Oops! It appears that you have disabled your Javascript. In order for you to see this page as it is meant to appear, we ask that you please re-enable your Javascript!

ホーム > コーヒー海外事情 > コーヒーなしには語れない、コペンハーゲンの一日。

コーヒー海外事情

コーヒーなしには語れない、コペンハーゲンの一日。
北欧デンマークは世界有数のコーヒー消費国。首都コペンハーゲンのカフェでは、憩いのひとときにコーヒーが欠かせない。コペンっ子たちのコーヒーを巡る一日を追った。

コーヒーなしには語れない、コペンハーゲンの一日。

 冬が長い北欧では、室内で快適な時間を過ごすため、インテリアに凝り、コーヒーやケーキで来客をもてなす習慣ができたと言われている。デンマーク•コーヒー協会の統計によると、世界のコーヒー消費国ランキングの上位を占めるのは北欧諸国。デンマークでは、朝目覚めてから夕食後のコーヒーまで、一日6杯以上飲む人がコーヒー消費者全体の34%もいるという。首都コペンハーゲンの人気カフェ4軒を巡り、現地のコーヒーラヴァーたちの一日を追った。

Riccos リコス
職場近くのカフェで、出勤前に朝の一杯を。

バリスタのマティルダさんは、プロ 向けの講習会に1週間通った。マイルドな「リコス・ブレンド」が人気。

座り心地のよいソファもリコスの こだ゙わり。

 「リコス」は、17歳の時からコーヒーマニアというオーナーのリコさんが10年前にオープン。いまやコペンハーゲン中に30軒以上展開する、カフェ・チェーンである。ほとんどの顧客がテイクアウトで立ち去る中、センスのよいリコさんセレクトの中古家具が置かれた店内で出勤前のひとときを過ごす常連が少なくないのは、自宅同様に居心地がいいからだ。たとえば、入り口脇に置いたボックスは、顧客がネットでオーダーした本をカフェが代行して受け取るためで、通勤の行き帰りに楽しみにしていた本をコーヒー片手に読み始める人もいる。

 物価の高いデンマークで、カフェラテ25DKK(約375円)は他店より若干安めなのと、家庭的な店の雰囲気がリピーターの多い理由だ。

「カフェはコーヒーを飲むだけの場所じゃない。イベントの通知やアート作品の展示、メールオーダー品の受領、チャリティ・グッズの販売。ツーリスト向けにはガイドブックも置いている。人が集まって、ここから何かが始まる。そんなカフェにしたかった」と、リコさんは話す。

 通勤ラッシュが終わると、リコスに女性客が多くなる。ベビーカーを押したママ・グループの賑やかなおしゃべりが聞こえるころには、店が華やかにかわっていく。小さなカフェの一日はまだ始まったばかりだ。

 職場でのランチタイムは平均30分というデンマーク人だが、ミーティングや休日に友達と会う時は、レストランよりカフェでのランチを好むのがコペンハーゲンの傾向。なかでも、地元の人々が外国や地方からの訪問客に胸を張って紹介するのが、ショッピングストリート「ストロイエ」の中心、アマートー広場前の「カフェ・ヨーロッパ1989」。デンマーク初のバリスタ世界チャンピオンがオープンしたカフェとして有名なだけでなく、軽食メニューも充実しており、レシピブックも出版されている。

Riccos
リコス

「リコス」の前に自転車を停めて、朝のコーヒーブレイク。短い北欧の夏にはよく見られる風景。
http://www.riccos.dk

Cafe EUROPA 1989 カフェ・ヨーロッパ 1989
デンマークで一番高い?料理もコーヒーも超一流。

店名同様、ヨーロッパのものを中心 に集めた写真やアートを並べたコーナーは、開店直後に埋まる人気席。

大理石のカウンターでいれるコーヒ ーは少々苦めなブレンド。添えられ たクッキーと共にじっくり味わう。

「うちがコペンハーゲンの中心地のカフェ激戦区で生き残っているのは、コーヒーも食事もクオリティにこだわっているから」と話すのは、バーマネジャーのジェスティンさん。たとえば、バイオダイナミック農法の餌を与えた牛の乳を使った特注のコーヒー用ミルク。オリジナルのエスプレッソ・ブレンドは、モルトとナッツの風味が独特のアロマを醸し出す。

「従業員は、バリスタの講習会に通う前に、フロアで3カ月間接客を学びます。お客様の反応がわからなければ、よいコーヒーはいれられませんから」と、サービス面でも完璧を目指す。

 2010年10月に行われたデンマーク消費者団体の報告によると、世界32都市におけるテイクアウトコーヒーの価格調査では、コペンハーゲンが堂々一位の高価格で、平均26.5DK K(約400円)。カフェ・ヨーロッパ1989でカフェラテを飲むと、47DKK(約705円)と、倍近い値段。

「多分、デンマーク中で一番高いカフェラテだと思いますよ(笑)。でも、コーヒー好きなお客様は一度飲んだら、この味を忘れられないのでしょう。リピーターが多いのはその証拠です」とジェスティンさん。おいしいコーヒーには惜しみなく投資するのが、コペンっ子の心意気なのかもしれない。

 店内では、ビジネス・ミーティング中のスーツ姿のグループ、ツーリストやショッピングの休憩に立ち寄った家族連れと、立地に相応しく、様々な人たちが食事をしながら歓談している。

「軽食などのカフェメニューに力をいれているとはいっても、うちの基本はコーヒー。ぜひ一度、味わってほしい」と、ジェスティンさんの言葉は自信に満ちていた。

 デンマーク人に、コーヒーを飲む一日の時間帯を聞いた調査によると、一番多かったのは「朝食時」で78パーセント、次に「職場での休憩時間」と答える人が64.4パーセントと、昼食時に飲む人30.8パーセントよりも圧倒的に多かった。一般的に、午後のコーヒーブレイクは、昼食で落ちたペースを回復するために欠かせないが、自宅で仕事をする自営業の人たちの場合、コーヒーブレイクは、近所のカフェでとることが多いという。

Cafe EUROPA 1989
カフェ・ヨーロッパ 1989

コペンの中心、アマートー広場のランドマーク「カフェ・ヨーロッパ1989」。
http://europa1989.dk

Granola グラノーラ
午後の気分転換は、下町の名物カフェで。

 たとえば、コペンハーゲンの下町、ヴェスターブロのバーンダムスヴァイ通りの中程にあるカフェ、「グラノーラ」。昔は肉屋が並び、「食肉店通り」と呼ばれていたが、いまではオーガニック八百屋、レストラン、ワインバー、高級食材店と、個性的な飲食店などが次々にオープンし、高級住宅地の住民たちも足を運ぶ注目のエリアに変貌した。とはいっても、住民の意識や行き来は昔ながらのままで、カフェの顧客は顔見知りばかり。近所の商店主たちが、店番の合間にひと休みしていたり、まるで商店会の集会所。ここに来れば、友人、知人に会え、おしゃべりをして、よい気分転換が図れるのだ。初めて訪れても、下町の和やかな雰囲気がよくて、つい長居してしまう。

地図を見ながらデートの相談?楽しそうな、仲良しカップル。下町の午後、 ゆったりとした時間が流れる。

 グラノーラは、もともとホットドッグの屋台をひいていた苦労人のライフさんが、この通り裏に小さなカフェを構えたことからスタートした。2008年に現在の場所に移ったが、1930年代の工場放出品を利用した内装のほとんどを、大工仕事が得意なライフさん自身が手がけた。改装中から地元の話題にのぼり、完成してからも、居心地のよさから口コミでブレイクした。注目エリアの名物カフェ見たさに、遠くから訪れる人も多いうえ、ツーリストガイドに載せられてからは、外国人客も増え連日満員だ。

 コペンハーゲンでも、エスプレッソなどイタリアンタイプのコーヒーが人気とはいえ、伝統的にデンマークで愛されてきたのは、ドリップ式のコーヒー。自宅でのコーヒーのいれ方を聞いたアンケートで、コーヒーメーカーでドリップ式のコーヒーを作る人が、全体の75パーセントに及ぶ。

 デンマークのコーヒー業界の人が「学生時代に勉強の傍ら、自宅でコーヒーをいれるうちに探究心がわき、開眼した」と話す例が多いのも興味深い。

Granola
グラノーラ

午後のテラス席は、いつも賑やか。

Kentkaffe Laboratorium ケントカフェ・ラボラトリウム
帰宅前に寄るのは、ブラックにこだわる店

学校帰りによくカフェに立ち寄って、友達とおしゃべりするのが、コペンハーゲンの学生たちの習慣。

ワールド・カップテイステターズ・コンクールの2011年デンマークチャンピオン、店長のサムリさん。

 コーヒーに興味を持ち始めた学生たちに人気があるのが、「ケントカフェ・ラボラトリウム」。ブラックコーヒーをテーマに、サイフォンやペーパードリップでいれてくれる、デンマークではレアな店。

「ここ数年、若い人のコーヒーへの関心が高まっているようです。きちんといれたブラックコーヒーは濃厚なだけではない、コーヒー本来のアロマがあることを知ってほしい」と、コーヒー業界14年のキャリアを持つ、店長のサムリさん。帰宅前に立ち寄る常連客には、お湯の温度と時間を管理しながら、サイフォンでいれたコーヒーをすすめる。自宅でいれるコツを教える「コーヒーテイスト講習会」も開いている。

「うちはコーヒーの実験室。おいしいいれ方や飲み方をマスターしたら、自宅でも試してほしい」と、サムリさん。

 店では、コーヒー豆の他に、サイフォンやドリップ用の器具、オリジナルカップの販売も行っている。帰宅前の一杯を前に、コーヒー談義に花が咲く。

Kentkaffe Laboratorium
ケントカフェ・ラボラトリウム

外観の赤いマークは、デンマークのオーガニックマーク。

1DKK=約15円(2011年8月現在)

文・ 冨田千恵子 / 写真・Rasmus Rønne
取材協力: Peter Skafte, Yuriko Takahashi
更新日:2011/09/30



  • ラブドリ
  • 日本インスタントコーヒー協会
  • 全日本コーヒー商工組合連合会
  • 日本家庭用レギュラーコーヒー工業会