎の酒場に行ってくれ」と言って客を追い立てるというストーリー。どこがどう「ばかばかしく退屈」だったのかについては残念ながら詳らかでない。

Question2

パリで喜劇『ル・カフェ』(1694年)が発表された頃、現地のコーヒーハウスの店主やスタッフはある服装をするのが流行した。その服装とはどのようなものであったか? 次の3つのうちから選べ。

a 中国人風の服装
b アルメニア人風の服装
c アラブ人風の服装

Answer2 b アルメニア人風の服装

パリで初めて一般の人々にコーヒーを売ったのはパスカルというアルメニア人で、1672年、カルチェラタン近くの公園で開かれたサンジェルマンの博覧会会場のテントでのことだったとされる。この時の評判がパリの人々の記憶に強く残り、コーヒー=アルメニア人というイメージが出来上がったようだ。1696年上演の喜劇『サンジェルマンの市』でも、主人公の一人であるコーヒー売りの老人はアルメニア人の服装をして、自分はアルメニア人で帰化してから3週間だと語っている。

Question3

「イギリス小説の父」ヘンリー・フィールディングが書いた、コーヒーハウスが舞台の戯曲『コーヒーハウスの政治家、あるいは墓穴を掘った裁判官』が原因の一つとなって起こった社会的変化とは次の3つのうちのどれ?

a 演劇検閲法が発布され、演劇がそれまでの影響力を失った
b コーヒーハウス閉鎖が相次いで、ロンドンの活気がなくなった
c 政治家や裁判官が自分の評判を気にして、コーヒーハウスに入り浸るようになった

Answer3 a 演劇検閲法が発布され、演劇がそれまでの影響力を失った

この戯曲は当初『強姦騒ぎの顛末』というスキャンダラスなタイトルで発表され、後に改題された。フィールディングの書く芝居は風刺が効いて人気を博した。彼らの政権批判を快く思わなかった政権は演劇検閲法を発布して、風刺劇を取り締まった。この一件を機にフィールディングは表現の方法を演劇から小説に移した。こうした気骨のある表現者が「取材」の場としたのも当時のコーヒーショップだったに違いない。

Question4

次に挙げるタイトルのうち、18世紀から20世紀に上演、もしくは執筆されたコーヒー関連の演劇・歌劇でないものはどれ?

a 『田舎のコーヒーハウス』
b 『機知あるコーヒーハウス店主』
c 『コーヒーハウス、あるいは美しき逃亡者』
d 『コーヒー屋台の独裁者』

Answer4 なし(ⓐⓑⓒⓓすべてが実在するタイトル)

aはバルダッサーレ・ガルッピ作の歌劇(1762年、イタリア)、bは作者不詳の喜劇(1807年、イタリア)、cはボルテール作とされる喜劇(1760年にフランス語から英訳)、dはハロルド・チャピン作の一幕劇(1921年、アメリカ)。

Question5

“イタリア近代喜劇の祖”と呼ばれ、ベネチアのカフェを舞台にした喜劇『ラ・ボデガ・ディ・カフェ』(1750年)を書いたことでも知られるカルロ・ゴルドーニ(1707-1793)が、別の喜劇の中で登場人物に語らせた当時のコーヒーのいれ方は次の3つのうちのどれ?

a コーヒー豆は十分に細かくなるよう、少なくとも3度に分けて砕く
b コーヒー豆を入れた水の沸騰・沈殿を少なくとも7回は繰り返す
c ドリッパーに注ぐお湯はほんの少しずつ、少なくとも20回に分けて注ぐ

Answer5 b コーヒー豆を入れた水の沸騰・沈殿を少なくとも7回は繰り返す

ゴルドーニはコーヒー愛好家でコーヒーハウスの常連だった。『ラ・ボデガ・ディ・カフェ』の舞台はかの有名な老舗カフェ「フローリアン」だとされる。出題の作品は『ペルシャ生まれの妻』というタイトル。クルクマという登場人物が、コーヒーの来歴、植物学的特徴、コーヒーをいれる時の注意点について述べる。その後半に〈火にかけておき、泡が立つと火からおろして、もう一度沈殿させる。これを少なくとも7回繰り返す〉とある。

Question6

1737年にロンドンのロイヤル劇場で上演された『コーヒーハウス』は、初演の夜、ある特定の人々からの思わぬ抗議に遭う。抗議したのはどんな人々だったか?

Answer6 舞台設定のモデルになったコーヒーハウスの常連たち

ジェームズ・ミラーという牧師によって脚色されたこの作品は、原作本の口絵に「ディックス・コーヒーハウス」という店の模様が描かれていることで、この店が舞台になっていることは明らかだった。筋立ての中には、店の実際の女性オーナーとその娘に関するプライベートな逸話も含まれていたので、義憤に燃えた常連客の弁護士たちが初演の夜に抗議したのだった。ちなみに、この芝居には劇中歌が挿入されるが、その中にこんな歌詞がある。〈男どもよ、ここにて見出したるものすべて、空想力を喜ばせたりて、知性のためになるらん。来たれ、皆の衆、喜びの飲み物を一皿飲まん〉。含意を感じずにはおられない……。

※参考文献/『オール・アバウト・コーヒー―コーヒー文化の集大成』(TBSブリタニカ)

文・構成 浮田泰幸/イラスト マツモトヨーコ
更新日:2021/09/14



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