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コーヒー海外事情

ブラジルとの縁で、コーヒーは特別な存在。

カフェ経営者
アゴスティーノ・バリーアス氏

 ユネスコの世界遺産にも登録されているドウロ川沿いの歴史ある街並み。ポルトはポルトガルの国名の由来になった町であり(ラテン語の「ポルチュス・カレ=カレの港」が語源)、エンリケ航海王子が出発していった、大航海時代幕開けの町である。港町の宿命として、世界に開け、さまざまな人と物とカルチャーを受け入れてきた。その中にはもちろんコーヒーとそれを取り巻く文化も含まれる。市内で2軒の老舗カフェを経営する、ポルト・コーヒー界の生き字引的存在、アゴスティーノ・バリーアス氏に、この町のコーヒー事情について話を聞いた。

かつてカフェが担った、2つの大切な役割。

グアラニーがまさにその典型ですが、1960年代前半までにオープンした由緒あるカフェは、奥にきちんとしたレストランを備え、通りに面した、誰でも気軽に入ってコーヒーと軽食を楽しめるカフェ部分と、奥で上流社会に属する人々が優雅に食事をする部分と、2つの役割を担っていたものです。現在もカフェのメニューにあるフランセジーニャ(ポルトガル風のクロックマダム)は、そういう時代の象徴です。夜になると、カフェにはバンドと歌手が入り、ライブの音楽を聴くことができました。コーヒーとともに、我々は豊かな時間を楽しんでいたのです。私は50年代、ブラジルに渡り、リオ・デ・ジャネイロで3軒のカフェを経営していましたが、それらもすべて同様のスタイルでした。ところが、私が帰国した66年頃には、すでにその伝統は影を潜めていました」
 バリーアス氏は82年にグアラニーを購入、83年にはマジェスティック・カフェを購入してリノベーションを行った。
 グアラニーの建つアリアードス通りには当時、5軒のカフェが軒を並べる賑わいぶりだったという。
「そのうち4軒は姿を消しました。ハンバーガーショップに取って代わられたところもあります。伝統を守り続けるのは難しいことです」

独特の感情を抱かせる、「ブラジル」という響き。

 バリーアス氏も過去にブラジルと深い関わりを持っているが、多くのポルトガル人にとって、ブラジルは旧植民地という言葉では片付けられない、独特の感情を抱かせる土地である。そしてもちろん、彼らにとって親和性の高いブラジルはポルトガルへのコーヒーの供給国としてダントツの位置を占めている。

「ブラジルとの縁があることで、コーヒーは我々にとっては特別な飲み物になっているのです」

 ポルトガルのバリェタ大佐がフランス領ギアナから持ち出したコーヒーの苗木と種子をアマゾン川流域のパラ植民地に持ち込んだのは1727年のこと。以来300年近くの長きにわたって2つの国を結びつけてきたコーヒーは嗜好品以上の紐帯と呼ぶべき存在なのだ。

左:上質な酒精強化ワインの代名詞、ポートワインはドウロ川沿いのぶどう畑に実るぶどうで造られ、ポルトの港に軒を連ねる貯蔵庫で熟成されてから出荷される。/中:サン・ベント駅構内を彩るアズレージョ(タイル)。/右:ドウロ川に架かるドン・ルイス1世橋の上から世界遺産の街並みを見下ろす。

Portuguese Republic
ポルトガル共和国

ポルトガル主要情報
■ 面積 : 約91.985万平方キロメートル(日本の4分の1)
■ 人口 : 約1,043万人
■ 首都 : リスボン市 ※外務省HPより(2015年11月現在)
1ユーロ = 約132円(2015年11月現在)

取材・文 浮田泰幸 / 写真・吉田タイスケ
更新日:2016/01/05



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