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コーヒー海外事情

ミラノのバールで、情熱あふれるコーヒーを。

ミラノのバールで、情熱あふれるコーヒーを。

イタリアでコーヒーを飲む店と言えば、バール。コーヒーとお菓子や軽食などを提供する店のことだ。そして、イタリア人は1日に何度もバールに通うほどの、バール好き&コーヒー好きで知られる。今回はファッションショーや家具見本市などでも有名なミラノに、個性が光る4軒のバールを訪ねた。

Pave milano
パヴェ・ミラノ

リサイクルやアンティーク家具を厳選。友人宅のような居心地のよさだ。

 これまで、デコラティブなものやモダンデザインと呼ばれる80年代デザインに人気があったミラノにあって、最近の人気はアンティークっぽい古さを感じさせるスペース。オープンして間もないのにすでに大人気のこの店は、その最先端と言えるだろう。

 「パヴェ」はまるでブティックにも見紛うような外観だが、中に入るとコーヒーと焼きたてパンやケーキの香りで幸せな気分になれるバール。オーガニック素材と天然酵母のパンが焼き上がる16時には、列ができる人気ぶりだ。

ミラノに浸透してきた新しいバールの楽しみ方。

天然酵母パンは、毎日10種類ほど。夕方には夕食用のパンを求める列が。

オーナーのジョヴァンニ、ディエゴ、ルカ(右から)。バラバラのキャリアを持つ3人が自分たちの理想のバールを作り上げた。

 この店を手がけるのは、菓子・パン職人のジョヴァンニ、販売業のディエゴ、PRの仕事をしていたルカの3人。理想のバールを実現するため、半年かけて場所を探し、レシピを研究し、お菓子の包装から店内のインテリアまでを入念に準備した。
 コーヒーにも、そのこだわりを発揮。探し求めたのは、煎りが深くて香り高く、エスプレッソでもカプチーノにしても美味しいコーヒー豆。カップはイタリアの普通のバールより少し大きめで、ヴィンテージテイストのものをオリジナルで作った。

 パンもケーキもすべて手作りだ。その美味しさも評判を呼び、朝から夜までひっきりなしに人が集まる。朝にはたった5分でも座ってゆとりのある朝食をとりたい人たちがやってくる。10時を過ぎると、その日2杯目のコーヒーを楽しむ人たちが訪れ、ランチには焼きたてパン目当ての客が集まり、締めにコーヒーを飲んで午後の仕事に戻っていく。15時を過ぎるとティータイム。ケーキや甘いパンを、コーヒーやカプチーノと合わせて楽しむ。

 素早く一杯のエスプレッソを流し込む立ち飲みスタイルがメインのイタリアにあって、この店では客の滞在時間が長いのが特徴だ。人と出会い、隣り合った人と情報交換をし価値観を共有しながら、何時間も過ごそうという人が集まってくる。バールのあり方も、少しずつ変わってきているようだ。

左:カプチーノ(2ユーロ)、タルト(4.5ユーロ〜)やクロワッサン(1.5ユーロ)などが人気。右:オリジナルTシャツ15ユーロ。これを持つのがミラノのトレンド。

左:毎日6〜8種類がそろうケーキ(径20㎝ホールで15ユーロ〜)。中央:手作りの板チョコ(8ユーロ)右:長居したくなる心地よさ。


Pave milano
パヴェ・ミラノ

職種の違う若手の3人組がお菓子とコーヒーの関係について研究を重ねてオープンした最先端バール。ミラノならではの空間だ。
■ www.pavemilano.com

Botega Caffe Cacao
ボッテガ・カフェ・カカオ

イタリアの家庭で人が集う場所、キッチンを意識した内装。リラックスできる空間を目指した。

 ミラノのコーヒー文化には、必ずお菓子が存在する。お菓子の美味しい店はコーヒーも美味しいと定評があり、レストランで締めのコーヒーがまずいとこの店はよくないと言われるほど、食とコーヒーの結びつきは深い。「ボッテガ・カフェ・カカオ」では、お菓子とコーヒーが密接に絡み合いながら進化し、お菓子のようなコーヒーが出来上がったようだ。

 この店の歴史はデイ・ヴィータファミリーが1887年にミラノ郊外で創業したお菓子工房に遡る。2002年にお菓子の新ブランド、ファヴリカ・デイ・ドルチェをスタート、そしてバール「ボッテガ・カフェ・カカオ」をオープンして以来、ミラノを中心にフランチャイズ展開も始まった。「コーヒーとカカオの工房」という名のこの店は、バールが軒を連ねるコルソ・ガリバルディ通りにあって、カジュアルなインテリアとコーヒーやケーキの種類の多さ、美味しさで大賑わいだ。

アレンジは15種類以上、ユニークなコーヒーの数々。

 このバールの目玉はなんと言ってもアレンジコーヒー。冬に人気のカスタニーノは、栗クリームとエスプレッソをブレンド。夏にはエスプレッソに氷とシュガー、バニラエッセンスなどを入れてシェイクして作るアイスコーヒー、カフェシェケラートが人気だ。どちらも飲むというより味わうコーヒーといった新鮮なメニューだ。従来の頑固なイタリア人の常識を打ち破るユニークなアレンジは、常時15種類以上を揃える。トッピングを加えると、バリエーションはさらに何倍にも。

 最近では、この店を真似たような新店も増えてきたが、依然として元祖の人気は不動。ミラノでは珍しい〝サンドウィッチと飲み物のセット〟などのランチサービスもスタート。次は何があらわれるか。新たな展開から目が離せない。

左:ミラノでは1年の内10カ月はテラス席が賑わい、笑顔でコーヒーを楽しむ。中央:豆はブラジル産。店オリジナルのブレンドを産地で作ってもらう。右:深めの煎りなので、甘い物と混ぜてもくどくならない。

左:夏に人気のカフェシェケラート(上・2.5ユーロ)など。中央:タルト(2.9ユーロ)とカスタニーノ(2.2ユーロ)。右:カプチーノにミント(1.4ユーロ〜)。


Botega Caffe Cacao
ボッテガ・カフェ・カカオ

老舗のお菓子工房が経営するバール。とりどりのケーキのほか、イタリアの常識を覆すアレンジコーヒーを多く揃え人気を集める。
■ www.caffebotegacacao.it

Pasticceria Cucchi
パスティッチェリア・クッキー

外に並ぶテラス席が人気だ。真冬であっても雪が降る日以外は、テラス席にいつも行列ができる。

 ミラノには、19世紀から続く老舗のバールは現在3軒あると言われている。その中でも、純粋な家族経営を続けている稀有な存在のバールが「パスティッチェリア・クッキー」だ。

 19世紀後半、「クッキー」はコーヒー+コンサートを楽しむ、日本でいうミルクホールのような場所だったという。1930年代にはアメリカからミュージシャンを招いてライブを行ったりするなどして人気を集めていたが、第二次世界大戦のさなか、1943年に店は焼失してしまう。

 戦後、1950年に現在のオーナーであるチェーザレ・クッキー氏が再建し、バールとしてリニューアルオープンを果たした。戦時中にはパンを焼いていたという地下の工房を利用して、ケーキも焼き始めた。

 そのチェーザレ氏が60年以上経営していることもあり、働く人たちもベテランでプロ中のプロ。信頼の味とサービスで、今ではミラネーゼが三代続けて通うような、地元の人に愛される老舗のバールとなった。

客の細かいオーダーにも、的確に答えて信頼を得る。

チェーザレ氏(左)は今も週に5日、店に立つ。彼の存在そのものが店の看板だ。客にいつも「ありがとう」を伝える紳士。娘のヴィクトリアさんと。

 ミラノでは、コーヒーの値段は立ち飲みだと安いが、席に座ると少し高くなる。それでも、この店ではコーヒーやケーキをゆったりと楽しむために列ができる。特に週末には朝から夕方まで人が途絶えることがない。

 コーヒー豆は昔から変わらず、南米産の高品質なアラビカ種を、古くから付き合いのある焙煎所で「クッキー」オリジナルの焙煎をしてもらっている。カップを機械の上で丁寧に温め、高温の湯で瞬時にいれるコーヒーは、少しクリーミーで深みのある色で、美味しそうな香りが立ち上る。

 朝はカウンターでクィッと立ち飲みして先を急ぐ人が多いが、「ルンゴ(薄め)」、「カプチーノ泡なし」、「ラテマキアート・テピダ(カフェラテをぬるめで)」など、細かいオーダーをする客も多い。「そうした注文に、的確に答えてきたからこその信頼でしょう」とチェーザレ氏は胸を張る。

 常連の女性は「オーナーは優しい笑顔でいつも声をかけてくれて、とても紳士なの。彼の存在のおかげで、この店で価値ある一杯を楽しんでいるわ」と話す。まさにミラノの生活に「クッキー」あり。この先、何代も何代も続いてほしいバールのひとつだ。

左:店内はクラシックなつくり。中央・左:バリスタたちが描くカフェ・アートのバリエーションは数百種類。リクエストにも応じる。

左・中央:クロワッサン(1.2ユーロ〜)とカプチーノは人気のコンビ。右:サンドウィッチ各種(2.5ユーロ〜)。

左:ラズベリーのタルト(1㎏で38ユーロ)。カソリックのお祭りとのかかわりが深いというケーキが数多く揃う。昔ながらの製法で素朴な味わいだ。中央左:カプチーノ(1.5ユーロ〜)。中央右・右:お菓子の詰め合わせ(20ユーロ〜)。


Pasticceria Cucchi
パスティッチェリア・クッキー

老経営者の変わらぬ信念とホスピタリティで、三代にわたって支持され続ける老舗。まさにミラネーゼの生活に密着したカフェだ。
■ www.pasticceriacucchi.it

Hodeidah Torrefazione
フダイダ・トレファツィオーネ

「伝統的な焙煎方法を通じて、コーヒーの美味しさを伝えたい」と、フルビオ氏は手間も時間もかかる炭火焙煎にこだわる。

 ミラノ市内にはその昔、コーヒー豆の焙煎所が100カ所以上あったと言われている。第二次世界大戦直後、イタリアではすべての服がテーラーメードだったのと同じで、それぞれの店が自家焙煎でオリジナルな香りとテイストを作っていた。

 「フダイダ」は、今やミラノで10数軒を残すのみとなった自家焙煎バールのひとつ。常連客から評判を聞きつけた外国人の客まで、毎日何百人もの客が小さなバールに詰めかける。

8種の豆を買いつけ、炭火による焙煎で提供。

エスプレッソマシンは、一部銅製だ。

 1946年創業のコーヒー豆の焙煎所を、現在のオーナーであるフルビオ・ロッシ・ルイジ氏の父親が買い取ったのは今から40年前のこと。子供時代のフルビオ氏にとって、父親がコーヒー豆を焙煎する姿は日常風景だった。なんと、10歳の時には店でコーヒーを飲んで一人前にテイスティングしていたというから驚きだ。

 今では、イタリア随一のコーヒー豆の輸入港として知られるトリエステで世界中から集まるコーヒー豆から厳選して8種を買いつけ、自らブレンド。手間をかけて炭火で焙煎する。研究に研究を重ねた一杯は、クリーミーで奥深い飲み心地で柔らかい香りだ。

 「コーヒーの歴史や作り方、飲み方、いま人気の豆や味などを研究していると世界が見えてくるんだよ」と語る。売り上げの一部をアフリカ・ザンビアの学校に寄付しているのも、コーヒーを通じて世界を見つめているから。

 昔ながらの焙煎方法を守り、伝え続ける。フルビオ氏の情熱と昔ながらのイタリアのよさが詰まったバールだ。

左:先代から変わらないカウンターバーに制服。コーヒーは1杯1ユーロから。中央:さながらコーヒー博物館のような内装。同時にお茶やクッキーなども置かれ、コーヒー以外のバール文化にも柔軟だ。右:レストランやバールオーナーも豆を仕入れに来る。


Hodeidah Torrefazione
フダイダ・トレファツィオーネ

8種の豆を自らブレンドして炭火で焙煎する昔ながらの焙煎所兼バール。切れ味が最高によく、濃厚なオリジナルコーヒーが味わえる。
■ www.hodeidah.it

1ユーロ(EU) = 約130円(2013年8月現在)

文・ 田内しょうこ / 取材・坂本きよえ / 写真・フランキー・ヴォーン
更新日:2013/10/23



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