SDGsの取り組み
サスティナブルなコーヒー産業の実現のために
近年、コーヒーの持つ魅力から消費量は世界的に拡大していますが、気候変動や生産者の貧困問題は近い将来において生産適地の減少や生産者の離農などを引き起こし、生産量の減少につながることが危惧されています。
全日本コーヒー協会は、国連のSDGs目標を踏まえ、国際コーヒー機関(ICO)などの国際機関とも連携し、会員各社、各団体とともに将来にわたって安全安心でおいしいコーヒーを消費者の皆様にお届けできるよう、様々な課題に取り組んでまいります。

コーヒー生産者の豊かな生活に向けて
コーヒーは赤道を挟んだ南北緯25度間のエリア「コーヒーベルト」の約70か国の生産国で栽培されている農作物です。ブラジル等の生産大国の大規模農園では、機械化された高度な栽培技術により生産量を拡大しています。一方、その他の生産国では、手作業中心の小規模農家が多く、慢性的なコーヒー相場の乱高下により、コーヒー農家の収益の悪化、生産意欲の減退、栽培技術の低下など、様々な問題を抱えています。
日本を始め、世界の多くの人々が、将来にわたり美味しいコーヒーを安定的に楽しむには、全ての生産者の人々が豊かな生活を享受し、良質なコーヒーづくりに意欲を持って取り組める労働環境の健全化が必要です。
コーヒー生産者の豊かな生活に向けて、日本のコーヒー業界では、様々な支援活動に取り組んでいます。

コーヒー・サプライチェーンにおける労働安全衛生改善の支援について、2023年に国際コーヒー機関(ICO)と全日本コーヒー協会の間で合意をいたしました。
コーヒーサプライチェーンにおける労働安全衛生改善の支援について合意する(左から)ノゲイラICO事務局長、萩原前日本コーヒー協会会長、ILOのムネット技官及びレオーネ上級職員

美味しいコーヒーを生み出す地球環境を保つために
世界のコーヒー消費量は、今後も、インドネシア、フィリピン、ベトナム、中国などのアジアの国々の需要拡大を追い風に、更に大きく伸長するものと見込まれています。
一方、世界のコーヒー生産量は、ブラジル等の生産大国での量産が貢献し、現在は需給バランスが保たれているものの、今後の動向が懸念されています。
コーヒーは、コーヒーベルトと呼ばれる地域の中でも、栽培に適した自然条件(気温や降水量、標高など)のもとで生産されている繊細な農作物です。年によっては降霜・干害等の自然災害や、病害虫の大量発生などにより、生産量が大きく減少する場合もあります。また近年の地球温暖化による気温上昇等の気候変動の影響で、将来的に良質のアラビカ種の生産適地が半減するとの観測が民間の調査機関から報告されています。
将来にわたり美味しいコーヒーを安定的に生み出す地球環境を保持するために、日本のコーヒー業界では、温暖化ガスの削減努力を続けるとともに、生産国の水質や土壌、生物多様性の保全など、さまざまな活動に取り組んでいます。
低炭素社会実行計画の策定
全日本コーヒー協会は持続可能な社会形成のために2007年から「低炭素社会実行計画」を策定し、省エネルギータイプの施設の導入や生産の効率化により、CO2排出量の削減に、会員企業とともに取り組んでいます。
コーヒーの安全性の確保
日本のコーヒー生豆の残留農薬基準はEU、米国、コーデックス(世界的な食品規格)など世界的な主流の残留農薬基準に比べ厳しい基準値が設定されているものが多く、この規制をクリアしないと日本国内で流通できない仕組みになっています。
全日本コーヒー協会では定期的に世界の主要コーヒー生産国の農薬の使用実態を調査し、会員社が安全安心なコーヒー豆を入手できるよう支援しています。
抽出後のコーヒー粉(コーヒーグラウンズ)の有効活用
コーヒーを抽出した後のコーヒー粉は、肥料・堆肥、消臭・脱臭剤など、様々なものに有効に活用できます。全日本コーヒー協会では、そのような活用が進むよう、普及・啓発を図っていきたいと考えています。
その際、抽出後のコーヒー粉は、「コーヒーかす」といわれることも多いですが、様々な有効活用が可能なものですので、そのようなちょっと残念な呼び方はやめ、「抽出後のコーヒー粉(コーヒーグラウンズ)」と呼ぶことにしたいと考えています。
会員企業の取り組み
全日本コーヒー協会の会員企業は、各社で様々な独自の取り組みをしています。
産地の支援から、CO2削減、地域社会の改善支援など、具体的な活動内容をぜひご覧ください。