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コーヒー海外事情

インドネシアで萌芽している、コーヒー新潮流。

「スニマン・コーヒー・スタジオ」オーナー ロドニー・グリック氏

 コーヒーの品種といえば「アラビカ」か「ロブスタ」のどちらかしかなく、国名が産地の名称として流通していたのが「ファースト・ウェーブ(第1の波)」の時代。アメリカ西海岸から起こったラテ・ブームが世界を席巻したのが「セカンド・ウェーブ」。そして、コーヒーの個性がより大切にされ、コーヒーの木が植えられた畑の環境にまで言及され、プロセス、焙煎、抽出法の全てが高度化・多様化した「サード・ウェーブ」へとコーヒーの歴史は一気に歩みを進めてきた。ここにきて、さらにその先を見晴るかす動きがインドネシア・バリ島から出てきている。

生産国が自ら主体的に、コーヒーに関わること。

「この動きを“第4の波”と表現することもできますが、私は“ニューウェーブ”という言葉を使いたいと思います」。

 バリ・ウブドゥで最も先進的なコーヒー・ショップを展開するロドニー・グリック氏は力を込めてそう言う。「第○の波」はあくまでも欧米を中心としたコーヒー消費国で、その歴史や文化的な背景をベースにして出てきたもの。新たな波はコーヒーを栽培する生産国で起こっている点が最も重要であるから、「第3」のあとを受けた「第4」ではなく、あくまでも「新しい波」であるというわけだ。端的に言うと、「ニューウェーブ」とは生産国の人々が自ら主体的にコーヒーに関わることだ。栽培、加工から流通に至るまで、これまでのようにコーヒー消費国の人々から言われるまま──いわば「支配された状態」から脱却すること。そのために、生産国だからこそできることには積極的に挑戦していかなくてはならない。

「例えば、ワインの発酵法として知られる炭酸ガス浸漬をコーヒーに流用するなどの試みが行われています。それらはまだニッチな市場のためのものですが、コーヒー豆のポテンシャルを引き出す工夫の一つとして、関係者を大きく刺激することになると思います」。

今日のグローバルな動きとも、リンクする部分がある。

左から:神様へのお供物「チャナン」を置いて回るスタッフ。/「スニマン・コーヒー・スタジオ」のショップで売られているコーヒー豆。売り上げが栽培農家の生活を支える。/ロドニー氏も注目するフローレス島の地図(「ジュリア・ハウス・カフェ」にて)。

「ニューウェーブ」は社会変革の可能性も内包している。

「コーヒー産業はあらゆる人々をそのサプライチェーンの中に取り込むことができます。かつては若者が離れていくばかりだったコーヒー農園に若者が戻ってくるようになりました」。

 辺境の小さなコーヒー農園からでも世界に打って出られる可能性があることが、若者のチャレンジ精神を喚起したのだ。コーヒーが社会変革のための媒体になり得ることを示す好例だと、ロドニー氏は言う。

 インドネシア国内で特に注目すべき産地をロドニー氏に挙げてもらった。

「キンタマーニなどバリ島内では収穫期の日照が確保できるので、ナチュラル・プロセスで良い豆を得ることができる。古木や珍しい品種のコーヒーが残るフローレス島も極めてポテンシャルの高い土地です。ただし、インフラがもう少し整備されないとせっかくの豆が運び出しづらい部分があります」。

まだまだ端緒についたばかりの「ニューウェーブ」だが、エシカルやサスティナビリティといった今日のグローバルな動きとリンクする部分があり、今後の動きに注目したいところだ。

Indonesia
インドネシア

インドネシア主要情報
■ 面積:約192万平方キロメートル(日本の約5倍)
■ 人口:約2.55億人(2015年、インドネシア政府統計)
■ 首都:ジャカルタ ※外務省HPより(2020年8月現在)

取材・文・写真 浮田泰幸/コーディネート 成瀬潔
更新日:2020/10/12



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